東京地下鉄道
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東京地下鉄道株式会社(とうきょうちかてつどうかぶしきがいしゃ)とは、現在の東京地下鉄(東京メトロ)銀座線上野~新橋間に当たる路線を建設し、また軌道(路面電車・城東軌道線、西武軌道線)や乗合バス(青バス、ユーランバス)を経営していた鉄道事業者である。
1920年(大正9年)8月、「地下鉄の父」と呼ばれた早川徳次によって設立された。日本初の地下鉄路線を建設した会社として知られ、現在の東京メトロのルーツともいえる。
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[編集] 地下鉄
[編集] 地下鉄路線の延伸
(詳しくは東京地下鉄銀座線#沿革を参照)
- 1927年(昭和2年)12月30日 上野~浅草間に東洋ではじめての地下鉄が開業。
- 1934年(昭和9年)6月21日 銀座~新橋間の開業で、全線開通となった。
- 1939年(昭和14年)9月16日 渋谷~新橋間の地下鉄を開業させていた東京高速鉄道と直通運転を開始(現在の東京メトロ銀座線を形成。銀座線の項を参照の事。)。
[編集] 乗っ取り騒ぎから交通営団発足まで
- 1935年(昭和10年)5月 東京高速鉄道との間で直通運転の協定を締結。
- 1936年(昭和11年)7月 京浜電気鉄道(現、京浜急行電鉄(京急)の横浜以東の路線を建設した会社)・湘南電気鉄道(現、京急の横浜以西の路線を建設した会社)と合弁する契約を締結。
- 1937年(昭和12年)3月1日 上記合弁会社・京浜地下鉄道株式会社を設立。新橋~品川間未成線を同社に譲渡。
- 東京高速鉄道との直通運転の約束を事実上反故にし、改めて東京地下鉄道・京浜地下鉄道・京浜電気鉄道・湘南電気鉄道の4社による相互直通運転(京浜・湘南線内はパンタグラフ集電、地下鉄線内は第三軌条集電によるハイブリッド方式)の計画を推進。京浜電気鉄道が東京地下鉄道の筆頭株主となる。
- 1939年(昭和14年)8月1日 東京高速鉄道の五島慶太が京浜地下鉄道の親会社である京浜電気鉄道の株を、次いで東京地下鉄道の株を買い占めた事が発端となり、早川・五島両陣営による東京地下鉄道の経営権争奪戦が起こる。
- 1940年(昭和15年)8月13日 両者の紛争は調停によりようやく解決。早川は相談役に退き、東京地下鉄道の経営から事実上撤退。以降、経営権は東京高速鉄道が掌握する事となった。ただし、五島が東京地下鉄道の役員になる事は許されなかった。
- 1941年(昭和16年)9月1日 陸上交通事業調整法に基づく戦時統制により、東京地下鉄道の地下鉄路線は東京高速鉄道、京浜地下鉄道と共に半官半民の帝都高速度交通営団(営団地下鉄)へ統合された。なお、五島は東急を通じて営団に出資し、理事にも就任した。(戦後、民間資本は排除された。)
[編集] 車両
[編集] 関連車両
[編集] 軌道線
[編集] 城東軌道線
- 1917年(大正6年)12月30日 城東電気軌道株式会社の手により、錦糸町~小松川間開業。
- 1921年(大正10年)1月1日 水神森~大島間開業。
- 1924年(大正13年)7月11日 大島~仙気稲荷間開業。
- 1925年(大正14年)12月31日 東荒川~今井間開業。
- 1926年(大正15年)3月1日 小松川~西荒川間開業。
- 1929年(昭和4年)5月7日 仙気稲荷~洲崎間開業。(西荒川~東荒川間を残し、一応全通。)
- 1937年(昭和12年)3月25日 東京乗合自動車に合併。同社城東軌道線となる。
- 1938年(昭和13年)4月25日 東京地下鉄道が城東軌道線を継承。
- 1942年(昭和17年)2月1日 東京市電気局に買収され、市電路線に編入される。
- (1972年までに廃止。東京都電の項を参照の事。)
[編集] 西武軌道線
- 1935年(昭和10年)12月27日 東京乗合自動車、西武鉄道(旧社。1945年現在の西武鉄道に合併)より新宿軌道線(新宿駅~荻窪駅間)の経営を受託。
- 1938年(昭和13年)4月25日 東京地下鉄道が西武軌道線の経営受託を継承。
- 1942年(昭和17年)2月1日 東京市電気局の経営管理に変更され、市電路線に編入される。
- (1963年に廃止。都電杉並線の項を参照の事。)
[編集] 乗合バス
[編集] 青バス
- 1918年(大正7年)11月1日 堀内良平(現在の富士急行創始者。堀内光雄の祖父。)が東京市街自動車株式会社を設立。
- 1919年(大正8年)3月1日 新橋~上野間乗合バス開業。車体の深緑色から「青バス」と呼ばれる。
- 1922年(大正11年) 東京乗合自動車と社名変更。
- 1920年(昭和5年)10月 日本最初の女性車掌を採用。
- 1937年(昭和12年)3月25日 城東電気軌道を合併し、同社バス部門を継承。
- 1938年(昭和13年)4月25日 東京地下鉄道が東京乗合自動車を合併し、「青バス」を継承。
- 1942年(昭和17年)2月1日 「青バス」事業は陸上交通事業調整法に基づく戦時統合に伴い、東京市電気局に買収され、市営バスに編入される(都営バスの項を参照の事)。
[編集] ユーランバス
- 1925年(大正14年)12月15日 東京乗合自動車が遊覧自動車(定期観光バス)事業を開始。「ユーランバス」の商号を使用。
- 1938年(昭和13年)4月25日 東京地下鉄道が継承。
- 1941年(昭和16年) 大東京遊覧自動車を買収し、経営統合。
- 1942年(昭和17年)2月1日 東京市電気局に買収され、そのまま休止。1948年(昭和23年)に、遊覧自動車事業は新日本観光株式会社(現在の株式会社はとバス)に譲渡され、同社の手によって再開される。
[編集] その他事業
[編集] 地下鉄ストア
- 1930年(昭和5年)4月 上野駅構内に地下鉄ストアを開業(専門店街。現在で言えばメトロピア。)。
- 1931年(昭和6年)6月 東京上野駅前に地下鉄ストアビルをオープン。場所は現在の東京地下鉄本社の位置にあった。(スーパーマーケットのはしり)。
- 以降神田(須田町)、日本橋、銀座、新橋に出店する。