おでん缶
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おでん缶(おでんかん)とは、日本料理の代表的な物の一つであるおでんを缶詰にした物である。主に、全国の自動販売機や通信販売で売られている。
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[編集] 具
おでん缶に入っているおでんの具には、以下のような物がある。
基本的に、実際のおでんとさほど変わらないが、豆腐のような崩れやすい物や、ウズラではない通常の鶏卵など缶に入れるのが難しい物は、おでん缶に用いられることは殆ど無い。
[編集] 入手方法
スーパーマーケットやコンビニエンスストアで販売されている事は少なく、主な販売ルートは、自動販売機と通信販売であった。また、一部の家電量販店でも販売されている(後述)。ただし近年では一部で注目を集めた結果、次第にスーパーマーケットなどでも販売されるようになり、食事のバリエーション維持が重要視される非常食コーナーなどで見掛けることも増えてきている。
[編集] 自動販売機
それほど数は多くないが、秋葉原を始め全国の自動販売機で通常の飲料と一緒に売られている。100円などの安い値段で缶飲料を販売している自動販売機に入っている事が多い。秋葉原での扱いについては後述。
[編集] 通信販売
「こてんぐ」製造元の天狗缶詰や「銚子風おでん」製造元のしだ缶詰の公式サイトを始め、ネット上にある多数の通信販売サイトで注文・購入ができる。
[編集] 秋葉原での扱い
日本最大の電気街である秋葉原は「おでん缶の存在を全国に広めた地」と言われている。現在は製造元の地元・名古屋大須アメ横内の自販機でも購入可能であるが、見かけるようになったのは広く知られるようになって以降である。
[編集] なぜブームになったのか
説としてはいくつかあり、
- 秋葉原の通りを歩きながら食べられる手軽さ。
- 簡単に手が届く価格設定。
- 缶詰の中におでんという物珍しさ。それがジュースに並んで当たり前のように自販機に入っている唐突さ。
- 90年代当時の秋葉原の貧弱な食環境から、東京駅や上野駅に移動する前に小腹を満たす手段として重宝した。
等が、秋葉原という街の独自性として、日常的に訪れる固定客層に受け入れられたという事があるかもしれないが、はっきりとした事は分かっていない。
[編集] 全国に知られる
90年代末頃から、テレビの報道番組やバラエティ番組で「秋葉原の知られざる名物」として取り上げられることが多くなった。それまでおでん缶の存在を知らなかった地方からの観光客が、おでん缶をお土産として購入するケースが増えてきた(自販機前で記念写真撮影をする観光客も多い)。それによって、昔はある程度容易に入手できたおでん缶が入手しづらくなったという声もある。おでん缶が有名になった影響で、それまでは取り扱いがごく一部に限られた地方の自動販売機でもおでん缶が入手できるところが散発的に増えてきている。
[編集] 主な販売店
主に東芝製のコンピュータを販売しているチチブデンキが、1990年代初頭より秋葉原で最初に販売を始めたと言われている。チチブデンキでは当時、季節が冬に近づくにつれて自動販売機の売り上げが落ちるのに対応するため、おでん缶をラインナップに加えた。その途端に売り上げが急激に上昇し、一時期は本来の業務であるコンピュータ販売の売り上げを上回る勢いだった時期があった。現在でも月に1,000万円を売り上げる人気商品であり、同店では自販機とは別に、お土産用に温めていないものや、贈答用・発送用にするため段ボールにまとめて梱包したものも店頭販売している。
2001年からは、美少女ゲーム・アニメソフト通販サイトGetchu.com[1]及び秋葉原に所在する直営店の「げっちゅ屋」が、イメージキャラクターの「コムちゃん」をパッケージに使ったオリジナル仕様の「コムちゃんおでん」を発売している。中身は天狗缶詰製・つみれ入りおでんから、2個入りのこんにゃくとさつまあげを1個に減らし、代わりにちくわ(コムちゃんの大好物という設定である)を2本入りにしている。
その他では、ラオックスにおいて昨今の萌えブームの影響からか、缶詰に美少女キャラクターが描かれているおでん缶「おてんちゃん」が発売されオタク層の間で話題になった。こちらは秋葉原での反響を受け、一部の郊外店でも販売している。ラオックスでは、他にもコンピュータゲーム「機神飛翔デモンベイン」のタイアップとして「アル味風 デモンベインおでん缶」を数量限定で発売した。
2006年には東日本キヨスクが釣りバカ日誌をパッケージに使用した「夏おでん」を発売、キヨスクやNEWDAYSなどで販売された。中身はしだ缶詰製で、同社の銚子風おでんをベースにしている。
[編集] 主な商品
価格は2006年10月時点のもの。
- こてんぐシリーズ(天狗缶詰株式会社)
- こてんぐ つみれ大根入りおでん - 270円
- こてんぐ がんも大根入りおでん - 270円
- こてんぐ 牛すじ大根入りおでん - 270円
- 2006年夏頃まではつみれ入り(200円)・大根入り(200円)・牛すじ入り(250円)の3種だった。
- 銚子風おでん(しだ缶詰株式会社) - 300円
- 静岡おでん(株式会社カネセイ食品) - 300円
- 静岡おでん(駒越食品株式会社) - 250円
- おてんちゃんは2006年末まで、これのパッケージ替えバージョンだった。現在は製造業者が変わり静岡おでんではなくなった。
因みに「静岡」は「しずおか」ではなく「しぞーか」と読む(静岡市周辺での「静岡」の読まれ方)。 カネセイ食品は汁あり、駒越食品は汁なし。