防衛参事官
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防衛参事官(ぼうえいさんじかん)は、日本の防衛大臣を補佐する防衛省の役職(官職)の一つ。2007年1月現在の定員は8。他の省庁の大臣官房や局に置かれ担当部局の業務のみを行う参事官と異なり、防衛参事官は省そのものに置かれ、防衛政策について全体的かつ多面的に大臣への立案、助言を行うことを主な任務とする。ただ、文民統制の観点から大臣を補佐する人物も文民であるべきだとの考えにより自衛官は就任できない。
防衛省の大臣官房長および局長には、防衛省設置法第9条第2項の規定により、防衛参事官が充てられる。大臣官房長または局長に充てられない防衛参事官は計3名おり、国際担当や施設担当などの特命事項を命ぜられる。
中央省庁再編に伴い、それまでの防衛庁参事官を廃して2001年(平成13年)1月6日に定員を10として設置された。その後2006年(平成18年)7月31日に、防衛参事官(衛生担当)と防衛参事官(技術担当)が廃止され、防衛参事官の定員は8とされた。なお改正後は前者が衛生監、後者が技術監とされ、長官官房(のち大臣官房)に置かれた。辞令上の正式官職名は「防衛庁防衛参事官」であったが、2007年(平成19年)1月9日の防衛庁の省昇格により「防衛省防衛参事官」となった。
[編集] 防衛参事官制度への批判
防衛参事官制度への批判として、まず「内部部局の局長が補佐するので、実質的に官僚による文『官』統制につながり、文民統制の意味に反する」。また、「体制として、局長会議と変わらず、多角的な面から大臣を補佐できないのではないか」がある。
さらに官僚兼務による弊害として、縦割り主義がある。元・防衛庁長官の石破茂は著書「国防」の中で防衛参事官制度について「長官も出勤しなけらばならないほどの事件が起きたにも関わらず、自分が関係しないからと出勤しない防衛参事官がいた。長官を補佐する役職ならば、国家の緊急時には分掌と関係なく、出勤するべきだ。」と官僚にありがちな縦割り主義を批判している。
なお、石破は当時の海上幕僚長だった古庄幸一らの進言を受け、防衛参事官に各幕僚長を加えるなどの改革案を作成するよう指示したが、内局の反対の中、抜本的な改革には至らなかった。