キン肉バスター
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キン肉バスター(キンにくバスター)は、ゆでたまごによる漫画・アニメ作品『キン肉マン』及び続編『キン肉マンII世』に登場する必殺技の名称である。主に主人公キン肉マンとキン肉万太郎が使う。プロレスでも実際に用いられることがある。
相手の両股を手で掴み頭上に逆さに持ち上げ、相手の首を自分の肩口で支える。この状態で尻餅をつくように着地し、衝撃で同時に首折り、背骨折り、股裂きのダメージを与える。
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[編集] バリエーション
- キン肉バスター(五所蹂躙絡み)
- キン肉マンがプリンス・カメハメから伝授された48の殺人技の一つ。続編『キン肉マンII世』の冒頭においては、五所蹂躪絡みの名称も与えられ、キン肉族の家宝となっている。強靭な腰の力と肩・腕力が必要。その事はすでに『キン肉マンII世』で、テリーマンの息子であるキッドが使おうとした時に、代々筋肉の付き方がキン肉マンとは違うため、使う事が出来ないと説明している。また、万太郎もカオスがダブルキン肉バスターを初披露した時に語っていた。ただし、これは後付け設定と見られ、『キン肉マン』ではカメハメ(の霊)に師事したテリーマンも使用していた。この技が初めて使用されたのは『キン肉マン』作中の超人オリンピック ザ・ビッグファイト(第21回超人オリンピック)決勝戦における対ウォーズマン戦であり、首折・背骨折・股裂が一度に集結した完璧な必殺技とされる。
- だが、強力な技ながらも、首のフックが甘いなどの弱点があり、「首のフックをはずす」「(受け手がパワー超人の場合は)体を左右に振って掛け手と受け手を逆転させる(バッファローマン版・キン肉バスター破り)」などの手法で技が破ることが可能。この技の弱点を克服するために、キン肉マン自身や好敵手のアシュラマン、『II世』のスカーフェイスらが自分の技として取り込み、改良に挑戦している。その結果、様々なバリエーションが生み出された。
- 新キン肉バスター(ネオキン肉バスター)
- 『七人の悪魔超人編』の対バッファローマン戦で初使用。バッファローマン版・キン肉バスター破りで体勢を入れ替えられたキン肉マンが、両手で上昇気流を起こして天井に「着地」する。
- ダブルキン肉バスター
- キン肉マンの必殺技。『七人の悪魔超人編』対バッファローマン戦で使用。新キン肉バスターとキン肉バスターを連続して掛ける荒業で、バッファローマンを含めた七人の悪魔超人との戦いに終止符を打つフィニッシュホールドとなった。
- サイドキン肉バスター
- キン肉マンの必殺技。『黄金のマスク編』の対悪魔将軍戦で使用。ロープの反動を利用して競技場の壁にぶつける。
- マッスル・G(マッスル・グラヴィティ)
- キン肉万太郎の必殺技。『悪魔の種子編』対ザ・コンステレーション戦で初使用。コンステレーション戦で偶然編み出された万太郎最強の必殺技。相手を捕らえて落下するまではキン肉バスターと同じだが、降下の最中に火事場のクソ力を発動させる事により、強烈なGが加わり、相手が帆のように反り返る。その状態で両腕も脚で挟み込んでキン肉バスターをかける(その際相手と自分の身体でアルファベットの「G」を形作っている)。対再生アシュラマン戦に備え特訓をするも不完全に終るが、仲間の声援を受け完成させる。その威力はキン肉バスターの股裂き、首折り、腰折りに加え、両腕と肋骨をへし折るほど。また、従来のキン肉バスターの弱点であった首からの脱出も、強烈な重力と不自然な体勢の為出来ない。まさに現時点では究極のキン肉バスターの形と言っても過言ではない。
- 口さけキン肉バスター
