エディアカラ動物群
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エディアカラ動物群(エディアカラどうぶつぐん、またはエディアカラ生物群 / 化石群)とはオーストラリア、アデレードの北方にあるエディアカラの丘陵で大量に発見される動物の化石群の事を指す。1946年に発見された。約5億5千万~6億年前(先カンブリア時代[1])の生物の化石と推定されている。同様の化石はカナダのニューファンドランド島やロシアの白海沿岸などでも発見されている。
本来、硬い骨格をもたない生物は、化石として保存されることが稀であるが、エディアカラ動物群ではこのような生物が数多く見られる。これは泥流などによって、海底に生息していた生物が一瞬にして土砂中に封じ込められたためと考えられている。また、柔らかなマット状になった微生物の集合体の上を大きな生物が移動した痕跡らしきものも確認されている。
この動物群には、クラゲ状の「ネミアナ」、楕円形をしたパンケーキ状の「ディキンソニア」をはじめ、直径数十cmにもおよぶ多種多様な軟体性の動物が見られ、地球最古の多細胞生物ではないかと考えられている[2]。
これらの生物が、現在の生物の分類に対してどのような位置付けにあるのかは良く分かっていない。エディアカラ動物群に属するいくつかの動物は、サンゴ、ヒドラ、イソギンチャクのような刺胞動物やミミズのような環形動物などの直接の祖先であるという考えもあるが、進化の形成過程の中で途絶えてしまった側枝であり、現在の生物とは全く関係が無いかもしれない。アドルフ・ザイラッハー (Seilacher A.) は、動物界や植物界などとは独立した「ヴェンド生物界」という分類階級をエディアカラ動物群に与えることを提唱した。
エディアカラ動物群は、地球全体が氷に覆われていた時期(スノーボールアース)の直後に出現し、その大部分がカンブリア紀が始まる前に絶滅した。
[編集] 註
[編集] 参考文献
- 『生命40億年全史』リチャード・フォーティ、草思社
- 『無脊椎動物の多様性と系統』裳華房