Solid State Logic
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Solid State Logic(ソリッド・ステート・ロジック)
Solid State Logic(ソリッド・ステート・ロジック)は、イギリス・オックスフォードにある、ミキシングコンソールの製造、販売メーカー。及び、同社のミキシングコンソール(以下、“コンソール”と略記)の愛称。頭文字を略して「SSL」と呼ばれる。
目次 |
[編集] 概要
当初はパイプオルガンの弁を制御する装置の開発からスタートしており、社名は制御に半導体を使ったことから由来している。
コンソールを製造するメーカーとしては世界最大であり、同社製造のコンソールは全世界で約3000のスタジオで用いられている。また、BBC、NHK、ABC、NBCなどの放送局でも同社のコンソールが用いられている。
[編集] 歴史
- 1969年 イギリス・オックスフォードにあるサイエンスパークにて設立。
- 1977年 “SL 4000B”コンソールを発表。
- 1981年 “SL 4000E”がイギリスの最優秀設計協議会賞を受賞。この頃から多くの商業スタジオにてSSL製のコンソールが用いられるようになる。
- 1991年 ムービングフェーダーとVCAフェーダーを切り替え可能なフェーダーオートメーションシステム、“アルティメーション”を発表。
- 映画用サラウンドフォーマットに対応した“SL 8000G”を発表。
- 1992年 オートメーションミキシングシステム“Scenaria”を発表。当時、DAWの先駆けであった。
- 1993年 Gシリーズ以上の信号処理を実現した放送用コンソール“SL 8000GB”を発表。
- 1993年 日本のスタジオのカスタムコンソールをモデリングした“SL 4000G+”を発表
- 1994年 オートメーション機能を強化し、コンピューター制御を取り入れた“SL 9000J”を発表。
- 1995年 “Axiom”を発表。ビデオ編集および放送用に対応した同社初のデジタルコンソール。
- 2000年 “SL 8000G+”を発表。高いコストパフォーマンスと5.1チャンネルサラウンド互換を実現。
- 2002年 “XL 9000K”を発表。
[編集] 製品(製造中止品を含む)
[編集] アナログコンソール
- XL 9000K
同社のフラッグシップ・モデルである。DVD-AudioやSACD、サラウンドに対応した初のアナログコンソール。
- Duality
- AWS 900
- AWS 900+
DAWコントローラーの機能を搭載したアナログコンソール。
- SL4000B
- SL4000E
- SL4000G
- SL4000G+
- SL5000
- SL6000E
- SL6000G
- SL8000
[編集] デジタルコンソール
- C100
- C200
- C300
[編集] DAW
- 01
[編集] アウトボード
- XLogic Channel
XL 9000Kに搭載されているチャンネルモジュールをアウトボード化したもの。
- XLogic SuperAnalogue Mic Amp
XL 9000Kに搭載されている“SuperAnalogue”マイクプリアンプ4系統分をアウトボード化したもの。
[編集] 仕様と特徴、各種オプション
ここではシリーズ毎の特徴と主な仕様、選択可能なオプションについて述べる。
- 4000シリーズ(B,E,G,G+)
- SSL社の代表的な音楽/ポストプロダクション用コンソールである。
- コンソール本体と電源部、コンピューター部(オプション)から構成される。
- コンソールからMTRやレコーダーなどをコントロール可能なワンマンオペレーション指向のアーキテクチャーである。
- モジュール構成はインライン型であり、HA部分はマイク/ラインが切り替え可能であるとともに独立したテープ/グループモニター入力を持つ。ライン入力とテープ/グループ入力はパッチベイでノーマル接続されている。
- チャンネルモジュールはHA、EQ/フィルター、SEND、モニター/BUSの各セクションから構成され、トータルリコールカード(オプション)の搭載により全てのパラメーターを静的に記憶可能である。
- LF,RF,LB,RBの4本のミックスバス、32グループバス(注、Bシリーズのみ未確認、Bシリーズのルーティングはロータリースイッチである)、1-4のモノAuxSendと1ステレオCueSendを持つ。Gシリーズ以降はセンターセクションを挟んでCue/Auxバスを分離可能なスプリットキュー機能が搭載された。
- メーターは針式(VU/PEAK)あるいはプラズマ型バーメーターの選択が可能であり、音量だけではなくチャンネルフェーダーのVCAレベルも監視できる。バーメーター仕様を選択した場合はピーク/VUの切り替えとスペクトラムアナライザ機能がセンターセクションのスイッチで選択できる。
- パッチベイが標準で搭載されているが、本体に埋め込むタイプとスタジオの壁に設置可能なリモートパッチベイが選択できる。マイク入力部分の列は日本仕様では標準搭載となっている。
- センターセクションは外部入力の選択、マスターコンプレッサー、リスンマイクや各バスのマスター機能などをコンパクトにまとめたオーディオ系のセクションとトランスポートリモートやコンピュター用キーボード、オンボードディスプレイなどのコントロールセクション、グループ/マスターフェーダーなどから構成される。
- 4000シリーズに於けるコンピューターの役割は大きく以下の点にある。
- SMPTEタイムコードに同期したフェーダーオートメーション
- MTRなどのマシンコントロール
- コンソールのチャンネルモジュールの設定を記録するトータルリコール