- キン肉マンが、『黄金のマスク編』の対スニゲーター戦で使用。オリジナル版と違い、相手の口をつかんでキン肉バスターをかける。名前はテリーマンが咄嗟に命名した。
- Wキン肉バスター
- 3代目キン肉マングレートことカオスが、見世物小屋でロビンマウス(ロビンマスクのパチもん)と一等マスク(ネプチューンマンのパチもん)に使用。1人で相手2人にキン肉バスターを掛ける。キン肉マンが対バッファローマン戦で見せた、ネオ・キン肉バスターとキン肉バスターの連続技もそう呼ばれている。
- ターンオーバー・キン肉バスター
- キン肉マンII世ことキン肉万太郎の技。基本的にはキン肉バスターと同じだが、敵の体の向きが前後逆となっている。
- アルティメット・スカーバスター
- スカーフェイスの必殺技。キン肉バスターの姿勢から、更に相手の首を足で三角絞めのように絡めた改良技で、首のフックが甘いという弱点を克服したもの。
- 阿修羅バスター
- アシュラマンの必殺技。6本の腕で相手の両手両足を完全にフックし、キン肉バスター返しやネオキン肉バスターに移行できないようにする。しかし首のフックが甘く、その弱点をつかれて技を外された。ファンの間では、「アシュラマンがキン肉バスターを応用した。」とする説と「(キン肉マンII世のなどデーモンシード編などで、そのアシュラマンの祖先とも思える超人がこれを使用している描写があることから、)元々、アシュラマン一族の技で、それをカメハメが、2本腕の超人用に改良したのではないか。」とする説で2分している。
- 改良阿修羅バスター
- アシュラマンの必殺技。『夢の超人タッグ編』対ニュー・マシンガンズ戦でジェロニモに使用。阿修羅バスターの弱点を克服し、一対の手で相手の頭を押さえた改良版。だが、阿修羅バスターより威力は劣る(相手の頭のフックに集中してしまうため)。
- アルティメット・阿修羅バスター
- 『II世』に登場する再生アシュラマンの必殺技。アルティメット・スカーバスターからの着想による阿修羅バスターの改良版で、六本腕で相手の両手両足を固定した上で足を相手の首に絡め、落下する。
[編集] タッグ技
- マッスル・ドッキング
- キン肉マンとキン肉マングレート(カメハメ or テリーマン)によるタッグ技。『夢の超人タッグ編』の対四次元殺法コンビ戦で初使用。上部のキン肉バスターと下部のキン肉ドライバーをかけたコンビが連なり合体した上で、同体で落下する技。破壊力はそれぞれの単体の5倍といわれる。
- バスターバリエーションPART5
- キン肉マンとテリーマンのタッグ技。『夢の超人タッグ編』決勝戦(対ヘルミッショネルズ戦)で使用。一人の相手を、2人がかりでキン肉バスターをかける。キン肉マンとテリーマンがビッグ・ザ・武道に対して使用し、その正体がネプチューンキングであることを暴いた。
- バスターバリエーションPART6
- キン肉マンをはじめとする、バスター系の使い手同士によるタッグ技。ゲーム『キン肉マン ジェネレーションズ』オリジナル技。掛け手はお互い背中合わせに立ち、相手2人の足を片方ずつ持ち、キン肉バスターを掛ける。そのため相手に脱出されにくい。
- マッスル・コラボレーション
- 初代キン肉マンキン肉スグルとキン肉マンII世キン肉万太郎のタッグ技。この技も『キン肉マンジェネレーションズ』オリジナル技。キン肉スグルがサイドキン肉バスターをキン肉万太郎がマッスル・ミレニアムを掛け、リング中央で合体する。
- NIKU→LAP(ニク・ラップ)
- 万太郎とケビンマスクのタッグ技。『悪魔の種子編』の対ザ・デモリッションズ戦でボルトマンに使用。1人の相手に対して、万太郎がキン肉バスター同時にケビンがOLAPをかける。
[編集] 返し技
- バッファローマン版・キン肉バスター破り(6をひっくり返すと9になる)
