魚雷発射管
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魚雷発射管(ぎょらいはっしゃかん)は艦艇から魚雷を発射させる装置である。管状の構造をしており、管内に艦内から魚雷を装填、艦外へ向けた一方の口から発射する。
[編集] 概要
航空機や水上艦艇から魚雷を発射するにあたっては、魚雷を水中に投下するだけでも十分であるが、潜水艦においては魚雷発射管を用いる必要がある。これは水中において、艦内への水の浸入を防ぎつつ、物体を艦外へ放出することを行う必要があるためである。
[編集] 水上艦艇の魚雷発射管
水上艦艇においても、魚雷発射のために魚雷発射管が用いられる。水雷戦が重視されていた第二次世界大戦の時期までにおいては、連装や3連装、さらには5連装の魚雷発射管も開発・装備されていた。大日本帝国海軍においては圧搾空気により魚雷を射出する方法を取っていた。なお、魚雷艇や初期の短魚雷装備艦艇では発射管を用いず、側方や後方に魚雷を投下する方法を取っていたものもあった。現在の海上自衛隊護衛艦は、3連装の魚雷発射管を運用している。
[編集] 潜水艦における魚雷発射管
潜水艦における魚雷発射管は、潜水艦における最も重要な装置の一つであるが、その構造は複雑である。水中において魚雷を発射する際の問題点は、艦内への水の浸入を防ぐことと魚雷発射後のバランスの変化にある。
魚雷発射管に魚雷を装填した後に、管内にゆっくりと水を注入し、魚雷の深度調停装置の調整を行う。管内への水の注入が終了したら、前扉を開く。その後に圧搾空気で魚雷を押し出し、水中へ魚雷を射出する。魚雷の機関はスイッチにより、射出直後に始動する。なお、射出の際に用いた圧搾空気は、艦外に出ると海面へ浮上し、艦の位置を暴露することになるので、管内で回収するようになっている。再装填にあたっては、前扉を閉め、管内の排水を行う必要がある。このような仕組みにより、艦内への水の浸入を防ぎ、魚雷発射後のバラスト変化を抑えている。