まじっく快斗
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『まじっく快斗』(まじっくかいと)は青山剛昌の漫画作品。 週刊少年サンデー1987年26号に初登場。その後、同年の週刊少年サンデー11月増刊号より連載化された。翌1988年8月号まで連載していたが、週刊少年サンデーで『YAIBA』の連載が決まったため中断。2007年現在も未完のままである。『YAIBA』『名探偵コナン』執筆中も週刊少年サンデー増刊号、週刊少年サンデーに不定期に掲載されている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] あらすじ
マジック好きの高校生、黒羽快斗はある日、自室の隠し扉を発見し、開いてしまう。それは、8年前にマジックの最中に事故死した世界的マジシャンの父、黒羽盗一が仕掛けた最後のマジックだった。そこにあったのは世界的な大泥棒、怪盗キッドの衣装。キッドは8年前から姿を消していたが、最近復活していた。快斗は衣装を纏い、キッドに会いに行く。そこで出会ったのは父のかつての付き人、寺井。そこで快斗は父が怪盗キッドであり、事故死ではなく殺されたのだと知る。快斗は父を殺した人物を探すべく、自らが怪盗キッドとなった。
怪盗キッドとして活動していたある日、キッドは自分を「黒羽盗一」と呼ぶ組織と遭遇。彼らこそ父の仇だった。その組織が求めるのは不老不死が得られるという伝説のビッグジュエル「パンドラ」。快斗はその野望を阻止すべく、組織より先にパンドラを見つけ出して、破壊することを決意する。
[編集] 作品構造
作者の代表作『名探偵コナン』に怪盗キッドが登場した(参照:スピンオフ作品)ことにより広く知られることとなった本作ではあるが、連載開始は本作の方が古く、1987年の初出以前にも『さりげなくルパン』という原型作品が存在する。作者曰く、元々漫画家になった動機は、この作品を描きたかったからだという。
この作品はTVアニメ版『ルパン三世』を思わせるようなコミカルな世界観であり、非現実的なトリックを使ったり、魔法が存在したりする。これは、より現実的な世界を追求していると言える『名探偵コナン』の世界観とはかなり異なっており、この点から両者の世界が完全に同一のものであるとは言い難い。しかし、「謎の組織」、「主人公が正体を偽り世間一般に秘密にしている」、「主人公の元の容姿や声が似ている」などなど共通(類似)の設定が多数あり、作者によればそれら類似の設定には何か理由があるようだ。また、主人公・怪盗キッドに対する印象も読者にすれば両作品の間で印象が異なるが、これは視点そのものが違うためと思われる。『名探偵コナン』における怪盗キッドはクールさが強調される。 なお、初期の頃は特に意味もなくキッドに変身したり、明らかに正体露見の可能性のある学校や、青子の前でも快斗がキッドに扮することもあり、後に「青子の前ではキッドに変身しない」という部分には矛盾が生じてきている。
増刊号連載期は単にコミカルな怪盗ものといった雰囲気であったが、盗一の仇である組織が登場して以降、快斗の盗みの目的が明確化したこともあり若干趣が変わっている。コミカルな世界観であることに変わりはないものの、組織の影がちらついたり、父の過去にまつわるエピソードがあったりと以前にはなかったシリアスさが加わるようになった。このことは、『名探偵コナン』においても連載初期はややシリアスさが薄かったことから、作者の作風全体の変化とも考えられる。
初期の各話サブタイトルには、有名映画のタイトルをもじったものが使用されていたが、「パンドラ」の設定登場後は、各話でキッドがターゲットとしたビッグジュエルの名(これらビッグジュエルの名には必ず「色」の名称が入る)がそのままサブタイトルに使用されることとなった。
[編集] 登場人物
メインキャラクター達の姓名には、それぞれ「色」を表す漢字が付いている(「ブラック・スターの巻」で登場した工藤新一も、「藤色」と取れなくもない)。担当声優は、アニメ『名探偵コナン』内にてのもの。
