UCAV
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UCAV (Unmanned Combat Air Vehicle)とは、無人航空機(無人機、UAV) の一種である。爆撃任務を行うために特に設計されたものを指す。
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[編集] 概要
[編集] 名称について
Combatは直訳すると「戦闘」あるいは「格闘」だが、UCAVは(2004年現在のところ)戦闘機ではない。そのため「無人戦闘攻撃機」「無人戦術機」などと訳される。将来的には空対空戦闘能力も獲得するかもしれない。
[編集] 一般的な特徴
- 生命維持装置が不要なため、その分の重量・スペースを燃料やペイロードに宛てることができる。あるいは、軽量・小型にできる。
- 戦闘や事故により機体が破損・墜落しても人的被害が出ない。そのためSEAD(敵防空網制圧)、すなわちレーダーサイト攻撃任務に適すると考えられている。
[編集] 現状
2004年現在、UCAVはほぼ完全に自律作動することを目指している。飛行ルートやターゲットなどの、任務の詳細を事前にプログラムしておき、地上の管制を全く受けずに任務を完遂するということだ。しかしながら、現在では兵器の切り離しは地上の人間が行っており、制御ループ内に人間も入る形(マン イン ザ ループ)の設計となっている。
[編集] 計画されているUCAV
2004年8月現在、以下のようなUCAVが構想されている:
[編集] アメリカ合衆国
- J-UCAS:下記に詳述
[編集] ヨーロッパ
[編集] J-UCAS
以下の記述は2004年8月現在の情報である。
J-UCAS (Joint Unmanned Combat Air System) はDARPA・米空軍・米海軍の共同プログラム。150機程度の生産が予定されている。
以下の2つが候補となっている:
- ボーイング X-45C:地上からの発進を基本とした空軍寄りの機体で、SEADや電子的な攻撃(ジャミング)に使用することを意図している。
- ノースロップ・グラマン X-47B ペガサス:海軍寄りの機体で、空母への搭載(艦載機)が前提となっている。長時間滞空してのISR(偵察)任務などを想定している。
いずれの機体も、以下のような特徴を備えるといわれる:
- ステルス性
- 精密誘導兵器(JDAMやSDBなど)の投下能力
- SAR(合成開口レーダー)の装備:APG-71またはAPG-81が予定されている
また、地上の操作員は、人工衛星経由でリアルタイムにデータを送受信することで、流動的に変化する戦況に柔軟に対応することができるという。
開発計画は以下のようになっている:
- 2006年中頃:X-45Cが完成
- 2006年10月:X-47Bが完成
- 2007~2009年:運用評価フェイズ
- 2010年~:開発フェイズ