オリエント急行殺人事件
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オリエント急行殺人事件またはオリエント急行の殺人(英語名Murder on the Orient Express)は推理小説の一つ。著者はアガサ・クリスティ。1934年発表。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
名探偵エルキュール・ポアロシリーズの一つ。あまりにも意外な犯人、意外なトリックにより数あるクリスティの著作の中でも評価が高く、ミステリー史上最高傑作ともいわれている。1974年、シドニー・ルメット監督、アルバート・フィニー主演で映画化された。
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[編集] 概要
クリスティは、飛行家リンドバーグの息子が誘拐され、殺された事件にインスパイアされて、この物語を書いたと言われている。この物語の中に似たような誘拐殺人事件が登場し、オリエント急行での殺人事件と深く関わっている事実が、ポアロの灰色の脳細胞によって、徐々に明らかにされていく。
トリックについては、シェークスピアのジュリアス・シーザーのシーザー(カエサル)暗殺の場面からの発想とも考えられている。
[編集] ストーリー
中東での仕事を終えたポアロは、イスタンブール発カレー行きのオリエント急行に乗り、ヨーロッパへの帰還の途についた。車内はさまざまな国の出身者からなるさまざまな乗客で、季節外れの満席だった。その中の一人、サミュエル・ラチェットから、護衛を依頼されるが、ポアロは興味を持たず断ってしまう。
翌朝、列車が積雪によって立ち往生する中、ラチェットは刃物によって体中を刻まれて死んでいた。ラチェットの正体を知ったポアロは、ブークとコンスタンチンと共に事件解決の為に乗客達に一人ずつ事情聴取を行い、二通りの解答を示す。
[編集] 登場人物
- ラチェット(Ratchett)アメリカの老人
- ヘクター・マックイーン(Hector MacQueen)ラチェットの秘書
- エドワード・ヘンリー・マスターマン(Edward Henry Masterman)ラチェットの召使(映画では「ベドウス」)
- アーバスノット大佐(Colonel Arbuthnot)イギリス人
- メアリー・デベナム(Mary Debenham)イギリス人の家庭秘書
- ドラゴミロフ公爵夫人(Princess Dragomiroff)ロシア人の亡命貴族
- ヒルデガルド・シュミット(Hildegarde Schmidt)その女中
- ハッバード夫人(Mrs. Hubbard)中年のアメリカ人
- グレタ・オルソン(Greta Ohlsson)スウェーデン婦人
- アンドレイニ伯爵(Count Andrenyi)ハンガリーの外交官
- アンドレイニ伯爵夫人(Countess Andrenyi)その夫人
- サイラス・ハードマン(Cyrus Hardman)アメリカ人、私立探偵
- アントニオ・フェスカレリ(Antonio Foscarelli)アメリカに帰化したイタリア人
- ピエール・ポール・ミシェル(Pierre Paul Michel)オリエント急行の車掌
- コンスタンチン博士(Dr. Constantine)ギリシア人、医師
- ブーク(Bouc)国際寝台車会社の重役(映画では「ビアンキ」)
- エルキュール・ポアロ(Hercule Poirot)ベルギー人、探偵
[編集] 映画版
1974年にイギリスで映画化された。原作小説とは若干役名が異なる(重役の名がブーク→ビアンキ Bianchi、召使がマスターマン→ベドウス Beddoes など)。日本での公開は1975年5月。
- 出演
- アルバート・フィニー(エルキュール・ポワロ)
- ローレン・バコール(ハッバード夫人)
- マーティン・バルサム(ビアンキ)
- イングリッド・バーグマン(グレタ・オルソン)
- ジャクリーン・ビセット(アンドレニイ伯爵夫人)
- ジャン=ピエール・カッセル(車掌ピエール)
- ショーン・コネリー(アーバスノット大佐)
- ジョン・ギールグッド(ベドウス)
- ウェンディ・ヒラー(公爵夫人)
- アンソニー・パーキンス(マックイーン)
- ヴァネッサ・レッドグレイヴ(メリー・デベナム)
- レイチェル・ロバーツ(ヒルデガルド)
- リチャード・ウィドマーク(ラチェット)
- マイケル・ヨーク(アンドレニイ伯爵)
- ジョージ・クールリス(医者)
- デニス・クイリー(フォスカレリ)他
- 日本語吹替(1980年11月2日(日)テレビ朝日「日曜洋画劇場」)DVD収録
[編集] 外部リンク
- 本文第一章(英語)
- Murder on the Orient Express (1974)(The Internet Movie Database)
カテゴリ: エルキュール・ポアロ | イギリスの映画作品 | 1974年の映画