花栄
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花栄(かえい)は中国の小説で四大奇書の一つである『水滸伝』の登場人物。
宿星は天英星で、第九位の好漢。渾名は「小李広(しょうりこう)」で前漢の弓の名手李広に由来する。他に「銀槍手(ぎんそうしゅ)」「神箭将軍(しんせんしょうぐん)」とも呼ばれる。代々武家の家柄。手足が長く細身、目は切れ長というなかなかの美男子。妻は崔氏で、妹は秦明に嫁ぐ。息子は花逢春。渾名が示すように、梁山泊きっての弓の名手であり飛んでいる雁の頭を打ち抜く程である。この技を使い戦場では幾多の敵を倒し、援護射撃で仲間の危機を幾度も救っている。また弓以外にも槍の腕も優れており、四書五経にも精通している。この万能さから梁山泊の戦闘員では唯一、無敗の戦績を誇る。また梁山泊の二代目首領宋江とは昔からの親友で「天下の義士」としてでもなく「梁山泊の首領」としてでもなく「一人の人間」としてお互い最も心を許しあっている間柄である。以上のことから水滸伝でもかなり人気の高い人物だが、上流階級出身と言う事もあって、信義を重んじるも人情味はやや薄くかなりの自信家である。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 生涯
青州清風塞の副長官の地位にあった花栄は武勇で周囲の山賊を威圧していたが、賄賂だけでここの長官の地位を手に入れた劉高とは当然のごとく犬猿の仲であった。
そんな中、親友宋江が罪を犯し逃亡中と聞き、自分の館に来るよう手紙を書いた。そして、宋江がやってくると再会を喜び合い家族とともに歓待する。元宵節(現在の旧正月)の祭りの夜、宋江は劉高の妻に山賊の首領として誣告され捕らえられてしまう。実は宋江と劉高の妻は偶然、ほぼ同時に清風山の燕順達に捕らえられており、宋江は燕順に掛け合い女を解放させていたのだが女はこれを仇で返したのだった。花栄は激怒し正論を説いて宋江の引渡しを劉高に要求するが拒否されたため、力ずくで宋江を奪い、追っ手も弓で威嚇し追い返した。しかし劉高の奸計に嵌って武官の黄信に宋江、家族共々捕らえられてしまう。その後、宋江とともに青州へ護送されるところ、宋江を助けにきた燕順達により解放される。解放された花栄は、護送隊に従軍していた劉高を斬殺し、朝廷に刃向かうこととなった。その後、討伐に派遣されてきた秦明を悪辣な計略にかけて破り仲間に引き入れる。黄信も説得して仲間に加え、清風塞を襲撃、家族を救出し元凶である劉高の妻を斬った。その後、本格的な討伐に清風山では耐え切れないと考え、宋江のつてで梁山泊に合流する。
紆余曲折の末、宋江が梁山泊入りするとその副官的立場を担い、祝家荘戦で敵の伏兵の合図の提燈を打ち落としたり、強敵に苦戦する味方を弓で援護して救うなど活躍する。
百八星集結後は騎兵八彪騎の筆頭を務める。朝廷への帰順には元軍人だったこともあり肯定的だったが、使者の無礼な態度に怒りこれを射殺するなど確実に無頼の精神は根付いていたようだ。
帰順後も田虎征伐で敵将三人を立て続けに射殺し、方臘戦では強敵鄧元覚を倒す大手柄を上げた。凱旋後は武節将軍の称号を得て、応天府の司令官に任命されるが、夢枕に宋江の死を知り呉用とともに墓へ詣でる。ここで呉用は殉死を決意、花栄には「家族がいるから」と生き延びるよう薦めるが「どうせ生きていても奸臣の手にかかるだけ」と拒否し運命を共にした。