菌床栽培
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菌床栽培(きんしょうさいばい)とは、木材腐朽菌のきのこを、木材を細かく砕いたオガクズに米ぬかなどを混ぜた殺菌培地で栽培する方法である。原木栽培よりも扱いが容易で低コストである為に広く普及している。現在市場に流通している栽培きのこの多くがこの方法によるものである。
目次 |
[編集] 栽培の方法について
[編集] 培地の作成
培地は広葉樹のオガクズを主体にする。これに米ぬかをおおむね10対2の比率で混合し、強く握ると水が染み出る程度の水を加える。針葉樹のオガクズも使用可能であるが、精油成分を揮発させるため、1ヶ月程度かくはんと散水しながら野積みする必要がある。針葉樹のオガクズを使用する場合はオガクズと米ぬかの比率は10対3である。作成した培地を、市販されているきのこ栽培専用の耐熱袋、またはビンに詰める。このとき底を軽くたたきながら詰めるとよい。詰め終わると上部を平らにし、培地の高さの半分程度の穴を開けておく。こうすることにより菌糸を早く蔓延させることができる。培地を詰め終わるとビンのふたを閉じ(袋の場合は口を折り曲げてセロテープで仮留め)殺菌に移る。
[編集] 殺菌
殺菌は大規模な栽培になると大型の高圧殺菌釜を用いるが、コストが多大にかかるため家庭では圧力鍋、セイロ、またはドラム缶や一斗缶を蒸し器のように使用するのが適当である。湯が沸騰してからだいたい3時間程度蒸気殺菌する。殺菌後は殺菌器具の外に出して半日~1日程度冷却する。
[編集] 接種
殺菌の終わった培地に種菌を植える。まず種菌(ここではオガクズ菌を用いる)をボウルに移し、細かく砕く。このとき使用するすべての器具と手は必ず消毒用エタノールで消毒しておくこと。種菌は培地の表面全体にまんべんなく撒く。接種終了後は速やかにビンや袋の口を閉じること。このとき雑菌が混入するとTrichoderma等の糸状菌が発生したり培地が腐ったりして失敗するので注意すること。
[編集] 培養
大規模な栽培では専用の培養室を用いるが、過程栽培では清潔な直射日光の当たらない部屋で3~4ヶ月培養する。一日3回程度換気する。室温は20度前後が望ましい。
[編集] 発生
培養が終わった培地はふたを取り外して上面を露出させる。きのこの発生温度はきのこによって異なるが、だいたい15~25度の間で発生させることができる。また、袋の培地の場合は袋から取り出し木の根元などの日陰に埋め込み、土を1センチ程度かけておく。秋になるまでに乾燥しないように散水する。きのこの種類にもよるが秋になると散水の回数を増やしてやると次第に発生してくる。
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