補充券
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補充券(ほじゅうけん)とは、鉄道・路線バス等で駅員または、車掌など乗務員が主に乗車に必要な乗車券等を所有していない者に対して場合に発行する切符のことを指す。
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[編集] 補充片道乗車券
駅において、窓口に常備されていない駅までの片道乗車券を発行する際に用いられる。切符は旅客に渡す甲片と売り上げ報告用の乙片に分かれている。
地方の私鉄などでは現役で使用されている駅が多いが、発券端末が普及した大手私鉄やJRなどではほとんど使用されていない。JRではJR東日本長野支社管内のPOS端末未設置の簡易委託駅やJR西日本筒石駅などで使われている程度である。西日本JRバスでは金沢駅に設置してある。
補充片道乗車券は大まかに2種類に分けられる。
- 発駅が記載
- 自駅発に用いられる一般的な補充片道乗車券。
- 発駅が未記載(記入式補充片道乗車券)
- 自駅発のほか、他駅発にも用いられる。
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- 発駅が未記載のものには発行箇所が記載されているものと、未記載のものがある。
[編集] 補充往復乗車券
駅において、窓口に常備されていない駅間との往復乗車券を発行する際に用いられる。切符は旅客に渡す甲片と売り上げ報告用の乙片に分かれている。
補充片道乗車券同様に、地方の私鉄などでは現役で使用されている駅が多いが、発券端末が普及した大手私鉄やJRなどではほとんど使用されていない。JRではJR東日本長野支社管内のPOS端末未設置の簡易委託駅などで使われている程度である。
補充往復乗車券も大まかに2種類に分けられる。
- 発駅が記載
- 自駅発に用いられる一般的な補充往復乗車券。
- 発駅が未記載(記入式補充往復乗車券)
- 自駅発のほか、他駅発にも用いられる。
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- 発駅が未記載のものには発行箇所が記載されているものと、未記載のものがある。
[編集] 補充連続乗車券
以前は窓口に常備されていない連続乗車券の発行に用いられていたが、マルス端末の普及により使用駅が減少し、2006年11月30日までJR東日本篠ノ井線坂北駅でのみ使用されていたが設備廃止になったので絶滅した。切符は旅客に渡す甲片と売り上げ報告用の乙片に分かれている。
[編集] 車内補充券
急行列車等に乗車し急行券を所持していない場合や、駅員無配置駅(無人駅)から乗車し乗車券類を所持していない場合など、車内で用いられる補充券のこと全般を指す。「車補(しゃほ)」と略称される。
通例、発券の際には乗車券であれば乗り越しについては差額を徴収し「区間変更券」の名称で発券する。定期乗車券であれば乗り越した区間の乗車券を、グリーン車については乗車予定区間のグリーン券を、急行列車については同様に料金券を発行する。
車内補充券には、主にその車掌区が乗務している路線の駅名が記載されたものや、地図式で記載されたものにパンチと呼ばれる独特の形をした検札鋏(正式には車内検札鋏、略して検鋏とも)で穴を開けて発行するものや、乗車変更などに対応して手書きのものなどがある。
しかし、1990年代より小型の発券機により発行される事例が増えている。
[編集] 特別補充券
旅客営業取扱基準規程第236条では、
- 自駅に設備のない乗車券の代用発行する場合(旅客営業取扱基準規程第191条)
- 他駅発の普通乗車券の代用として発行する場合(旅客営業規則第27条第1項)
- 乗車券類の変更、乗車変更の取扱をする場合
- 乗車券の誤発行および破損・汚れた乗車券の再交付をする場合
- 紛失した乗車券類を再発行する場合(旅客営業取扱基準規程第314条)
- 誤発行した乗車券類の代用として再発行する場合(旅客営業取扱基準規程第378条第1項第1号)
に用いるとされている。
[編集] 出札補充券(改札補充券)
駅において、発券端末や他の補充券類で発行できない切符などを発行する際に主に用いられる。切符は旅客に渡す甲片と売り上げ報告用の乙片に分かれ、JRなどではノンカーボン紙を使用するほか、カーボン紙を挟んで使用する会社もある。
JRは乗車券発行を前提としたものであるが、私鉄では座席指定券にも対応できるように座席指定欄もついていることが多い。
端末が設置されている駅では非常用として保管しているところがほとんどであり、近距離乗車券などで入手するのは無理である。なおJR北海道やJR九州のマルス未設置駅の社員配置駅や簡易委託駅では常備区間以外の乗車券を出札補充券で発行している所もある。ジェイ・アール北海道バスでは札幌駅地下(アピア)案内所、様似駅に鉄道と同じ様式だが独自の地紋で設置してある。
[編集] 料金専用補充券
主にJRの駅において、特急券や指定席券などの料金券を発行する際に用いられる。切符は旅客に渡す甲片と売り上げ報告用の乙片に分かれている。ノンカーボン紙である。
マルス端末設置駅では非常用として保管しているところがほとんどであり、入手するのは難しい。ただJR東日本・西日本・四国のPOS端末設置駅(JR四国は旧型のみ)では、POS端末による指定券発券が出来ないため、発行の際に常用されていることが多い。またJR北海道・東日本・九州の端末未設置駅では指定券のほか、自由席券の発行にも使われることもある。
POS端末設置駅においては発行後に、POS端末メニューの「補充券発行実績」に入力する必要がある。乙片は売上処理後、各地域の審査センターに送られることになっている。
[編集] その他
路線バスの場合には発券に際して国鉄バス・JRバスの様に鉄道のそれに近い乗車券の様式を規定したものを用いている場合もあるが、東海自動車は案内所によっては、発券する乗車券が全て補充片道乗車券の箇所もある。またバス会社の中には、金券式の回数乗車券を代行で用いる場合もある。