- 黒羽 快斗(くろば かいと)声優:山口勝平
- 本編の主人公。マジックが得意な江古田高校二年生。父の秘密を知り、その仇を討つべく「怪盗キッド」となる。初めは宝石だけではなく様々な美術品を標的にしていた。魚類とアイススケートが苦手。『名探偵コナン』の主人公・工藤新一との最大の違いは彼がかなり上流家系のお坊ちゃんで、両親も健在であるのに対し、こちらは父のかつての付き人こそいるものの、第一話に登場した家は母子家庭のかなり質素な雰囲気である。幼い頃に新一の母、工藤有希子と面識があった。
- 作者が言うには、『名探偵コナン』での彼の役割は、真の『ホームズ対ルパン』を描くためのアルセーヌ・ルパンであるらしく、(作者は、ホームズシリーズとルパンシリーズ両方のファンであるため、)両方に勝たせたくない(正確には、両方に負けてほしくない)らしい。その為か、工藤新一とは何かと対になるように描かれており、工藤新一は探偵で黒羽快斗は泥棒、工藤新一の制服はブレザーで黒羽快斗の制服は学ラン・・・などと挙げればキリがないほど完全なまでに対を成すように配慮されている。
- 身長174cm。体重58kg。B型。IQ400。誕生日6月21日。
- 黒羽 盗一(くろば とういち)
- 快斗の父で世界的なマジシャン。初代怪盗キッドだったが、8年前のマジックの最中に亡くなる。新一の父・工藤優作と対決し、ライバルと認めていたようだ。工藤有希子と黒の組織のベルモットに変装術を教えた事がある。師匠は世界的マジシャンのジェームズ・ホッパー。
- 怪盗キッド(かいとうキッド)声優:山口勝平
- 世間を騒がせている正義の大怪盗。18年前のパリに初めて出没、8年前に活動が無くなったが最近日本で活動を再開。神出鬼没で大胆不敵、変装が得意で何人もの声色を変声器なしで使うことができる。名探偵コナンとマジック快斗本編共通で純白のシルクハットにマント、モノクル(片眼鏡)といったステージ衣装を身に纏っている。主に使用するアイテムはトランプを発射する拳銃や折りたたみ式のハンググライダー、催眠スプレーそしてダミーの人形などを駆使して獲物をねらう。まじっく快斗の本編ではこれにさらにプラスしてアドバルーンやローラースケートやロープ、それとオリジナルのアイテムなどさまざまな物が使用されている。標的を盗む際は、事前に必ず予告状を送る。作品内の一部では「快盗」の表記も使われている。黒羽親子のもうひとつの姿。
- 怪盗キッドの名前の由来は、どこかの警察的組織(噂ではインターポールともFBIともCIAともいわれるが正確なところは不明)が極秘につけたシークレットナンバー1412が外部に漏れ、怪盗1412号と呼ばれるようになったという。しかし日本では各国の警察を子供のように手玉にとる怪盗1412号に興味をもった工藤優作が、新聞記者が殴り書きした1412を「KID.」と読んだため、それが定着した(『名探偵コナン』より)。二代目キッドの目的は「父の死の真相とその敵討ち」という明確な理由があるものの、初代キッドが何故ビッグジュエルを狙っていたのか、そもそも世界的マジシャンであった盗一が何故泥棒家業を行うことになったのかはまだ明かされていない。第一話の様子から、快斗の母は父子共々怪盗キッドになっていることに対し理解があるようである。
- 中森 青子(なかもり あおこ)声優:岩居由希子→高山みなみ
- 快斗の幼馴染みで同級生。キッドの正体が快斗だということは知らない。警察官の父親がキッドをなかなか捕まえることができないため、キッドを嫌っている。快斗のことが好きである。
- 中森 銀三(なかもり ぎんぞう)声優:石塚運昇
- 青子の父親で港警察署に所属する警部。後に警視庁捜査二課へ転属となる。先代キッドの頃からキッドを逮捕するため追い続けている。『まじっく快斗』においては怪盗キッドを捕えるべく毎度気炎を吐くものの、結果的にいつも振り回されてしまうという負け役としての描かれ方が多いが、コナンに登場した際にはキッドの癖や手口を経験的に熟知し、コナンより先にキッドの暗号を解くなど、刑事としての捜査力、推理力はかなりのものであると思われる。この漫画における『ガニマール警部』役と言えるだろう。
