認知的不協和
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認知的不協和(にんちてきふきょうわ)は、人がある認知(知識、経験、行動など)と矛盾した認知に遭遇した時に感じる不協和(不快感)を解決しようとする心理状態、社会心理学用語。アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーによって提唱された。
よく挙げられる例として、「喫煙者」の不協和がある。 「喫煙は体に悪い」という認知に対して、「自己の認知を変える(禁煙する)」「他の認知情報を求める(健康で過ごしている人もいる)」「重要度を変える(肺がんにかかるより交通事故にあう確率のほうが高い)」といった心理状態が働くのである。
[編集] フェスティンガーの実験
フェスティンガーは、単調な作業を行わせた学生に対して報酬を支払い、次に同じ作業をする学生にその作業の楽しさを伝えさせる実験を行った。 この実験では、実際にはつまらない作業という認知と矛盾する楽しさを伝えるという認知から不協和が発生するが、報酬の多寡で楽しさを伝える度合いが異なる事を確かめた。 報酬が少ない学生は、報酬が多い学生よりも楽しさを伝える度合いが強く、割に合わない報酬に対して「本当は面白かったのかもしれない」と認知を変えて不協和を解決しようとする心理が強く働いているとした。