軽音楽
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軽音楽(けいおんがく)は、クラシック音楽や伝統芸能に属する音楽に対して、商業的に流通された気軽に聞くことのできる比較的小規模な音楽をいう。
英語でいう light music は、イギリスに源流を持つ。19世紀末頃から20世紀初頭にかけて、en:seaside orchestraによってポピュラーな歌謡曲やクラシック音楽を幅広く演奏することが流行し、有名なクラシック音楽の作曲家エドワード・エルガーなども作品を残している。この演奏スタイルを1930年代にBBCがとりあげたのが、light music が放送向きのジャンルとして確立するきっかけになった。
旋律を重視する点に音楽的な特徴があり、マントバーニー楽団 (Mantovani orchestra) のシンボルともなったen:Ronald Bingeの cascading strings(弦を多くのプルトにわけ、わずかな時間差で同じ旋律を演奏すると、リバーブのような、滝の流れるような独特の効果が得られる)やen:Robert Farnonのクローズハーモニー(各声部が近い音程をもって和声を構成する方法)が代表的な手法である。
軽音楽という用語は死語に近いが、このジャンルはイージーリスニング、ムード音楽として現在も生き延びている。また、クラシック音楽や古典音楽に対するポピュラー音楽全体を軽音楽と称することもあった。NHKの「軽音楽オーディション」、『軽音楽をあなたに』(往年のNHK-FM番組)といった名前、学校のサークル名がそれを物語っている。例えば「軽音楽部」はロックやフォークやジャズをジャンルとし、対して「音楽部」は交響楽や合唱音楽(「アカペラ」を除く。ア・カペラ参照)をジャンルとするといった具合である。