- 小泉 紅子(こいずみ あかこ)声優:林原めぐみ
- 快斗の同級生で怪しげな赤魔術という魔法を使う魔女。世界で唯一自分の虜にならないキッドを自分の虜にすることに執念を燃やしている。魔女として怪盗キッドの前に現れるときは、露出の高いとんでもない格好で登場する。執事と思しき醜い男性と二人暮らしと思われる。キッドの正体を知っている。
- 寺井 黄之助(じい こうのすけ)声優:肝付兼太
- 近所にあるビリヤード場のオーナー。快斗の世話人であり『怪盗キッド』の助手。元は快斗の父・盗一の付き人。一時は彼が盗一の死後、その仇を討つため『怪盗キッド』の名を騙っていた。快斗の使っている数多くのマジックグッズは彼によって管理されていると思われる。また、彼自身の協力がなくしては成立し得ないトリックも多いために、寺井自身も相当なマジックの名手である可能性もある。
- 桃井 恵子(ももい けいこ)声優:岩居由希子
- 快斗、青子、紅子らのクラスメート。
- 白馬 探(はくば さぐる)声優:石田彰
- キッドを捕まえようとしている高校生探偵。警視総監を父に持つ。時間には正確で、懐中時計を所持。犯人に対して放つ「なぜこんな事を…」が決めゼリフのキザな男。現場ではシャーロック・ホームズの格好をしているが、『名探偵コナン』に登場するときは普通の格好をしている。イギリス在住だったが、快斗と同じ江古田高校へ転校、のちに再びイギリスへ帰る。ワトソンという鷹を飼っている(『名探偵コナン』のみでの登場)。
- 作者が言うには、「『まじっく快斗』での役割は、シャーロック・ホームズであったのだが、『名探偵コナン』に出すにあたって、ホームズはコナン(新一)であるため、イジドール・ボートルレ(ルパンシリーズ内の探偵)となってしまった。」らしい。現場に残っていた毛髪のDNA鑑定で快斗=キッドを科学的に証明し、正体を知るが、あくまで『キッド』として捕まえるべく、最初の一度以外は快斗が高校生の間は通常の同級生として接している。作中では自分以外の人間に快斗がつかまることをよしとせず、自分が海外に出向いている間にピンチになっていた快斗に対してアドバイスを送っていたりもする。快斗も白馬の実力は認めており、白馬が関わっていないときには「スムーズすぎて張り合いがない」とまで口にしており、キッドのよきライバルとして認識しているようである。
- 工藤 新一(くどう しんいち)声優:山口勝平
- 「ブラック・スターの巻」に登場した高校生探偵。数々の謎めいた殺人事件を独自の推理で次々と解決し、警察からも絶大な信頼を得ており、警視庁の目暮警部などとも面識がある。紅子をして「悪魔のような狡猾さで人の心を見透かす慧眼の持ち主」と言わしめ、快斗をあと一歩のところまで追い詰めた頭の切れるジョーカー。射撃術にも長けており、時計台に仕掛けられていた巨大スクリーンのパイプを正確に撃ち抜いている。なお、目暮警部は彼の推理力に終始頭が上がらない様子であったが、中森警部は元々同じ高校生探偵の白馬に好感を持っていないこともあり、『殺人なら課が別だ!』として新一の介入を嫌っていた。前述の白馬がこの作品におけるホームズならば新一はこの作品におけるイジドール・ボートルレとなっていると言えるだろう。
- ドロン(ドロン)
- サブリナ公国のサブリナ警察の刑事。
- 犯人を逃がすくらいなら射殺してしまうという通称『ヨーロッパの殺人刑事』
- 自称『ヨーロッパ№1名刑事』
- アン王女(あんおうじょ)
- サブリナ公国の王女・姫。
[編集] おまけのページ
単行本収録。ドラマ『まじっく快斗』を演じる役者たちの舞台裏を描く、いわゆる「楽屋オチ」的な、本編のパラレルワールドネタ。"役者"たちの性格や設定も本編とは異なり、魚をイタズラに使う快斗や勝気でサバサバした性格の青子、気弱な紅子に関西弁の探などが登場する。各話ゲストキャラ"役"達の、意外なキャラクターとの一人二役が見られることから、スターシステム的な側面もある。なお、これをある程度成立させるためか、新一と快斗が競演している「ブラックスターの巻」では両者が同じ画面内に登場することはない(登場しても顔が出ないようにされている)。
