こと座
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こと座 (Lyra) | |
略符 | Lyr |
属格 | Lyrae |
英語での意味 | the Lyre |
赤経 | 19 h |
赤緯 | +40° |
観測可能地域の緯度 | +90° 〜 -40° |
よく見える時期 | 8月 |
広さの順位 - 総面積 |
52位 286 平方度 |
明るい星の数 視等級 < 3 |
1 |
最も明るい星 - 視等級 |
ベガ (α Lyrae) 0.03 |
流星群 |
|
隣接する星座 |
こと座(琴座、Lyra)は星座でトレミーの48星座のうちの1つ。
こと座はあまり大きな星座ではないが、有名な明るい1等星ベガがあるために、よく知られている。都会などでは明るいベガしか見えないが、そのすぐ近くに4〜5等星が並んでいるため、環境が良ければ非常に見つけやすい星座である。このベガは他の星座の1等星とともに、夏の大三角形を形成する。
目次 |
[編集] 特徴
こと座の主要な恒星は次のとおり。
- α Lyr(ベガ、Vega):視等級0.03で、北天ではアルクトゥルスについで2番目に明るい。全天でも5番目の明るさである。この星のスペクトルは A0Ⅴで、地球から25.3光年離れている。この星には惑星があると考えられている。また、この星は、写真に撮影された最初の星である。
- β Lyr(Sheliak): 視等級3.45、スペクトル分類B8Ⅱの食変光星である。この種の食連星は、この星の名「ことβ型」で呼ばれる。
- γ Lyr(Sulafat):連星である。視等級3.24、スペクトル分類B9Ⅲ。
- δ Lyr:視等級6の青白い星と、視等級4から5に変化する半規則的な赤色巨星から成る光学的二重星である。
- ε Lyr:有名な4重星である。また、「2重の2重星」(ダブル・ダブル・スター)とも呼ばれた。この星は、ε1星とε2星の2つが光学的二重星で、かろうじて肉眼で見分けられるかどうかという程度の明るさである。そして、ε1星とε2星のそれぞれが連星になっている。望遠鏡なら4重星になっているのが分かる
- ζ Lyr:双眼鏡なら見分けることのできる光学的二重星。
- RR Lyr:収縮膨張を繰り返す変光星である。この種の変光星は、この星の名をとり、「ことRR型」と呼ばれる。
[編集] 主な天体
- M56: 約85 光年の直径がある32,900 光年の場所にあるやや緩い球状星団。視等級8.3。
- M57:「環状星雲」という名で知られる。惑星状星雲の中で最も有名である。視等級8.8、距離6,000光年から8,000光年。
[編集] 神話
非常に古い星図には鳥、特にハゲタカ(Vultur cadens)と記載される。はくちょう座、アルタイルとともに、ヘラクレスの12の冒険の6番目の冒険で殺された鳥とされる。
「こと座」とされるようになってからの神話は次のとおり。
発明の神ヘルメスが竪琴を発明し、アポロンが譲り受けて弾いた。この琴はアポロンの息子オルフェウスの物となり、オルフェウスは有名な音楽家になった。やがてオルフェウスは妻エウリディケを娶ったが、妻はヘビに噛まれすぐに死んだ。悲しんだオルフェウスは冥神ハデスのところに行き、琴を弾きながら妻を戻してくれるよう頼んだ。ハデスは琴の調べが大変に美しいのでこれを許可したが、途中決して振り返ってはならないという条件をつけた。帰る途中、もうちょっとというところでオルフェウスは思わず後ろを振り向き、妻は冥界に永遠に連れ戻され、オルフェウスは身を投げて死んだ。(一説には、酒神デュオニソスの祭りで泥酔した女たちに殺された)琴はそのまま川を流れていたが、ゼウスが拾い、星座とした。
[編集] 東アジアの七夕伝説
こと座の1等星ベガは、中国・日本の七夕伝説では織姫星(織女星)として知られる。わし座のアルタイルを牛飼いに見立てた恋物語が伝わっている。東アジアでは、7月7日がこの2つの星の祭日である。詳細は、七夕の項目を参照のこと。