膜構造
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膜構造(まくこうぞう)は、その材料によって分類した場合の建築構造の一つ。骨組と膜材料を組み合わせて構成するという手法であり、古来より使われているテント・天幕にもその特徴がみられる。主な形式として吊構造(サスペンション構造)・骨組膜構造・空気膜構造 がある。主に博覧会のパビリオン・倉庫・ショッピングモール・競技場などに使われ、特に大空間を持つ建築物でその利点を発揮する。
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[編集] 分類
膜構造の建築物には、以下のような形式がある。膜は引張のみに効く部材であり、膜単独で構造を成り立たせることは不可能である。膜に柱・骨組・内気などの圧縮部材を組み合わせることになる。
- 吊構造 (サスペンション構造)
- 骨組膜構造
- 鉄骨造・木造などの骨組を作って膜を張る。「提灯」をイメージすると良いだろう。
- 空気膜構造 (エアサポート構造)
[編集] 材質
材質は主に人工繊維であり、ガラス繊維・ポリエステル繊維・テフロン膜などさまざまな種類が使われている。性能としては防水性・耐火性などが要求されるほか、透光性の材料を用いる場合は、紫外線のカットなどを考慮する必要があり、空気膜構造では特に気密性が重要となる。
[編集] 特徴
- 透光性のある素材を使える
- 半透明の材料で大きな面積をカバーすることが可能である。自然光を採り入れた明るい大空間を構成するのに適している。
- 安全性
- 万が一倒壊した場合でも、重い壁や屋根の下敷になる危険性が低く、人的・物的被害が発生しにくい。
- デザインの柔軟さ
- 軽量・高強度を生かして、大スパンの架構が可能である。また、曲面を用いた意匠にも適している。
- 経済性の高い設計・施工
- 低コストの材料で大空間を実現することができ、また、工期も他の構造と比べて短縮することができる。膜構造が普及する以前は、「コストはスパンの二乗に比例する」というのが定説であった。軽量であるため、輸送コストも低い。仮設倉庫などにも適している。
[編集] 短所
膜構造の建築物には、概して以下のような問題点がある。これらを解消するか、これらが問題とならない用途・立地に用いる必要がある。
- 開口がとりにくい
- 積雪荷重・風荷重を制御しにくい
- 断熱・防音・遮音性能をもつ層を構成するのが困難
[編集] 代表的な事例
- 東京ドーム
- ミュンヘン・オリンピック競技場および公園
[編集] 外部リンク
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