離岸流
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離岸流(りがんりゅう)とは、海岸の波打ち際から沖合に向かってできる潮の流れのこと。幅10m前後で生じる局所的に強い引き潮。
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[編集] 離岸流(Offshore currnts)の概要
一般に、比較的一様な流れである沿岸流が存在する海域よりも海岸に近い海域で、沖合から海岸に向かう向岸流、海岸に沿って流れる並岸流、海岸から離れ沖合に向かう離岸流として、一つの循環系を形成している海浜流系のひとつである。海浜の保全など、環境保全にも必要な流れである。 離岸流の発生は、その海岸の地形に依存する以外にも、風向及び風速などの気象並びに潮流及び潮汐などの海象により様々に変化して発生する。 注意深く観察する訓練を重ねれば、離岸流があるところでは、波峰線が途切れた海面に、通常の打ち寄せる波とは異なるざわついた水面(攪乱)が見られるため、肉眼でもその存在が認められる。 向岸流の対義語としても用いられる。
[編集] 離岸流による事故
遠浅の海岸を中心に発生しやすいため、海水浴客が知らず知らずに巻き込まれ、沖合に流され事故となるケースがある(例:流されたビーチボールや浮き輪を追いかけて知らず知らずに沖合に流される。技術の未熟なサーファーが流れに巻き込まれ沖合に流される。シュノーケリングで海中の景観に気を取られている間に沖合に流される等)。 離岸流の速さは秒速1mを超えることもあるとされており、巻き込まれたら流れに逆らって波打ち際へ戻ることはまず不可能で、離岸流に逆らって泳ぎ切ることは、水泳のオリンピック選手でも困難と言われている。一般的に、一旦、海岸線と平行方向(流れに対して直角方向)へ泳ぎだし離岸流から脱出してから海岸に向かえばよいと言われているが、実際に離岸流により沖合に流されると、パニックとなりそのような冷静な判断は難しくなる。沖合では僅かに高い波も、漂流者の視界を奪い方向感覚が掴めなくなり、自分が流されている方向すら分からなくなる。複雑な流れにより急に波浪が高くなることもあり、海水にもまれそのまま溺死してしまう可能性も高い。 そもそも、危険な流れに遭遇しないことが最も賢明である。離岸流を含め特に危険な流れについては、地元の人が良く知っている場合があるので、事前にマリンレジャー関係者や漁業関係者等から、簡単で良いから一言情報を得ておくと、安全性の向上に役立つ。
離岸流によると思われる被害が最も大きかった海浜事故として、昭和30年(1955年)7月28日に、三重県津市の中河原海岸において、市立橋北中学の女子生徒が水泳の授業中に見舞われた事故がある。静かだった海況が、突然大きな波が襲い、生徒たちが次々と海底に引きずられ36名が死亡、生存者は9名であった。中河原海岸は遠浅であるが、付近の安濃川から流れ込むことによってできた窪みがある海底地形とその川の流れにより発生した離岸流が原因であるとの説がある。地元では、その流れにより発生する「タイナミ」と呼ばれる津波が知られている。 一方で、足に何かがからみつき、それは確かに人の手であり、その手が海中に引きずり込もうとしたという、心霊現象を示唆する生存者による証言もある。
[編集] 離岸流の利用
結果的に離岸流が発生している場所は大きな波が立ちにくいため、サーフィンやボディボード、ウィンドサーフィンのこぎ出しを行う場所として無意識のうちに選ばれていることが多い。 上記のスポーツでは離岸流を「カレント」と呼ぶ。
[編集] リップ・カレント(Rip current)
海岸から砕波帯を通り抜けて沖合に向かう継続時間の短い強い表面の流れであり、海浜流系の中において、海岸に沿って流れる並岸流が収束(養流 Freeder current)してできる、狭義の離岸流である。
[編集] リーフ・カレント(Reef current)
離岸流の一種で、珊瑚礁海域という特徴的な海域で発生する流れである。日本における珊瑚礁海域は、一般に、環状に陸地を囲む外側の珊瑚礁(外礁)、陸地と外礁の間にある水深がある海域(礁池)からなっているが、外礁の切れ目であるリーフギャップでは、海水の流出及び流入が盛んに行われ、時に強い流れが発生することがあり、ここで沖合に向けて発生する強い流れをリーフ・カレントと言う。 礁池は、外礁によって外洋の波浪を遮るため静かな池のように見え、また、珊瑚礁や熱帯魚等が数多く生息し美しい景観を備えているため、シュノーケリング等に適した場所である。しかしながら、それ故にシュノーケリングに夢中になっている者が知らずにリーフ・カレントに巻き込まれ外洋に流される海難事故が数多く発生している。 一般の離岸流と同様、気象及び海象によって様々に変化して発生する。特に、潮汐によって発生する「潮汐性のリーフ・カレント」(高潮時に礁池に溜まった海水が、低潮時に外洋に向かってリーフギャップから海水が流れ出す)と、波浪の打ち込みによって発生する「波浪性のリーフ・カレント」(波浪により礁池に打ち込まれた海水が、外洋に向かってリーフギャップから海水が流れ出す)に大別される。