連射
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連射(れんしゃ)とは、
- 弾丸、矢等のいわゆる飛び道具を連続して発射すること。
- 銃の方式のうち、フルオートマチック(全自動連発式)のこと。またはその銃によってなされる「引き金を引いている間、連続して弾が発射される」動作のこと。
- 1.が転じて、テレビゲームにおいて、コントローラの一定のボタンを連続して押したり離したりする動作およびそのテクニックのこと。連打とも。本項で解説。
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[編集] 連射と連打
この項で解説している「連射」とはコンピューターゲームに於いてコントローラーのボタンを素早く複数回押す行為である。このような操作には二つ呼び方があり、双方の違いは人力による物か、装置やソフトウェアによる物かによる。人力による物を「連打」、装置やソフトウェアによりボタンを押し続ける事によって自動的に入力される物を「連射」と言う。いずれにしても厳密に使い分けられる訳ではない。
一般に「連射」という言葉が定着した背景には、過去のテレビゲームにおいては現代のゲームほど複雑なゲームもなく、超高速に複数回ボタンを押す必要もなかったため、人力によって複数回ボタンを押し、それを「連打」と呼称していた。連射パッド等も存在していたが、当時は人力による連打もゲームの楽しさの一つの要素として認識されていたために、それほど好んで使われなかった。しかし、テレビゲーム文化の発展と共にゲームも複雑化し、次第に人力では難しい速度の連打が必要となってきたためにその認識は次第に薄れ、前述のような自動装置、すなわち「連射」装置をゲームをする者達が好んで使用するようになったために取って代わって行き、それと併せて次第に一般的な呼称も「連打」から「連射」へ変化していった物と推測される。 その証拠にファミリーコンピュータの全盛期に登場したファミコン名人の中で、連打を得意とする高橋名人の存在があったが、その技の名称は「16連打」であった。しかしながら、多様なゲームが存在する今日では「連射」と呼ぶ傾向が強いため、本項目では「連射」で統一する。
[編集] 連射の種類
連射には様々なタイプがあり、それぞれに名前が付けられている。多くはプレイヤー同士が用いる通称である。
- マニュアル連射 - 操作する人間が実際にボタンを連続して押したり離したりを繰り返すもの。手連(しゅれん)とも呼ばれる。
- オート連射(ソフト連射) - ソフトウェア側に組みこまれたプログラムにより、自動連射を行うもの。ボタンは押しっぱなしとしていれば良い場合がほとんど。携帯電話アプリなどでは操作をしなくても弾が自動で発射されるものもある。
- オート連射(ハード連射) - 連射を行える装置をコントローラに割り込ませたりすることにより自動連射を行うもの。下記「連射装置」の項を参照。
オート連射は、作品によってはその動作の特性からフルオート連射、セミオート連射と言われる場合がある。ただし、これらの明確な定義は無く、例えば「フルオート連射」の機能を搭載しているものは、作品によってはその連射動作が微妙に異なることがある。また、通常時は不可能なオート連射が、ゲーム内で特定のアイテムや裏技・隠しコマンドを使用することによって可能になる場合もある。
[編集] 連射装置
連射とはボタンが「押された」信号と「押されていない」信号とが交互に高速で入力されている状態と言える。このような信号をボタンを押しっぱなしにしている状態で入力するために入力装置(コントローラ)と組み合わせるハードウェアが「連射装置」である。
「連射装置付きのコントローラ」を略して「連付(れんつき)」と呼ぶ。
[編集] シンクロ連射
ほとんどのコンピュータゲームの処理は60分の1秒単位で行われている。つまりボタン入力の受け付けも60分の1秒単位で行われる。 これはディスプレイの走査方式が60分の1秒単位であるため、60分の1秒の間に各種処理を行い画面の書き換えがなされれば最も動きがスムーズに見えるためである。 ゲーム機(アーケードゲーム基板など)から出力されるこの60分の1秒単位の信号を利用してボタンの入力信号をON・OFF・ON・OFF…と交互に変更することにより連射を行う装置をシンクロ連射と言う。
理論上ゲーム機が理解できる最高速度の連射(秒間30連射)ができるというのが最大の利点である。 しかし処理落ちに弱く、処理が60分の1秒におさまらなく次のタイミングに持ち越されたとき(いわゆるフレームスキップ)は連射の速度が落ちたりタイミングがずれることがある。 また、ゲームのハードもしくはソフトの仕様により、この速度では認識されない場合もある。この場合はボタンの信号がON・ON・ON・OFF・ON…などとなるようにして連射速度を下げれば(この場合は秒間15連射)良いのだが、連射速度ごとに別々の回路が必要になる。
[編集] アナログ連射
コントローラのボタンの回路にタイマーICなどを組み込み、ボタンの入力信号を単純に一定間隔でON/OFFさせているもの。
利点はゲームの仕様や処理落ちに関係なく一定間隔の連射ができることと、可変抵抗などを組み合わせることにより簡単に連射速度が変更できることである。
欠点としては、厳密な連射速度の設定が出来ないことである。とくに連射速度を速くしていくと、シンクロ連射の項で述べた、ゲーム機が入力を受け付ける60分の1秒のタイミングとのずれが生じ思ったような連射速度が得られないことがある。
[編集] その他
ボタンを連続で「押す」ための装置も市販されている。
- 連射名人高橋君 - マッサージ器のような、モーターで振動するペン型の器具をボタンに押し当てる。
- オレコマンダー - 「ペリボーグ」シリーズ第一弾としてHORIから発売。モーターで振動する器具を指に取り付けて使用する。