弾丸
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弾丸(だんがん)とは、基本的に鉛合金の弾芯に銅合金の被甲をかぶせた物で、銃や砲に使用される。材質や形状は用途により多岐に渡る。発射薬や雷管と共に薬莢に収められたものは実包(カートリッジ)という。
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[編集] 弾丸の種類
- フルメタルジャケット(full metal jacket / 被覆鋼弾)
- 貫通性が高い通常の弾丸。弾芯が金属の覆い(ジャケット)で覆われている。
- ほとんどのフルメタルジャケット弾は鉛の弾体をギルディング・メタル(銅95%、亜鉛5%の合金、即ち真鍮)で覆っている。
- 主に軍用である。これはハーグ陸戦条約第23条の「不必要な苦痛を与える兵器、投射物、その他の物質を使用すること」(平仮名訳)への抵触を避けるためである。
- ソフトポイント (soft point)
- 弾頭先端が金属で覆われていない弾丸。命中すると先端が変形し、運動エネルギーを衝撃に変換することで、目標に大きなダメージを与える。かつてイギリスがインド統治の際、反乱軍を鎮圧するために開発された。
- ホローポイント (hollow point)
- 弾頭がレンズのように窪んでいる弾丸。命中すると先端がキノコ状に変形(マッシュルーミング)し、運動エネルギーを衝撃に変換することで、目標に大きなダメージを与える。
- 徹甲弾(アーマーピアシング armor-piercing bullet)
- タングステン合金や劣化ウラン合金や鋼鉄などの硬質で比重が重い材料によって弾芯が作られ、運動エネルギーにより装甲を撃ち抜くための弾丸。弾丸という言葉が使用されるサイズの銃では主にHVAPが用いられている。
- 照明弾
- 発射されると強い光を放つ弾丸。夜間戦闘や暗い屋内での戦闘に用いられ、通常は照射のために上空に向けて打ち上げられる。屋内での使用は火災誘発につながるので、安全に留意する必要がある。
- 曳光弾 (tracer bullet)
- 発射されると後方に光を曳く、弾道を視認しやすくするための弾丸。機関銃などの照準確認用として通常弾とともに用いられる。飛翔距離と共に内蔵した発火薬が減少して軽くなるため、ある程度の距離を飛翔すると通常弾とは違う弾道を描くため、あくまで目安である。
- たいてい5発に1発の割合で曳光弾が混入される。燃料タンクに着弾した場合、発火させる効果もある。
- ゴム弾 (rubber bullet)
- 弾頭を硬質ゴムで作成した弾丸。多くの場合、弾丸は切れ目の有る円筒状で先端にくぼみがあり、発射されると先端のくぼみが受ける風圧で切れ目に沿って十字形に開いて飛翔する。弾丸の重量やその構造上、有効射程が短く、目標に対して弾丸が貫通することがないので非致死性兵器として扱われる。しかし、至近距離では十分な殺傷力があり、目標にヘビー級プロボクサーのパンチ並みのダメージを与えるため、当たり所によっては目標が死亡することもあり得る。この特性を生かして大型獣の撃退、警察や軍隊による暴徒鎮圧などに用いられる。
- エクスプローダー (exploder)
- ホローポイントのくぼみに雷管を埋め込んだもの。目標に命中すると弾頭が爆発的に変形するので、殺傷能力の向上を期待されたが、実際の効果はさほどではなかった。
- 散弾 (shot)
- 散弾銃を参照。
- フランジブル弾 (frangible bullet)
- 粉体金属(銅、スズなど)を押し固めた弾丸。
- 人体は貫通するが壁など固い物質に当ると粉々に砕けるので近接戦闘での跳弾防止、運行中の航空機内での犯罪者制圧に利用される。
