ドラム缶
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ドラム缶(ドラムかん、英語 steal drum)とは、200リットル以上の大型の金属製の缶のこと。特注品でない限り鋼鉄製。主に燃料となるガソリン・灯油などや塗料、溶剤、化学品、医薬原料などの液体を入れて運搬、貯蔵などに用いられる。
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[編集] 特徴
一般的なドラム缶は、円筒部の中間に2本の出っ張りがある(上の画像のドラム缶では色の塗り分けの境界部分)。これは構造上の補強の役割と同時に、転がして運搬する際には車輪(出っ張りの部分だけが接地面となる)の役割を果たし、容易に転がせる作用がある。
[編集] サイズ
日本ではJIS規格により大きさや寸法が定められている。大さは5種類。一般にガソリンスタンドなどで見かけるドラム缶は、その中で最も一般的なもの。容量は200リットル、直径が約0.6m、高さが約0.9mである。 業界では18リットル以上200リットル未満のものは中小型缶とよび、200リットル以上のものの呼称であるドラム缶と区別している。海外では、200リットルに相当する44ガロン缶の他、220リットルなど、別のサイズのものもある。海外ではドラム缶を専門の製缶業者から買わずに、自社で製造して使用する企業もあるため、種類・サイズも多様となりやすい。 200リットルドラムは、20フィートの海上コンテナに通常80本積載可能である。
[編集] 蓋
ドラム缶には上下に円形で平面の部分があり、上になる方がバンドで締め付けられており、これを外すと大きく開けられるオープンドラムと、巻き閉めてあり、切り取らないと開かないタイトヘッドドラムの二種類がある。オープンドラムの蓋は天蓋と称する。また、タイトヘッドドラムには別途螺子付きの注入口や空気穴にセットする小さな蓋が付いていることも多く、これはプラグと称している。プラグは鉄製のプレス成型のものが一般的で、日本では亜鉛ダイカストのものもあったが、2007年中に製造中止となる予定である。 ほかに、天然樹脂を入れるタイトヘッドドラムには、製品検査に使う丸い穴を天蓋に開け、さらに蓋を取り付けたドラムも存在する。
[編集] 再利用
使用後の缶は、解体してリサイクルするほか、産業廃棄物等を詰めて保管したり、五右衛門風呂を模して浴槽にする、燻製作りの窯やバーベキューの炉にするなど、二次的な利用が幅広く行われる。海外では、胴板を平らに伸ばして、トタン板代わりにして建築に使う例もある。
打楽器のスティールドラムは、廃ドラム缶の底面を太鼓に見立てて使用したのが始まりとされ、底面に大小のくぼみをつけて、音階がでるように加工されている。現在は必ずしもドラム缶から作られるとは限らない。