踏鞴製鉄
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
踏鞴製鉄(たたらせいてつ、英:tatara iron making method)とは、世界各地でみられた初期の製鉄法で、製鉄反応に必要な空気をおくりこむ送風装置の鞴(ふいご)がたたら(踏鞴)と呼ばれていたためつけられた名称。
たたら製鉄により砂鉄・岩鉄・餅鉄を原料に和鉄や和銑が製造され、その後は大鍛冶と呼ばれる鍛錬による脱炭をさせる製鋼法である。この方法で和鋼が製造されたこともあったが現在では行われていない。他には和銑を再度溶融し、鉄瓶などの鋳鉄製品を製造する原料とした。 特に砂鉄を使ったときの純度は99%。古来にして世界最高峰の純度を誇る。 日本刀は普通に製鉄された鉄ではできない。 名刀といわれる日本刀はたたら製鉄により鋳鉄された鋼(玉鋼)のみが使用されている。 また、現在でも高価な職人の包丁などは、玉鋼により鋳造されることがある。 しかし玉鋼は、全体の鉄鋼に比べればごく希少で、おのずと高価となる。
出雲安来の素鉄製品や奥州の南部鉄瓶などは和鉄製品を今に伝える代表例である。たたら製鉄と並立する日本独自の和式製鋼法にたたら吹き(タタラ)があり、現在は出雲安来地方の島根県仁多郡横田町(現:奥出雲町)で唯一製造が行われ、日本刀や刃金の素材を製造している。また年代毎の方式の変遷は古代-中世においては、露天型の「野だたら」、それ以降は屋根を備えた、全天候型の「永代だたら」への移行といった流れがある。
元来は銑(ズク)押し法と呼ばれていた。