血栓性血小板減少性紫斑病
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血栓性血小板減少性紫斑病(けっせんせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう、英Thrombotic thrombocytopenic purpura)とは、血栓によって赤血球が壊されて出血傾向を生じる病気。一刻を争う内科緊急疾患の一つ。
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[編集] 病態
フォン・ヴィレブランド因子分解酵素の活性異常により血小板が血管内皮細胞に張り付きやすくなる。全身の毛細血管は血管内皮細胞に裏打ちされているが、毛細血管の内腔は本来なら赤血球がギリギリ通れる大きさである。しかし本症では血管内皮に血小板が張り付いて血栓を作り毛細血管内腔へ向かってトゲ状になるので、体中の毛細血管で赤血球が壊れて発症すると考えられている。
[編集] 分類
[編集] 臨床像
古典的に以下の5つの症状が知られている。
- 出血傾向 : 血小板減少による出血傾向 : 血小板減少による出血傾向とは、全身の網細血管に血小板が張り付く事で血中を流れる血小板が減少して血が止まりにくくなったり、皮下出血を起こして紫斑となって見える事。
- 精神症状・神経障害 : 痙攣、意識障害など
- 発熱
- 貧血 : 微小血管性溶血性貧血 : 微小血管性溶血性貧血とは、網細血管での赤血球の破壊が全身で起こるので赤血球が減少して貧血になる事。
- 腎障害
[編集] 検査
[編集] 基本身体検査
[編集] 一般検査
[編集] 血液検査
- 末梢血塗沫標本検査
[編集] 生化学検査
- 血清生化学検査
- 特殊な検査:以下は病態に基づいた最新の検査であるが、いずれも保険適用はなく、また臨床的な有用性も未知数である。特にADAMTS13においては研究所レベルでの測定が中心で、商用に測定しているものは少ない上、検査結果の信用性も確立されていない。
- フォンヴィレブランド因子マルチマー:フォンヴィレブランド因子分解酵素の異常により、巨大なマルチマーが分解されず血中に存在していることを確認する。
- ADAMTS13(アダムツサーティーン)活性:フォンヴィレブランド因子分解酵素そのものであり、病態から考えて当然減少しているものと思われるが、どうも全例にわたって減少しているわけではないようである。
[編集] 機能検査
[編集] 画像検査
[編集] 病理検査
- 骨髄塗沫標本検査
- 赤芽球↑ : 網赤血球を作るために赤芽球系の細胞数が多くなる。
- 巨赤芽球↑ : 血小板を作るために巨赤芽球系の細胞数が多くなる。
[編集] 統計
発病率は低い。
[編集] 治療
血漿交換療法を行う。免疫機能を和らげる副腎皮質ステロイドや、血小板凝固を妨げる抗血小板薬を使う事もある。LDHの値を指標とする。血小板輸血は血栓形成を促進して病態を悪化させるため絶対にしてはならない禁忌。
[編集] 予後
後遺症として腎不全が残ることが多い。
[編集] 関連
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