認知
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
- 認知は「統覚」と「連合」の二段階にわかれた処理である。統覚は、風景などの知覚から形を取り出す働きであり、その形が何であるのかを判断する働きが連合である。認知の障害が失認であり、見えたり聞こえたりすることはできてもそれが何であるか理解できない(連合の障害と統覚の障害とでは症状には差異がある)。見たものが認知できない視覚失認のほか、相貌失認・手指失認など様々な症状があり得る。
- 日本の民法における認知(にんち)とは、嫡出でない子について、その父又は母が血縁上の親子関係の存在を認める旨の観念の表示をすることをいう(779条)。法律上、当然には親子関係が認められない場合について、親子関係を認める効果がある(以下、詳述する)。
[編集] 民法学での認知
民法での規定上は、父・母からのいずれによる認知も想定されているが、現在の判例は、母子関係は、原則として母の認知をまたず、分娩の事実によって当然に発生するとしており(最高裁昭和37年4月27日判決民集16巻7号1247頁)、認知は父子関係においてのみ問題となると考えられていた。
しかし、近時の人工生殖技術の進歩により、分娩を経ない場合の「母」が観念されうるようになり、代理母における母子関係などの新たな問題が生じていることから、向井亜紀の出産などの報道(2004年1月)を通じて、日本国内の世論の関心を集めた。現在、この問題に関する立法作業が進められている。
- 認知は、戸籍法の定めるところにより届出や遺言によって出来る(第781条)。
- 胎児でも父は認知でき、死亡した子でも父母は認知できるが、死亡している場合はその子に直系卑属がいることが条件となる。よって、その子が出生から数年で死亡している場合は、その子に直系卑属はいないので、認知することが出来ない(第783条)。
- 強制認知(第787条)。
[編集] 戸籍法での認知
戸籍法での規定には以下のものがある。
- 認知届(第60条)
- 胎児の認知届(第61条)