アスパルテーム
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アスパルテーム | |
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一般情報 | |
IUPAC名 | |
別名 | N-L-α-aspartyl-L-phenylalanine 1-methyl ester |
分子式 | C14H18N2O5 |
分子量 | 294.31 g/mol |
組成式 | |
式量 | g/mol |
形状 | 白色粉末 |
CAS登録番号 | [22839-47-0] |
SMILES | |
性質 | |
密度と相 | g/cm3, |
相対蒸気密度 | (空気 = 1) |
水への溶解度 | |
への溶解度 | |
への溶解度 | |
融点 | 246–247 ℃ |
沸点 | ℃ |
昇華点 | ℃ |
pKa | |
pKb | |
比旋光度 [α]D | −2.3 (1N HCl、22 ℃) |
比旋光度 [α]D | |
粘度 | |
屈折率 | |
出典 |
アスパルテーム (aspartame) は人工甘味料の一つ。フェニルアラニンのメチルエステルと、アスパラギン酸とがアミド結合した構造を持つ。甘味は砂糖の約200倍。常温では白い結晶性の粉末である。CAS登録番号は [22839-47-0]。
[編集] 概要
とうもろこしから生産される。フェニルアラニンを含むことを示すため、アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物とも表記される。日本では、パルスイート™などの商品名で販売されている。
FDA(米国食品医薬品局)の審査では、経口摂取されたアスパルテームの大部分が分解も代謝をも受けずに体外に排泄されるという結果が出ている。したがって、調味料として普通に使う量では急性毒性や慢性毒性の問題が起こらないと考えられている。したがってフェニルケトン尿症やメタノールの毒性を示唆する論は憶測の域を出ない。
またアスパルテームは発売後長年経過しており、また広く普及しているにも拘らず、がん患者の増加なども見られない。IARCも発ガン性物質として区分しておらず、疫学調査からも有害性を示す証拠は何一つ発見されていない。最新のマウスを対象とした調査で、甘いものを食べても血糖値が上昇しないことに慣れてしまうことにより肥満に結びつくという報告があるが、人間を対象にした実験はされていない。アスパルテームに限った話でもない。
アスパルテームは1965年にアメリカ合衆国のザール社が開発した。日本では1983年に食品添加物として認可された。味の素が製法を開発し、世界的に製法特許を有している。日本生活協同組合連合会などは安全性への懸念などからアスパルテームを含む食品の取り扱いを行ってこなかったが、2002年3月に留意使用添加物から除外することに決め、取り扱いが可能になった。
アスパルテームは主にノンカロリーコカ・コーラなどの飲料や食品に添加される。味は甘いが特有の後味がある。そのため、アセスルファムカリウムやソルビトールなど他の甘味料とあわせて使用されることも多い。
[編集] 他の人工甘味料
サッカリンナトリウムはアスパルテームに比べ、ショ糖に似た甘みを持つ。キシリトールなどの糖アルコールと同じ用途であるが、構造は全く異なる。なお、エステルであり加水分解されるため、水分のある状態での長期安定性に劣る点が食品添加物としての欠点である。
最近では、アスパルテームよりもさらにショ糖に似た味を持つとされる、スクラロース(スプレンダ、Splenda)も徐々に普及し始めている。たとえば、アメリカコカ・コーラ社のダイエットコーク (Diet Coke) はアスパルテームが甘味料であるが、ダイエットコーク with スプレンダ (Diet Coke Sweetened with Splenda) はスプレンダが甘味料である。当然、これらの味は異なる。
[編集] 参考文献
- 渡辺雄二 『食品添加物危険度事典』,KKベストセラーズ,1999年