長官 (古代ローマ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
プレフェクトゥス(Prefectus)とは古代ローマの官職のひとつ。「長官」と日本語では訳される事が多い。共和政ローマ、帝政ローマにおいて多種多様な職務において長官職が創設された。以降便宜上プレフェクトゥスを「長官職」と呼ぶ。
[編集] 概要
長官職の資格は高位なものから比較的低位な世俗的なものまでと範囲が大きい。また職務も行政的なものから軍事的なものまでと範囲が大きい。他の官職と異なる点としては、古代ローマのほとんどの官職が選挙という過程を経て出来うる職務(例:アエディリス)もしくはその職務を経験している事(例:プロコンスル)が条件の場合が多く、実質元老院に議席を持つ特権階級に限定されていたが、長官職の場合はその限りではなく、むしろ帝政ローマにおいては元老院議席を持たないエクィテス階級の者がローマ皇帝に任命される事も多かった。
[編集] 種類
長い古代ローマの歴史の中で多様な職種で長官職が随時創設されたが、長官職として名のついているもので歴史上重要な役割を担っているものは以下のものである。
- プレフェクトゥス・プラエトリオ(Prefectus praetorio) - 親衛隊長官の事。親衛隊の統制する職務に預かる。
- プレフェクトゥス・ウルビ、またはプレフェクトゥス・ウルバヌス(Prefectus urbi / Prefectus urbanus) - 首都長官。ローマの治安、警察業務を預かる。
- プレフェクトゥス・アエギュプティ(Prefectus Aegypti) - エジプト長官。皇帝属州で、ローマの穀物供給に欠かせないアエギュプトゥス(エジプト)の長官には皇帝よりエクィテス階級の者が任命された。