F5D (戦闘機)
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F5Dはアメリカ海軍の戦闘機。製造はダグラス社、愛称はスカイランサー(Skylancer)。F4Dの改良型であったが、制式採用には至らなかった。
[編集] 概要
F4D-1は、高速性能が優秀であったものの、全天候性能や航続性に欠けていた。そのため、1953年に改良型として、F4D-1を大型化したF4D-2Nがダグラス社より提案され、開発が開始されることとなった。名称は間もなくXF5D-1に変更となった。
基本的な外形はF4Dと同じく、丸みを帯びたデルタ翼を持つ機体であるが、機体は大型化され、各所が改良されている。全長・全幅とも大きくなっているほか、エリアルールの採用や、主翼厚の減少、尾翼の拡大などが行われている。それに伴い、武装、航続距離、レーダーも強化されている。エンジンはP&W J57ターボジェットエンジンを搭載したが、より強力なGE J79エンジンを搭載する計画もあった。
1956年4月21日に初飛行し、超音速飛行を行った。初飛行以前に、試作機2機のほか、先行量産型9機、量産型51機の発注が行われたが、試作機2機と先行量産型2機が完成したところで、F-8の採用により、キャンセルされた。
F5Dはその後、アメリカ航空宇宙局での試験に供されることとなった。2機が地上試験に、2機が飛行試験に使われた。超音速輸送機の開発・研究に用いたほか、飛行特性が似ていたことからX-20(ダイア・ソナ)計画の訓練にも用いられた。これらは1970年頃まで使われた。ニール・アームストロングがダイア・ソナ計画中に搭乗したことがあることから、現在は1機がニール・アームストロング航空宇宙博物館に展示されている。