鉄道駅の構造
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鉄道駅の構造(てつどうえきのこうぞう)は、地面に対するプラットホームの位置が旅客の利便性や駅周辺の都市計画に与える影響という観点から、大きく3つの類型に分類できる。それがすなわち地上駅(ちじょうえき)・高架駅(こうかえき)・地下駅(ちかえき)である。
目次 |
[編集] 地上駅
- 地上駅の定義
- プラットホームが地上にある駅。
地平駅(ちへいえき)とも言う。古くからの駅の構造であり、大都市では1970年代以降、後述の高架駅に改築された駅も存在する。駅舎はホームと同じく地上にあることが多いが、橋上駅舎となっている場合もある。
[編集] 利点
- 建設費が安い。
- 改修や改良の工事がたやすい。
[編集] 欠点
- 特に大都市周辺においては、近隣の踏切が「開かずの踏切」と化し、渋滞が発生する。もとより日本では踏切での一時停止が義務付けられているため、踏切の存在自体が交通容量の低下を招く。
- 近隣住民の安全性・利便性の上で問題が生じる。
- 行き止まりでない駅においてホームが二つ以上あったり、駅舎とホームの間に線路がある場合、当然乗客は線路を渡ることになるが、このとき改札内の跨線橋あるいは地下道による上下動が生じる。
- 跨線橋も地下道も置かない駅では、構内踏切を通ることとなるため安全面でやや不安を抱え、構内踏切に遮断機が設置されている場合は、列車が発車するのを待たないと線路を渡ることができず、余計な待ち時間ができたり、列車の発車するぎりぎりの時間にはホームに行けなくなり、乗り遅れたりすることもある。
[編集] 高架駅
- 高架駅の定義
- プラットホームが高架上にある駅。
駅舎は高架下を利用して設置されていることが多い。1970年代以降、高架線で開通した路線の駅や、地上を走る路線の高架化による連続立体交差事業に伴って、古くからの地上駅が高架駅に改築された場合が多い。広義では築堤も高架であり、築堤上にホームを持つものも高架駅と言える。近年の日本では都道府県の中心駅において高架化が進められている。
[編集] 利点
- 踏切が無い。
- 高架駅の利点というより高架橋の利点であるが、高架下が有効に使用できる。駅舎を高架下に設置する場合は駅舎の用地取得が省け、また高架下に各種小売店など商業施設などのテナントを入居させるなど、利用価値の高い駅周辺の土地を有効活用できる。
- 高架下に駅舎を設置する場合、乗客が駅両側から改札まで等しい距離で到達できる。ホーム間の連絡通路が高架下に設けられることも多く、この場合ホームまでの上下移動が、橋上駅舎を設置した地上駅の半分で済み便利である。
[編集] 欠点
- 高架の建設費がかさむ。
- 高架が壁のようになるため、都市景観に悪影響を与える。
- 高架が壁のようになるため、日照が遮られる。
- 耐震強度の基準変更があるたびに、大規模な点検や改修を必要とする。
- 車椅子やベビーカーなどの交通弱者の場合は駅員や周りの人の手助けが必要となる。
[編集] 地下駅
- 地下駅の定義
- プラットホームが地下にある駅。
駅舎は地上にあることもあれば地下にあることもあり、また地下と地上にまたがって設置されることもある。地下鉄のような地下路線、あるいは地下化による連続立体交差化が行われた路線の駅の構造である。
[編集] 利点
- 駅舎部分も地下に設ける場合、地上においては駅への出入口の取り付け部分を建設するだけで済むため、駅舎のための用地取得が省ける。都心部では近在のビルに出入口を設けることも多い。
- 都市景観に与える影響が小さい。
[編集] 欠点
- 大都市部に近年建設された駅などでは、既存の地下道や地下鉄を避けるために地中深くに建設されることが多い。このため地上と駅の間の移動や乗り換えに時間がかかる。移動の高速化やバリアフリーのためエレベーター・エスカレーターを設ける必要がある。
- 建設費が高い。ただし用地取得費との兼ね合いで選択される方式であり、大都市においてはこの限りではない。
- 災害時に大惨事になるリスクが高い。このため防災設備にコストがかかる。
- 終日構内が暗く、昼間でも照明が必要。
- 音が反響する環境にある関係上、騒音が発生しやすい。
- 駅の拡張が困難である。