あしなが育英会
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あしなが育英会(あしながいくえいかい)は、東京都千代田区平河町に本部を置く国内外の遺児を支援する非営利組織(NGO)。
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[編集] 概要
- 1993年 発足(母体である「災害遺児の高校進学を進める会」は1988年発足)
- 代表者 会長 玉井義臣(2代目会長)
- 本部所在地 東京都千代田区平河町1-6-8
- 神戸レインボーハウス(虹の家) 〒658-0012 兵庫県神戸市東灘区本庄町1-7-3
- あしなが心塾レインボーハウス 〒191-0033 東京都日野市百草892-1
[編集] 名前の由来
組織の名称は、アメリカの小説家ジーン・ウェブスターが1912年に発表した小説『あしながおじさん』(Daddy-Long-Legs)の内容にちなんでいる。
[編集] 支援活動の内容
あしなが育英会は、「あしながさん」と呼ばれる奨学金を継続的に送金してくれる支援者を随時募集している。これは先述したジーン・ウェブスターの小説『あしながおじさん』からイメージ拝借したもので、どこかの誰かがどこかの遺児に毎月いくらかのお金を育英会を通じて贈るという奨学金制度である (※「あしながさん」は、財団法人「交通遺児育英会」が募集している継続支援者「あしながおじさん」と名前も支援内容も酷似しているが、両育英会・制度は全く別個のものである。)。
またあしなが育英会は単なる奨学金育英事業団体としての活動だけでなく、病気・災害・自死(自殺)などあらゆる死因で親を亡くした遺児達の継続的な心のケアを支援の柱として重要視しており、継続的な心のケアを行う施設として、1999年神戸市東灘区に「神戸レインボーハウス(虹の家)」、2006年東京都日野市に「あしながレインボーハウス」を建設した。この両施設では単に遺児家庭などの心のケア活動だけでなく、ケアの手助けをするボランティア「ファシリテーター」の養成もおこなっている。またそれだけでなく、この両施設にはそれぞれ遺児進学のための学生寮「虹の心塾」・「あしなが心塾」が併設されており、経済的な面でも支援している。レインボーハウスは他、台湾・コロンビア・ウガンダにもあり、国内だけでなく現地の遺児達の支援を行っている。
あしなが育英会は毎年夏頃に「つどい」という主に奨学金賞与者を対象としたオリエンテーションキャンプをおこなっている。対象は高校1~3年生(高校奨学生のつどい)と大学生・専門学校生の1年生(山中湖のつどい)で、数日間遺児同士が班ごとに分かれ、オリエンテーションや寸劇をしたり、「自分史」と呼ばれる死別体験を語る。この「つどい」では、つどいを経験した大学2年生以上の学生らが「山中湖のつどい」でお兄さん・お姉さん役として、「高校奨学生のつどい」では「山中湖のつどい」を体験した大学・専門学校の1年生らがサポートする。 2005年からは、「つどい」中に海外遺児約100人とのコラボ交流もおこなうようになった。 (※あしなが育英会のケア活動及び遺児の教育活動に関しては、奨学金非対象者の交通遺児も含め、全ての遺児が対象である。ゆえ「つどい」は非奨学生でも、希望すれば参加することはできる。)
[編集] あしなが学生募金
募金のスタイルとしては、“手を振って応える足の長い紳士の後ろ姿”イラストを描いた旗と募金箱を持った学生(主にあしながの奨学生やボランティア学生)が街頭で遺児の進学支援のための募金を訴えることで知られている。学生による街頭募金自体が始まったのは1970年(昭和45年)、秋田大学の春の大学祭からで、当時は交通事故遺児救済のための募金であった。その秋田大学のボランティア有志が全国の大学クラブに呼びかけ、組織が拡大。のち遺児の大学生らが募金活動の主体となり現在に至る。(※現在のあしなが学生募金は、病気・災害・自死など交通遺児以外のあらゆる死因で親を亡くしたり、重度後遺障害で働けなくなった親を持つ国内学生の進学支援が目的である)。この街頭募金は毎年2回(4月と10月)全国の県庁所在地や各主要都市駅前・街頭で、週末4日間(土日だけ2週間)をかけて行われており、その規模は日本の民間募金活動では最大といわれている。このあしなが学生募金で集まった募金は、全額あしなが育英会に寄付されている。
[編集] 関連項目
[編集] 参考資料
- 「あしなが運動と玉井義臣―歴史社会学的考察」 副田 義也 岩波書店
- 「災害がにくい ―災害遺児作文集」 玉井義臣 サイマル出版会
- 「お父さんがいるって嘘ついた―ガン・闘病から死まで、遺族たちの心の叫び」 あしなが育英会 副田 義也 廣済堂出版
- 「黒い虹-阪神大震災遺児たちの一年-」 あしなが育英会 編筑波大学教授 副田 義也 監修 廣済堂出版
- 「自殺って言えなかった。」 自死遺児編集委員会・あしなが育英会 サンマーク出版
- 「世界の遺児 100人の夢 そして私は一人ぼっちになりました」 あしなが育英会編著 岩波ジュニア新書