M72 個人携帯対戦車弾
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
|
|
M72個人携帯対戦車弾(M72A3) | |
---|---|
種類 | 個人携帯対戦車弾 |
製造国 | アメリカ、ノルウェー |
設計・製造 | Talley ディフェンス |
口径 | 66mm |
銃身長 | 280mm |
ライフリング | なし |
使用弾薬 | 66mmHEAT |
装弾数 | 1発 |
作動方式 | |
全長 | 0.67m(収納状態) |
重量 | 2.5kg |
発射速度 | |
銃口初速 | 145m/秒 |
有効射程 | 10-1000m |
M72 個人携帯対戦車弾(こじんけいたいたいせんしゃだん)は、口径66mmの使い捨て対戦車弾である。Laight Anti-Tank(Anti-Armor) Weaponを略してLAWと通称されることもある。設計はアメリカのTalley ディフェンス、製造はノルウェーのNammo Raufoss ASである。
アメリカ陸軍では、朝鮮戦争以後バズーカの後継装備品として導入された。
目次 |
[編集] 構造
M72は、1発の成形炸薬弾を、2本の筒を1列につなげた発射器で梱包した構成である。
運搬状態では、アルミニウムの発射器後部はグラスファイバーFRPの前部発射器の中に収納されている。この状態では、発射器は防水容器の機能を持ち、また弾薬の点火系列は遮断されて安全に運搬できる。発射器前部には上部に引金、照星、照門、下部に後部ガス噴射口カバーがつく。発射器後部には点火装置が設けられている。後部を引き伸ばして展開すると、点火系列が接続され射撃可能となる。一度発射器を展開すると、再び後部を収納して運搬状態に戻しても防水機能は戻らない。
弾薬は口径66mmの成形炸薬弾で、PIBD信管と弾道を安定させる6枚の翼がある固定弾である。翼は弾底部にあり、ヒンジを介して前方に折り畳まれた状態で装填されている。300mm以上の装甲を貫通できる。
射撃姿勢は、肩に担ぐようにして発射する。照準は、25m毎の目盛がついた照星を照門から覗き込んで行う。引金を引くと、弾薬に内蔵されている推進薬は燃焼して約760℃のガスを後方に噴射し、ほぼ無反動で発射される。後方危険地域は銃軸線後方の左右30°距離40mの範囲で、発射時にはこの範囲に高温のガスを噴射する。
一度射撃した発射器は再装填はできず廃棄される。
[編集] 歴史
1963年代から運用されている。当時としては、あらかじめ弾薬が発射器に装填された状態で支給される使い捨て兵器というアイデアは画期的であった。 M72はベトナム戦争時代の兵器で、大部分はSMAW ロケットランチャーやM136 AT4に更新されたが、一部は現用である。1990年代に改良型のM72A4からM72A7までが登場した。
最近ではアメリカ軍がイラク戦争で、カナダ軍がアフガニスタン侵攻で運用された実績がある。軽量で低価格であるこの種の火器は、多数の装甲目標が存在するイラクやアフガニスタンのような市街地戦で有効であった。
[編集] 派生
型式 | 概要 |
---|---|
M72 | 初期生産型 |
M72A1 | M72からの派生 推進薬の改良 |
M72A2 | M72からの派生 推進薬の改良 |
M72A3 | M72A1/A2からの派生 安全装置の改良 |
M72A4 | M72からの派生 炸薬と発射器の改良 |
M72A5 | M72A3からの派生 発射機の改良 |
M72A6 | M72からの派生 炸薬と発射器の改良、後方噴射ガスの調整 |
M72A7 | M72A6からの派生 アメリカ海軍使用モデル |
M72E8 | M72A7からの派生 掩蓋内射撃性(FFE/Fire-From-Enclosure)、改良型発射器 |
M72E9 | M72からの派生 貫通力の強化、改良型発射器 |
M72E10 | M72からの派生 榴弾による破片効果、改良型発射器 |
この他に、チェコスロバキアにコピーされたRPG-18とRPG-26がある。