[編集] 原型
本作の原型として、読切作品『さりげなくルパン』がある。この作品では、学校からテスト問題を盗み出す問題児流犯快斗(るぱん かいと)と、探偵部をやっている刑事の娘宝陸葵子(ほーむず あおこ)が登場する。雑誌掲載が一切なかった作品で、少年サンデーブックス「青山剛昌短編集 4番サード」で初めて日の目を見ることとなった。
[編集] ほかの作品との関わり
[編集] YAIBA
週刊少年サンデー30周年記念増刊号(1989年)に掲載された番外編『KAITO』(単行本第3巻に収録)で、『YAIBA』の鉄刃と宝刀を巡り対決している(YAIBA第5~6巻の夜に起きた事件の模様)。この番外編は、漫画では登場していない『名探偵コナン』のキャラクターまでも登場させた『コナンVSキッドVSヤイバ 宝刀争奪大決戦!!』というタイトルでOVA化され、週刊少年サンデーの応募者全員サービスで一時期販売されていた。その後2006年に他の『名探偵コナン』OVA作品と共にDVD化され、一般にも入手可能となった。
[編集] 名探偵コナン
怪盗キッドは『名探偵コナン』の中でたびたび江戸川コナンと対決している。工藤新一と容姿や声が瓜二つで、『名探偵コナン』初登場時(すれ違った毛利蘭が新一と間違う)や映画『名探偵コナン 世紀末の魔術師』、『名探偵コナン 銀翼の奇術師』に活かされている。
なお、コナンの正体については、映画版で、快斗がコナンの正体を阿笠博士との通信を盗聴し掴んでいる描写があり把握している。アニメ版でも、正体に気づくシーンは無いものの公式サイト内相関図において「コナンの正体を知っている」とされている。ただし、原作ではその通信傍受の場面そのものが無いためにこの設定はないと思われる。 また、中森警部は4度、白馬は3度、コナン本編に登場し、白馬は映画『名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌』にも登場。(ただし実はキッドの変装) 作者によれば、怪盗キッドの『名探偵コナン』への登場は、元々一度限りの「スペシャルゲスト」であったという。
反対に工藤新一と目暮警部も『まじっく快斗』に1度登場している。この「ブラックスターの巻」(名探偵コナンVS怪盗キッド完全版では「ファーストコンタクト」として収録)のエピソードはキッドはコナンになる前の工藤新一との対決を回想するというもので、回想後キッドがビッグジュエル「ブラックスター」を盗み出すために飛び立つところで終わる。実際には工藤新一とは顔を合わせていないため両者は互いの存在を知らず、快斗も「すげーやばかったヤマ」と記憶してるに過ぎないが、その「ブラックスター」をめぐる事件が怪盗キッドが『名探偵コナン』に初登場したエピソードである。快斗が工藤新一とかかわった事件を回想した直後に実際に江戸川コナンに初対面するという、何とも因縁めいたエピソードとなっている。
[編集] 単行本
- まじっく快斗1 1988年04月15日 ISBN 978-4091220813
- まじっく快斗2 1988年10月15日 ISBN 978-4091220820
- まじっく快斗3 1994年09月15日 ISBN 978-4091220837
- まじっく快斗4 2007年02月16日 ISBN 978-4091210050
[編集] 関連書籍
- 『名探偵コナン 対決怪盗キッド編』 2004年04月05日 ISBN 978-4091277619
- 『名探偵コナン コナンVS怪盗キッド 完全版』2004年05月01日 ISBN 978-4091794048
- 『青山剛昌短編集 4番サード』 1999年12月15日 ISBN 978-4091218469(原型作品『さりげなくルパン』収録)