MAS 36小銃

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

MAS 36
MAS 36小銃
種類	軍用ライフル
製造国	フランス
設計・製造	サン＝テティエンヌ造兵廠
口径	7.5mm
銃身長	575mm
ライフリング
使用弾薬	7.5mm×54
装弾数	5発（内蔵式マガジン、クリップ装填式）
作動方式	ボルトアクション
全長	1020mm
重量	3.7kg
発射速度
銃口初速	m/秒
有効射程	約300m
（■ノート ■テンプレート解説）

MAS 36（MAS Modèle 36）はベルティエ小銃やレベルM1886小銃の後継小銃として1936年にフランス軍に制式採用され、その製造はMAS（Manufacture d'Armes de Saint-Etienne：サン＝テティエンヌ造兵廠）で行われた。この銃は、主要国の軍隊において主力小銃として制式採用された最後のボルトアクション式小銃である。（同年、アメリカはM1ガーランドを制式採用）

[編集] 概要

MAS 36は当時の軍用小銃としてはイタリアのカルカノM1938と並んで最も全長が短い小銃であり、木製銃床がマガジンの存在する部分で前後に二分割されている。弾薬は1929年に開発されたFM mle1924/29軽機関銃と同じ7.5mm×54弾を使用する。

MAS 36のもう一つの特徴は銃剣にあり、一般的な銃剣が剣型をしているのに対してこの銃の銃剣はスパイク（刺）型であり、銃身下部の筒に収納されている。使用するときは引き出してから回転させて固定し、収納する時は逆方向に回転させてから引き込む。また、この銃には安全装置がないので、携帯時には薬室に弾丸を装填しない状態で携行する必要があった。

[編集] 運用

MAS 36は前任のベルティエ小銃やレベル小銃を更新するために設計されたものの、前任の銃と弾薬の互換性がない（ベルティエ小銃やレベル小銃は、8mm×50リムド弾を使用）こととフランス軍自体が規模が大きく多数の植民地軍を維持していたため、1940年5月に始まったナチス・ドイツのフランス侵攻までに小銃を更新できたのは本国の前線歩兵部隊のみに止まり、その他の兵科の兵や予備役兵、植民地兵はまだ旧式のベルティエ小銃やレベル小銃を使用していた。

第二次大戦後はフランス軍と植民地軍がインドシナ戦争やアルジェリア独立戦争における対ゲリラ戦、そして第二次中東戦争に新型のMAS 49半自動小銃やMAT 49短機関銃、AA-52汎用機関銃などと共に投入された。特に第二次中東戦争においては、第２植民地空挺連隊(2er RPC：Regiment Parachutiste Colonial)の狙撃手が望遠照準器を装備したMAS 36を使用してエジプト軍狙撃手の“排除”任務に従事した。

MAS 36小銃は1960年代初めごろには歩兵用ライフルとしての役目をセミオート式のMAS 49に譲って退役したが、同銃の機関部を利用して製造したFR F1(Fusil Modele F1) 狙撃銃が開発・採用された。現在でも、FR F1を7.62mm NATO弾仕様に改修したFR F2が現役のフランス軍用狙撃銃として使用されている。

[編集] 派生型

MAS 36 CR39

空挺部隊向けにアルミニウム製折り畳み式銃床を採用したタイプ

[編集] FR F1/FR F2

FR F1/FR F2
FR F2狙撃銃
種類	軍用狙撃ライフル
製造国	フランス
設計・製造	GIAT社
口径	7.5mm(FR F1) 7.62mm(FR F2)
銃身長	600mm
ライフリング
使用弾薬	7.5mm×54(FR F1) 7.62mm×51(FR F2)
装弾数	10発（着脱式マガジン）
作動方式	ボルトアクション
全長	1,138mm
重量	5.125kg(FR F1) 5.1kg(FR F2)
発射速度
銃口初速	m/秒
有効射程	800m
（■ノート ■テンプレート解説）