酸化銅(II)
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酸化銅(II)(さんかどう に)は化学式 CuO で表される銅の酸化物で、黒色の粉末。CAS登録番号は1317-38-0。水、アルコールに不溶。塩酸、硫酸、塩化アンモニウム溶液、アンモニア水などに可溶。融点 1,064 ℃。1,050 ℃以上で分解して酸化銅(I) になる。
酸化銅(II) は塩基性酸化物であるので、酸と反応して塩を作る。水素または一酸化炭素気流中で 250 ℃に加熱すると容易に金属銅に還元される。また、黒鉛粉末とともに加熱することによっても還元される。天然では黒銅鉱として産出する。
釉薬の着色剤として利用される。陶磁器に酸化銅(II)を添加した釉薬をかけて焼成すると、酸化焼成では青色~緑色に、還元焼成では赤色に発色する。還元焼成で現れる赤色はかつては釉薬中の酸化銅(II)が金属銅に還元されて発色したものと考えられたが、今日では酸化銅(II)が酸化銅(I)に還元されて赤く発色すると考えられている。
[編集] 生成
酸化銅(II) は、水酸化銅(II)、硝酸銅(II)、炭酸銅(II) もしくは単体の銅などの加熱で得られる。
- Cu(OH)2 → CuO + H2O
- CuCO3 → CuO + CO2
[編集] 反応
酸化銅(II) が塩酸、硫酸、塩化アンモニウム溶液、アンモニア水に溶ける際は以下のような反応を起こす。
- CuO + 2 HCl → CuCl2 + H2O
- CuO + H2SO4 → CuSO4 + H2O
- 2 CuO + 4 NH4Cl → CuCl2 + [Cu(NH3)4]Cl2 + 2 H2O
- CuO + 4 NH3 + H2O → [Cu(NH3)4](OH)2
また、酸化銅(II) を金属銅に還元する際には水素や一酸化炭素、黒鉛と以下のように反応させる。
- CuO + H2 → Cu + H2O
- CuO + CO → Cu + CO2
- 2 CuO + C → 2 Cu + CO2
[編集] 関連項目
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