アカマツ
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?アカマツ | |||||||||||||||||||||||||||
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アカマツの若枝と葉 |
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Pinus densiflora Siebold & Zucc. |
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和名 | |||||||||||||||||||||||||||
アカマツ | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Japanese Red Pine |
アカマツ (Pinus densiflora, 赤松)は、マツ科マツ属の常緑針葉樹である。複維管束亜属(いわゆる二葉松)に分類される。
目次 |
[編集] 特徴
日本産の松の中でもっとも広い範囲に分布し、目に触れる機会の多い松である。文字通り樹皮が赤いのでこの名が付いている。クロマツが雄松と呼ばれることに対比して、雌松(メマツ)と呼ばれることもある。恐らく、クロマツの葉が硬く鋭いのに対してアカマツの葉は比較的柔らかいことに由来する。天然状態では本州・四国・九州・朝鮮半島・中国東北地方などに分布するほか、北海道にも植林されている。温暖地に多いが、クロマツに比べ、かなり寒冷な気候にも耐えることができ、八ヶ岳山麓の美しの森山(海抜約1500m)にも大規模な群落が見られる他、北海道でも天然林化しているものがある。クロマツが強く海岸線に生育するのに対して、アカマツはどちらかといえば内陸に産する。
[編集] 生育環境
マツ属一般にそうであるように、明るい場所を好む陽樹であり、また乾燥地や、土壌の乏しい溶岩上などに耐えることができる一方、安定した極相林の中では他の樹木に伍して子孫を残すことができない、典型的な先駆植物である。そのため、アカマツが現在のように数多く見られるようになったのは、有史以後の照葉樹林など天然林の破壊の結果であると考えることもできる。また、アカマツ林はマツタケの生産林でもある。第二次世界大戦前後までは、日本では燃料を山林に頼っていたので、アカマツ林の落葉や落枝は重要な燃料となっていた。そのため、毎日のように落ち葉を一抱え持ち帰る、というようなこともあったらしい。このような作業が、アカマツ林の林床を乾燥した、他の植物の侵入しにくい条件とし、遷移を止める役割を担っていたと考えられる。そのような働きかけが行われなくなった結果、アカマツ林が衰退するのは当然の結果といえる。なお、マッタケ山ではそのような手入れを現在も行っている例がある。
[編集] 系統
シベリアからヨーロッパにかけての広い範囲に分布するシベリアアカマツ(ヨーロッパアカマツ Pinus sylvestris)に近縁と考えられている。ただし、シベリアアカマツはアカマツよりはるかに寒冷地に分布の中心があり、シベリア・スカンジナビアのタイガの主要構成樹種となっている。また、日本国内の近縁種にクロマツがある。クロマツは海岸沿いに分布し、内陸に分布するアカマツと混交することは多くないが、まれに両者の雑種(アイグロマツ)が生じることがある。
[編集] 品種
- タギョウショウ(多行松) Pinus densiflora form. umbraculifera
- 根元から幹が分かれて立ち上がり、高木にはならない。種で繁殖させると同じ性質を持ったものができにくく、接ぎ木で殖やす。
[編集] 利用
庭木として栽培されることもある。
先に述べたように、かつては重要な燃料植物として重視されたが、現在の日本ではこの需要はない。しかし、お盆の松明などにマツの芯の部分の材を使うことは現在でも行われる地域がある。