- バッファローマンが考案した。『七人の悪魔超人編』の対キン肉マン戦で使用。『6』を『9』にする返し技。技にかけられている最中、フリーになっている足の反動を利用して上下の体勢を入れ替え、逆転する。可能とするには、キン肉バスターを仕掛けている側の10倍の超人強度を必要とする。
- アシュラマン版・キン肉バスター破り
- アシュラマンが使用したキン肉バスター破り。技がきまる前に、着地点に手を付く。
- 新キン肉バスター破り(ネオキン肉バスター破り)
- アシュラマンが使用。新キン肉バスターを破る技。上と同じように、技がきまる前に着地点に手を付く。
- キン肉マン版・キン肉バスター破り(阿修羅バスター破り)
- 対アシュラマン戦でキン肉マンが阿修羅バスターを破った技。首を抜き、体を半回転させ、相手の脳天を砕く。これにより、阿修羅バスターを破ることには成功したが、自身のキン肉バスターも破れることを証明してしまった技でもある。
- ネック・エスケープ・キン肉バスター破り
- 『II世』に登場するスカーフェイスの用いた返し技。万太郎にキン肉バスターをかけられた際、首のフックを抜き、パワーボムで返した。
- アルティメット・スカーバスター破り
- アシュラマンが使用。着地前に手を付くのは上記の着地前に手を付くキン肉バスター破りと同じだが、その後、下顎を上方へ動かして頭の大きさを変え、首を抜き逆に自分がアルティメット・阿修羅バスターをかける。
[編集] 実際のプロレス技
オリジナル技はエル・マテマティコが編み出したメキシコ式の複合関節技の一種マテマティカである。いわゆるキン肉バスターの形で持ち上げて締め上げ各関節にダメージを与える。
日本ではサムソン冬木がメキシコ帰還後に持ち込んだサムソン・ストライカーが初となっている。マテマティコの状態から後方へ倒れるように倒れ込むように投げる技であった。相手の頭部から背面に打撃を与える形はブレーン・バスターの変形とも言える。
これらは漫画『キン肉マン』中でキン肉バスターが使われるよりも前に生まれている。
現在、日本のプロレスで使用されるキン肉バスターは、名称が示すとおり『キン肉マン』からの影響が強い。ただし漫画と同型で使おうとした場合、受ける側のみならず、かける側にも体の負担が大き過ぎるため、垂直に着地することは難しい。主な使い手としては気仙沼二郎(気仙沼落しの名で使用)(※1)やモハメド・ヨネ、池田大輔、大王QUALLTがあげられる。アメリカのプロレス団体TNAでもサモア・ジョー (en:Samoa Joe) がマッスルバスターとして使用している(※2)が、彼は日本のレスラーの技を盗用している事が多いので、彼がキン肉マンを知っているとは言い難い。 (※1 沼次郎はヨネ原人時代からマテマティカを必殺技としている) (※2 英語であるがen:Professional wrestling throws#Muscle Busterも参照されたい)
特にモハメド・ヨネは「キン肉バスター」名称の使用にキン肉マンの原作者ゆでたまごの公認を貰っている。また丸藤正道とのグローバル・ハードコア・クラウン戦にて、マットから持ち上げ、尻餅で着地するという完全形に近いキン肉バスターを放ったことがある。違いがあるとすればジャンプの高度だけである。
ゲーム作品で登場する場合(コナミの『BATTLE CLIMAXX!』や、ナムコの『鉄拳』シリーズなど)では、版権の都合からか「マッスルバスター」という名前で作中に登場している。「筋肉バスター」と表記する作品もある。またSNKの『龍虎の拳2』では、モンゴル相撲の使い手・テムジンが「蒙古雷撃弾」の名前で使用する。
[編集] 関連項目
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