方位
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方位(ほうい)とは、ある地点における水平面内の方向を、基準となる方向との関係で表した物。又は、基準となる幾つかの方向に付けた名称である。方角(ほうがく)もほぼ同義である。
平面上では、東・西・南・北の四方向を基準として、周角を八等分、十六等分した物が用いられる。
立体上では、東・西・南・北・天・地の六方向が基準となる。
尚、これらのいずれにも属せず、観測点となる方位を中央という。
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[編集] 平面上の基本的な範囲
平面上では、北を基準とした角度で表現し、値を読み上げる方式が多く用いられる。この方式では、北を0°=360°として、東を90°、南を180°、西を270°とする、このように決められた水平面内での角度を方位角と呼ぶ。
平面上で基礎となる四方は、東・西・南・北、或いは左・右・前・後の四種類を指し、方位間隔は90°(直角)となる。これら四種類の内、東西(左右)を幅または横、南北(前後)を奥行または縦という。しかし、東西南北と左右前後は、前面の位置により異なる。例えば、東が前となる場合は、北は左、南は右となる。
一般に、地図においては、北を前(360°)、東を右(90°)…という順で示す事が多い。
[編集] 平面上の分割法
- 五方
四方に中央を加えて、五方(ごほう)という。五方位の発想は、特に古代中国の五行思想に由来すると言われ、五行と片手の指(五指)に因んだ数え方である。つまり、四要素に「中立」を意味する要素を加えて、五個一組となる。
- 八分割
八等分する場合は、東・西・南・北・北東・南東・北西・南西の八方向となり、方位間隔は45°となる。
これらの内、北東・南東・北西・南西、或いは右前・右後・左前・左後の四つの方位は四隅と呼ばれ、これらは45の倍数の内、奇数となる方向である。
地図上では、北を前として、以下のように割り振る事が一般的である。
四方
|
四隅
|
又、日本では、「八方美人」「八方塞がり」という風に、方位を八つに分けて数える場合が多い。
- 十六分割
十六等分の場合は以下のようになる。方位間隔は22°30′である。
- 北
- 北北東
- 北東
- 東北東
- 東
- 東南東
- 南東
- 南南東
- 南
- 南南西
- 南西
- 西南西
- 西
- 西北西
- 北西
- 北北西
三十二等分の場合は、北の両側に「北微西」「北微東」、北東の両側「北東微北」「北東微東」のように方位が入る。更に精密な方位が必要な場合(天文、測量など)は、北28度東・南15度西のように角度で表す。
[編集] 東洋の方位
東洋(中国を中心とする東アジア)では、昔は十二支による以下の十二方向の方位が用いられていた。それぞれの方位間隔は30°である。
子 | 丑 | 寅 | 卯 | 辰 | 巳 | 午 | 未 | 申 | 酉 | 戌 | 亥 | 子 |
北 | 東 | 南 | 西 | 北 |
又、八卦を用いた以下の八方向による方位が、特に易で用いられた。
坎 (かん) |
艮 (ごん) |
震 (しん) |
巽 (そん) |
離 (り) |
坤 (こん) |
兌 (だ) |
乾 (けん) |
北 | 北東 | 東 | 南東 | 南 | 南西 | 西 | 北西 |
更に、十二支・八卦・十干を組み合わせた二十四方向の方位もあった。
子 | 癸 | 丑 | 艮 | 寅 | 甲 | 卯 | 乙 | 辰 | 巽 | 巳 | 丙 | 午 | 丁 | 未 | 坤 | 申 | 庚 | 酉 | 辛 | 戌 | 乾 | 亥 | 壬 | 子 |
北 | 北東 | 東 | 南東 | 南 | 南西 | 西 | 北西 | 北 |
この内、北(坎・子)、東(震・卯)、南(離・午)、西(兌・酉)を四方、北東(艮)、南東(巽)、南西(坤)、北西(乾)を四維という。
又、艮は丑(うし)と寅(とら)の間にあることから「うしとら」ともいう。同様に、巽は「たつみ」、坤は「ひつじさる」、乾は「いぬい」という。
四方位・八方位・十二方位との関連、又は四方に置き換えられる物は、以下のように整理される。
方位 | 北 | 南 | 東 | 西 |
---|---|---|---|---|
角度 | 0°= 360° | 180° | 90° | 270° |
十二支 | 子 | 午 | 卯 | 酉 |
八卦 | 坎 | 離 | 震 | 兌 |
季節 | 冬 | 夏 | 春 | 秋 |
時刻 | 0°= 24° 真夜中 |
12° 真昼 |
6° 夜明け |
18° 日暮れ |
四神 | 玄武 | 朱雀 | 青竜 | 白虎 |
四天王 | 多聞天 | 増長天 | 持国天 | 広目天 |
四色 | 藍(青) 白 |
紅(赤) | 緑 | 黄 |
[編集] 時計と方位
時刻を用いた表現として、アナログ時計の時計回りに東を3時(90°)、南を6時(180°)、西を9時(270°)、北を12時(360°)のように表現し、この表現方法をクロックポジションと言う。
クロックポジションは、視覚障害者へ説明する場合に用いられる場合があり、具体的には視覚障害者を時計の文字盤の中央に置き、視覚障害者から見て正面を指す場合は12時の方向とする。
船舶・航空機などの移動する乗り物では進行方向を12時として、十二等分で目標事物の方位を伝える。これに対して、基地などの固定した事物からは真北を12時とする。
野外において目標物が存在せず、アナログ時計を所持している場合は太陽の向きと時計の短針(時針)から方角を割り出す事ができる。北半球の中緯度地域の場合、太陽の方向に短針を合わせ、短針と文字盤の12時の位置との二等分角が南を示す。南半球の中緯度地域では逆に北を示すが、北・南半球とも高緯度地域や低緯度地域ではこの方法で正確に方角を割り出すのは困難である。
[編集] 立体上の基本的な範囲
立体(三次元空間)においては、東・西・南・北・天・地の六つ、または左・右・前・後・上・下の六つが基礎的な方位となり、六方と総称される。
これら六つの方位の内、東西(左右)を幅または横、南北(前後)を奥行または縦、天地(上下)を高さまたは深さという。六つの方位は互いに直角に交差し、それぞれの方向で面を構成する。
尚、平面の場合と同様に、東西南北天地と左右前後上下の位置関係は、相対的に異なる。
六方を象徴する物としては、正六面体(さいころ)や室が代表的であり、建造物は一般に六面体で造られる。家屋は、上面を二分して七面体(=五角柱)で造られる例が多いが、上面を一面構成にして六面体で造られる例もある。
[編集] 立体における四隅
立体における四隅は、4 方面× 3 次元で12種類(東西南北、東西天地、南北天地の組み合わせ)となる。6 つの基礎方位(90°)と12の隅(45°)を加えると、計18種類となる。
この内、六方に四隅を加えた十種類の方位は十方(じっぽう)と総称され、八角柱(=十面体)で形容される。