金神
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金神(こんじん)は方位神の一つである。
金神の在する方位に対しては、あらゆることが凶とされ、特に土を動かしたり、造作・修理・移転・旅行などが忌まれる。この方位を犯すと家族7人に死が及び、家族が7人いない時は隣の家の者まで殺される(これを七殺(ななさつ)という)と言われて恐れられた。
目次 |
[編集] 金神の巡行
金神の在する方位は、その年の十干によって変わる。
- 甲・己の年:午・未・申・酉
- 乙・庚の年:辰・巳
- 丙・辛の年:子・丑・寅・卯・午・未
- 丁・壬の年:寅・卯・戌・亥
- 戊・癸の年:子・丑・申・酉
[編集] 金神の遊行・間日
金神は以下のように遊行する。すなわち、これらの期間においては、金神が遊行した方角以外は犯しても構わない。これは、金神の在する方位が1年間も塞がったままでは都合が悪いために設けられたものである。
遊行の期間 | 遊行する方位 | |
---|---|---|
通年 | 甲寅(51番目)の日から5日間 | 午の方へ |
丙寅(3番目)の日から5日間 | 酉の方へ | |
戊寅(15番目)の日から5日間 | 中央(家の中)へ | |
庚寅(27番目)の日から5日間 | 子の方へ | |
壬寅(39番目)の日から5日間 | 卯の方へ | |
春(立春から春の土用まで) | 乙卯(52番目)の日から5日間 | 午の方へ |
夏(立夏から夏の土用まで) | 丙午(43番目)の日から5日間 | 酉の方へ |
秋(立秋から秋の土用まで) | 辛酉(58番目)の日から5日間 | 子の方へ |
冬(立冬から冬の土用まで) | 壬子(49番目)の日から5日間 | 卯の方へ |
(数字は甲子から数えた日数)
また、春の丑の日、夏の申の日、秋の未の日、冬の酉の日は金神の間日(まび)として、金神の方向を犯しても差し支えないとした。
[編集] 大金神・姫金神
後に、金神に似た性格の大金神・姫金神という方位神が設けられた。それに伴ない、元の金神は巡金神と呼ばれるようになった。
大金神・姫金神の在する方位は、その年の十二支によって変わる。大金神と姫金神は常に正反対の方位に在する。
十二支 | 大金神 | 姫金神 |
---|---|---|
子年 | 酉 | 卯 |
丑年 | 戌 | 辰 |
寅年 | 亥 | 巳 |
卯年 | 子 | 午 |
辰年 | 丑 | 未 |
巳年 | 寅 | 申 |
午年 | 卯 | 酉 |
未年 | 辰 | 戌 |
申年 | 巳 | 亥 |
酉年 | 午 | 子 |
戌年 | 未 | 丑 |
亥年 | 申 | 寅 |
[編集] 金神と宗教
金神は人々に大変恐れられていたが、幕末の川手文治郎と明治の出口なおの二人は、金神は封印された古代の神であり、それを恐れずに逆に敬えば大きな恩恵が与えられる、と考えた。この考えに基づいて川手文治郎は金光教を、出口なおは大本教を興した。