英国放送協会
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英国放送協会(えいこく ほうそう きょうかい、イギリス放送協会、BBC: The British Broadcasting Corporation)は、イギリスの公共放送局。びわ湖放送と同じ略称であるが、Biwako Broadcasting Co. Ltd.の略というだけで、特に関係はない。
目次 |
[編集] 放送系統
[編集] テレビ放送
[編集] アナログ・デジタル両方
- BBC One
- BBC Two - 知的・教養番組など
[編集] デジタルのみ
- BBC Three - 若者向け娯楽番組
- BBC Four - ドキュメンタリー
- CBBC - 子供向け編成
- CBeebies - 幼児向け編成
- BBC News 24 - ニュース専門放送局
- BBC Pariament - 議会中継、討論番組など
- BBC World(国際放送)
- BBC HD - ハイビジョン番組
[編集] ラジオ放送
- アナログ・デジタル両方
- Radio 1 - 若者向け
- Radio 2 - 中年・年配者向け(BBCで最も聴取者が多い)
- Radio 3 - クラシック音楽など
- Radio 4 - ニュース・教養番組
- BBC Radio Five Live - ニュース・スポーツ中継など
- World Service - 国際放送(そのうちの英語版)
- BBC 1Xtra - ブラックミュージック全般
- BBC 6 Music - オルタナティブ・クラシック・ロックなど
- BBC 7 - コメディ・ドラマ・子供向け番組
- BBC Asian Network - 主にインド・パキスタン・バングラデシュ出身の南アジア系移民(アジア系イギリス人)向けの娯楽・音楽番組など(一部の地域ではアナログでも放送)
- BBC Five Live Sports Extra - Five Liveで放送できなかったスポーツ中継(通常期は放送されない)
[編集] 沿革
- 1922年11月 - 「イギリス放送会社」(BBC)として放送開始。
- 1927年1月 - 国王の特許状に基づく公共放送「イギリス放送協会」(BBC)に組織変更。
- 1932年12月 - エンパイアサービス(国際放送)開始。
- 1936年11月 - 世界初のテレビ放送開始。
- 1967年7月 - カラーテレビ放送開始(方式はPAL)。
- 1998年9月 - 世界初の地上デジタル放送開始。
[編集] 設立の背景
元々はイギリス政府の提案が第一のきっかけであった。その提案とは、無線機メーカーが共同で放送会社を設立して受信機の販売促進を図り、そのかわり政府は外国との販売競争から業者を保護するというものであった。無線機メーカーがこの提案を飲み、1922年、イギリス放送会社BBCが設立され、政府はBBCに受信機販売と放送の事実上の独占権を与えた。この提案の目的は、アメリカのように多くのラジオ局が限られた周波数に群がり、海賊放送に走ること、競争を起こすことを避けるためであった。1926年放送調査委員会が、放送は公共企業体が実施すべきだと政府に勧告。翌年イギリス放送会社に代わり、国王の特許状に基づく公共事業体イギリス放送協会BBCを設立し、現在に至っている。
[編集] 財源
テレビ所有者から徴収する受信料。もっとも、イギリスでは「TVライセンス制度」を設け、テレビやビデオデッキなどを所有する為に許可証を購入するというシステムをとっている。「受信許可料」と呼ぶこともある。視聴者は郵便局で1年間有効の受信許可証を買うという仕組みで、月単位での購入も可能。現在のところ国民の約98%が払っているとのことであり、75歳以上は免除される。無許可受信者には最高1000ポンドの罰金が課される。受信料は物価の変動等を考慮して政府が決定する。
この制度により、政府や企業の力に屈しない公正な放送を行うことができ(第二次世界大戦中もイギリス軍を「我が軍」とは頑として呼ばなかった戦況報道で知られる)、また視聴率等の市場経済の流れに影響を受けず教育放送や福祉放送等が行えるということで、この考えは世界中に広まり、イギリスにならって受信料制度を採用している国も多い。
ただ、TVライセンス制度は「欧州人権規約に反する人権侵害だ」として民事訴訟が起こった事例もある。しかし、TVライセンス制度には、5年毎にBBCを公共放送として存続させるかの国民投票が課せられており、イギリス国民の過半数がこの制度を不当だと考えれば、廃止できるので世論の支持を受けて存続していると言えよう。[要出典]
なお、国際放送の財源は全額が国庫からの交付金。テレビ放送などBBCワールドワイド運営に関しては受信料と広告料で運営。
[編集] イラク大量破壊兵器疑惑報道問題
2003年5月29日、BBC Radio 4のニュース番組「TODAY」の中で、アンドリュー・ギリガン記者は前年9月に政府が発表した「イラクは45分以内に大量破壊兵器の展開が可能」とする報告書につき、政府の圧力によりイラクにとって都合の悪い形に【「よりセクシー(扇情的)な内容」にするように】-脚色・誇張させられたと報じた。これに対してイギリス政府は全面的に否定し、謝罪と撤回を求め、BBCと政府の対立が深まった。政府側は、このニュースの情報源が国防省顧問のデビッド・ケリーであると発表。ケリーは7月15日に下院の外交委員会に召還されて厳しい尋問を受け、その3日後に遺体で発見されるという事態が起きる。
これを受けて、BBCは情報源がケリーであったことを認めた。真相を解明する独立司法調査委員会が結成され、その委員会に召還されたギリガン記者は、報道は「口を滑らせた」発言であったと証言した。翌2004年1月28日に委員会は報告書(ハットン報告)を発表した。その内容は、1.ケリーの死因は自殺である 2.BBCの報道内容には問題があった 3.ブレア首相には報告書やケリーの死についての責任はない というものであった。
この報告書の発表により、BBC会長は辞任を表明し、報道機関としての信頼性を問われたが、辞任直後に行われたイブニングスタンダード紙の調査では、49%のイギリス国民が「ハットン報告を信用しない」と答え、56%がBBCが非難を受けるのは「不公正だ」と答えた。
[編集] 日本での展開
- テレビ放送
- 日本国内で本格的に多チャンネル・ケーブルテレビ局の展開が始まった頃に、フジテレビとの提携でBBCの番組のうちニュース・ドキュメンタリーを中心とした「BBC WORLD」を、SKY PerfecTV!やケーブルテレビを通して放送し始めた。放送が始まった頃はフジテレビの早朝に30分間のニュース番組を放送していた。現在地上波ではチバテレビなどで30分間のニュースを放送している。また2004年12月から、SKY PerfecTV!110、ケーブルテレビ局にてエンターテイメント番組を中心とする「BBC Japan」の放送を開始したが、2006年4月30日24時(=5月1日零時)限りで放送終了している。
- ラジオ放送
- 第二次世界大戦中の1943年7月から1990年3月30日まで、BBCは「ワールド・サービス」の一部として、短波による日本語ラジオ放送を実施していた。末期の同番組は日本の放送局からの出向者(NHK職員、アナウンサーも含めて)によって製作されていたが、BBCの財政上の問題などから廃止された。現在、英語版放送を短波、インターネットラジオ、モバHO、有線放送で聞く事ができる。また、近畿地区ではFM CO・CO・LOを通じて、一部の番組を聴くことができる。
- 日本語放送があった頃、エイプリルフールに「ビッグ・ベンがデジタル時計化されるのに伴い、時計の針の引き取り手を捜している」という嘘ニュースを流したところ、日本からまじめな問い合わせが相次いだため、それがニュースになるという事件があった。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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