針葉樹林
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針葉樹林(しんようじゅりん)とは、主として針葉樹で構成された森林の事。
針葉樹は世界の森林域のほぼすべての地域に分布するが、多くの地域では広葉樹に混在するか、限られた環境で森林を構成するのみである。針葉樹が中心となる森林が多く見られるのは、広葉樹の生育には適さない地域であり、これは、針葉樹がより古い型の植物であるため、種間の競争では広葉樹に勝てないからではないかと言われる。その代わりに劣悪な環境手への耐性を発達させたのであろう。広葉樹が森林を作れない寒冷な地域では針葉樹が大規模な森林を作る。いわゆる冷温帯がこれにあたり、、シベリアにはタイガと呼ばれる、広大な天然の針葉樹林が広がっている。
日本で極相として針葉樹林があるのは、以下のような所である。
- 山岳地帯の亜高山帯針葉樹林。日本においてはブナ帯より上、高山帯までの範囲がこれに当たる。標高で見れば、本州中南部地域ではおよそ1500m以上がほぼこれに当たる。北海道中部以北では平地までこの型の森林帯にはいる。
- 照葉樹林帯ではモミ、ツガなどの針葉樹が混じるが、これらが多いところでは、外からは針葉樹林のように見える。特に、モミ林はまとまった面積を占めることがあり、これを暖帯と温帯の間に位置すると見なし、中間温帯と称することがある。森林を構成する種の組成としては、照葉樹林である。
- 海岸の砂地や岩の上にはクロマツ、アカマツ、イブキなどが目立つ森林が見られるが、広葉樹が中心になっていることが多い。
このほか、次のような針葉樹林が見られる。
- 日本で実際に目にする針葉樹林は、その大部分が人工林である。暖帯~温帯ではスギやヒノキ、より寒い地域ではカラマツの植林が多い。特にひと頃の拡大造林の方針のため、自然林より大きな面積を占める。現在は材木が商売にならないほど下がっており、手入れを放棄された人工林があちこちに見られ、問題となっている。
- クロマツ・アカマツ林は、特殊な条件の場所以外では、遷移の途中段階であり、次第に広葉樹林になってゆく。かつては、民家の燃料としてマツの落葉落枝がよく使用され、それによってマツ林が長期にわたって維持されていた。しかし、その後の生活の変化によってマツ林に人手が入らなくなり、そこへマツクイムシによる被害が重なり、現在ではあまり見られなくなっている。
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