インターカム
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インターカムとは、公衆交換電話網に接続されていない構内音声通信設備のうち、放送局やコンサートホール、多目的ホール、劇場などで使用されるもののこと。
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[編集] 概要
インターカムは放送局やホールでのプログラムの進行を遅滞なく円滑に行うために使用するため、ハンズフリーで使用できる通信装置として発達した。その事からヘッドセットを使用する場合が多い。端末機の形態としては腰のベルトに装着するベルトパック型、卓上で使用するデスクトップ型、操作卓やラックに組込んで使用するラックマウント型がある。 インターカムは、電話やインターホンと異なって、複数のユーザーの同時使用が可能であることも特徴の一つである。二人のユーザーが打ち合わせ中に、その音声に被せる形で、素早く意志を伝達することが可能である。電話やトランシーバーよりも即時性が高いのである。 一般的にインターカム・システムは有線通信が主流であったが、近年無線通信方式のインターカムも台頭して来ている。
[編集] 放送局や劇場、イベント会場で使われる理由
- 即時性の高い通信が得られる。
- プログラムを円滑に進行するには素早い意思の伝達が必用である。ダイヤルを回している時間など無いのである。
- 情報の共有化が図れる。
- 2ワイヤー、4ワイヤーいずれの方式においても端末から送信した音声を、パーティーライン上あるいは設定されたグループ内の全ユーザーが聞いている。ディレクターや舞台監督の指示を全員が聴いているため、制作の意図を全員に伝えやすい。ベテラン達の通話を聴くことによって新人達の上達の速度が速くなると言った効果もある。
- ハンズフリー通話が可能。
- TVカメラマンやスポット照明担当者などは両手を使いながらのコミュニケーションが必須となる。インターカムではハンズフリー通話がオプションなしに可能である。
- マトリックス方式の4ワイヤーインターカムでは複雑なグループ化や系統化の設定が可能。
- 通信の優先順位の設定も可能なため、複雑な指揮系統を持った大規模なオペレーションにも対応させることが可能である。
[編集] 有線式インターカムの種類と特徴
[編集] 4ワイヤー(4W)インターカム
音声の送りと戻りを分けた通信方式で、後述する2ワイヤー方式に比較して設備費用が高額となるが、クオリティーの高い音声コミュニケーションを得ることが出来る。 音声の送り帰りともツイスト・ペア線によるバランス伝送でインピーダンスは600Ω、音声信号の標準レベルは0dbmのタイプが多い。バランス伝送なので送りに2本、戻りに2本の合計4本の導体が必用となる。この事が「4ワイヤー」の語源となっている。 音声信号をあえてデジタル化していないのは、信号を切り込むのも取り出すのもアナログ信号なので簡単にできるからで、応用を重視している。アナログ方式はディレイが少ないのも利点の一つである。 4ワイヤー・インターカムは電話と同じように相互通信が可能である。ただしマイクをオンにし続けると周辺のノイズも送り続けることになるので、プッシュ・トーク方式で話す場合が多い。ただし送信スイッチをロックすることが出来るので両手を離して(ハンズフリーで)通話することも可能である。 4ワイヤー・インターカムには、各子機からの信号を多数の子機や目的の子機に接続するための交換機機能を持ったマトリックス装置が、必要である。音声マトリックス装置を全てアナログ回路で構成すると高価となるので、この部分のみデジタル化した4ワイヤー・インターカムが多い。予算のかかる音声信号の選択や分配はデジタル化して経済性を追求し、互換性や臨機応変な対応が必用な部分はあえてアナログに留めているわけである。 近年、子機への配線をもデジタル化した4ワイヤー・インターカムやIP通信を利用した4ワイヤーインターカムも登場している。
[編集] 2ワイヤー(2W)インターカム
音声の送りと戻りを共通の2本の導体を利用して、電話の様に同時送受信を可能とした音声通信システムである。電話のパーティーラインの様に多人数で同時通話できるので、パーティーラインと呼ぶ場合もある。 接続は多数の子機を並列に接続していくが、最終的には1台もしくは複数台の電源供給装置に接続されていなければならない。 自分の声の送りと他のユーザーからの音声は同じラインなので、自分の声(サイドトーン)が大変強くヘッドセットから聞こえてしまう。このため一般的に2ワイヤー・インターカムでは、マイクで拾った自分の声と、通信ラインに送り出して受信音声としてラインから拾い上げた自分の音声を互いに逆相にしてミックスし、自分の声が小さくなる様に細工している。逆相成分が同相成分と同じ場合がもっとも自分の音声が小さくなるので、サイドトーン調整用のボリュームで調整する。ただし、サイドトーンを全くなくしてしまうとインターカムが実際に働いているかの確認が困難となるので、サイドトーンは少し残しておくのが一般的な調整方法である。多数の子機を接続していくとラインの受信レベルが下がり、逆相ミックスのバランスが変化してサイドトーンが増大するので、セッティングごとにサイドトーンを調整するのが好ましい。
[編集] 無線式インターカムの種類と特徴
[編集] 関連項目
- 類似の機器
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