翻訳
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翻訳(ほんやく)とは、Aから、Bに意味を翻案すること。狭義には、ある言語Aによって表現された文章を、可能な限り意味(できればニュアンスも)を保ったまま別の言語Bで表現すること。
[編集] 言語の翻訳
異なる言語間で意味を翻案することのうち、特に文字の形で書かれた文章について行うことを翻訳と呼ぶことが多い。翻訳家は専門の分野に特化することも多い。なお、社会科学系の翻訳よりも、自然科学系の翻訳の方が需要が高く、いわゆる技術翻訳と呼ばれる分野に携わる者が多い。技術翻訳の世界では、翻訳家と呼ばずに翻訳者と呼ぶことが多い。話し言葉(音声言語)の場合は通訳と呼ばれる。翻訳によって誕生した文学作品のことを翻訳文学と呼ぶ。
翻訳はA言語からB言語へその言語間で対応する語彙を用い、対応する文法を用いて翻案することが多いが、それだけでは成り立たない場合、意味だけを移した意訳が行われる。
また、A言語からB言語へ直接翻訳を行うことが何らかの事情により困難な場合には、重訳という手段がとられることがある。A言語→X言語→B言語、という風に、いったん他の言語に翻訳された版を参照し、さらに他の言語へ重ねて翻訳する方法である。たとえばアラビア語文学作品の日本語版を出版する際に、まずアラビア語の原書から翻訳された英語版があり、その英語版をもとに日本語版に翻訳する(アラビア語原書→英訳、英訳→邦訳)というような具合である。これは直接原書(アラビア語)を読めなくても他言語を介することで翻訳できるという利点があるが、伝言ゲームのように誤訳や解釈の相違が重なって原型からかけ離れた翻訳がされる可能性もあり、一長一短である。
[編集] プログラミング言語の翻訳
プログラミング言語を機械語に翻訳する場合は、この翻訳をコンパイルと言う。
ただし、プログラミング言語を(機械語ではなく)アセンブリ言語ないし中間言語に翻訳する場合もコンパイルと言うことが多い。
コンピューターで実行できる形(実行モジュール)または、その直前の状態に翻訳していくためには、幾つかの過程(アセンブリ言語、中間言語または、機械語への翻訳)があり、これらをまとめて、コンパイルと言う事が多い。プログラミング言語によって、その行程(コンパイルされた状態、実行状態)は異なり、一部言語には、実行時に翻訳する言語もある。また、コンパイルの行程にも、リンク、コンパイル、オブジェクトモジュール化などと、区別している場合がある。
なお、翻訳前の言語も翻訳後の言語もともにプログラミング言語である場合は(翻訳よりは)変換と言うことがある。
こういった行程の逆さまを、逆コンパイルと言う。