- フレシェット弾 (flechette)
- 矢型の弾体を発射する弾丸。矢は1本とは限らず、散弾銃の散弾代わりに矢型子弾を詰めた実包も存在する。
- APFSDSと似たようなプラスチック製サボットを用いるが、APFSDS程の初速が得られず風に流されやすい。小口径であるがゆえにサボットが脱落せず希望しない方向に弾丸が飛翔するので命中精度が期待できないという欠点が目立つ。詳細は外部リンクを参照されたい。
- ダムダム弾 (dumdum bullet)
- 殺傷力の高い弾丸のひとつ。弾頭に十字の切れ込みがあり、目標内部で十字に沿って4つに分裂し、貫通する。そのため、人体に残酷な被害を与えるとして1899年にダムダム弾禁止宣言が、次いで1907年にハーグ陸戦条約が結ばれ使用が禁止された。イギリス軍がインドコルカタ近郊のダムダム兵器工場で初めて作ったことが名前の由来となっている。
- ダムダム弾はハーグ陸戦条約第23条に抵触するため戦争での使用は禁止されているがそれ以外の狩猟や警察等では、一発で多大なダメージを与えることができ、また対象物内部で弾丸がとまる可能性が高い(貫通による二次被害の軽減)ため、現在でも多く使用されている(パッケージにも「使用は法執行関係者に限る」の印刷がされている」)。
- また、現在ダムダム弾に変わる高い殺傷能力を持ったライフル弾薬が各国の軍隊で採用されている。これは弾丸の前後の素材を変え、各素材の密度の違いによって軟目標に入った場合 目標内部で回転しダムダム弾に相当する被害をもたらす。硬目標に対しては弾丸前方がスチール・コアで作られているため通常弾薬より高い貫通力をもたらす。
- 急所でなくとも被弾すると激痛が走り、まともに動けなくなる。
- 湾岸、イラク戦争等 現在多くの戦争にて使用されている。主な使用国:アメリカ、イギリス 等のNATO加盟国、ロシアを中心とした東側諸国。
- ケネディ大統領の命を奪ったのもダムダム弾といわれている。
- ワッドカッター (wadcutter)
- 射撃競技用の弾丸。先端が平坦なため、パンチしたように標的に丸い穴を開ける。このため着弾位置の確認が容易である(他の弾丸では紙を指で突き抜くような弾痕になるので分かりにくい)。
[編集] 鉛弾問題
現在、狩猟家たちの間で鉛製の弾頭についての問題が持ち上がっている。鉛弾によって仕留められた獲物が放置されることにより、その死骸を食べた猛禽類が鉛中毒で死んでしまうという問題である。米国では保護動物であるオオイヌワシがこの被害にあっているとされ、同国の狩猟愛好者らは心を痛めている。日本でも北海道においてイヌワシが鉛中毒により死亡した事例が報告されている。
又、鳥は歯を持たず、代わりに食べ物をすり潰すための砂嚢と呼ばれる器官を持っており、これに外部から摂取された砂粒を蓄えている。鳥を撃つための散弾粒のサイズが、砂嚢に蓄えるために鳥が好んで飲み込む砂礫のサイズに近いことから、散弾粒を誤飲して鉛中毒になる危険性が指摘されている。これは猛禽類以外の鳥類においても鉛中毒となる危険性があるということである。特に水鳥は、放置された発射後の散弾(回収は不可能である)による水辺生態系の鉛汚染により、間接的にも鉛中毒となる危険が高い、と危惧する声がある。
このため日本を含む世界の各地でも狩猟用の鉛弾規制が進められており、代替としてスチール・タングステン・錫・銅等の素材で出来た物が製造されている。当初は、銅弾は柔らか過ぎて銃腔内に銅の層が付着して銃腔内を狭め、スチール弾は硬すぎて鉛散弾仕様の銃腔内を傷つけてしまうため、共に銃身破裂などの問題を起こしやすいとして、鉛弾規制反対の声もかなり聞かれたが、近年ではそれらに対応した銃器の普及も進み、規制反対の声は少なくなっているが、コスト面での課題は多い。