高砂や
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高砂や(たかさごや)は、落語の演目のひとつ。かつては8代目春風亭柳枝や6代目春風亭 柳橋などが演じ、現在は10代目柳家小三治が十八番にしている。
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[編集] 概要
典型的な『オウム』(教えてもらったとおりにやろうとして失敗するパターン)の話で、似たような話に『松竹梅(落語)』がある。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 高砂や
能の『高砂』に出てくる謡で、高砂の松と住吉の松とが相生の松であるとし、夫婦和合をうたっている。
[編集] 詞章
高砂や この浦舟に 帆を上げて
この浦舟に帆を上げて 月もろともに 出汐(いでしお)の
波の淡路の島影や 遠く鳴尾の沖過ぎて
はやすみのえに 着きにけり
はやすみのえに 着きにけり
四海(しかい)波静かにて 国も治まる時つ風
枝を鳴らさぬ 御代(みよ)なれや
あひに相生の松こそ めでたかれ
げにや仰ぎても 事も疎(おろ)かや
かかる代(よ)に住める 民とて豊かなる
君の恵みぞ ありがたき
君の恵みぞ ありがたき
[編集] あらすじ
八五郎がひょんな事から仲人を仰せつかる事になった。相手は伊勢屋という豪商。着ていく服もなく、困った八五郎は知り合いの隠居に羽織を貸してもらいに行った。
ついでに仲人の心得を教えてもらい、「ご祝儀に『高砂や』ぐらいはやらなくてはいけない」と、アドバイスを受ける。
『謡』などに縁のない八五郎は動揺するが、隠居に「ほんの頭だけうたえば、あとはご親類方がつけるから」と言われて歌う事を決意。節が似ていると言うので、豆腐屋の売り声を試し声とし、なんとか出だしだけはうたえるようになった。
さて、本番。婚礼の披露宴なかばで「ここらでご祝儀をひとつ」。
頼まれた八五郎は、いきなり「とーふー」と声の調子を試したあと、
「高砂や この浦舟に 帆を上げて」
とをひとくさりやって、「あとはご親類方で」と逃げようとした。ところが、その親戚一同も謡を知らなかったために 「親類一同不調子で、仲人さんお先に」と言われてしまい八五郎ドキドキ。
思わず「高砂や この浦舟に帆を 下げて」と謡ってしまい、「下げちゃ、だめですよ」と突っ込まれてしまった。
「高砂や この浦舟に 帆をまた上げて 高砂や この浦舟に・・・ウゥ・・・助け舟ェ!!」
[編集] バリエーション
- 「高砂や この浦舟に帆を 下げて~」などとやっているうち、一同が巡礼歌の節で「高砂や」を謡いだしてしまう。仕舞には一同揃って『婚礼にご容赦(=巡礼にご報謝)』