グスタフ (宇宙戦艦ヤマト)
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グスタフは、宇宙戦艦ヤマトIIIに登場するガルマン・ガミラス帝国北部方面艦隊司令官。階級は中将。右側の額と右ほほに過去の白兵戦によると思われる縦の切り傷が残っていることが示すように根っからの武人であるが、ドメル将軍と異なり直情型の性格の人物である。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
スーパーサイコエネルギーで幻を見せたことで、第2の地球を発見できたとヤマト乗組員に空しい期待を抱かせた惑星ファンタムはデスラー総統にとっては、帝国の名誉に泥を塗ると同時に、ヤマト乗組員を惑わした赦せない星でしかなかったため、グスタフ中将に「消してしまう」(=惑星破壊プロトンミサイルで「処刑」する)ように命じた。グスタフ中将の旗艦は、惑星破壊プロトンミサイル母艦であった(放映初期のものと仕様が異なる。携行するプロトンミサイルのサイズと照らし合わせるに、大型戦闘艦をも凌駕する巨大戦艦であったと推測される)。ヤマト艦長古代進の要請を振り切り、ファンタムを一発で「処刑」した。ヤマトの武勇伝を知っていた節があり、ファンタムの件を契機にヤマトに対し闘争心を燃やす。ルダ王女の引渡しを口実にヤマトに戦いを挑もうとするが、ボラー連邦の行動を知ったデスラー総統の緊急通信で制止され、デスラーの主力艦隊到着までハーキンス中将率いるボラー連邦前衛艦隊からヤマトを死守するよう命じられる。艦艇数にて圧倒的、まさしくボラー的艦隊戦術の理想形ともいえる布陣を敷く巨大艦隊のまえに極めて不利な戦いを挑まざるをえず、かつまた自陣に有利な戦法を取ったのではたちまちヤマトが危険に晒される・・・という状況を見据え、本来なればボラー連邦艦隊に対しては「禁忌」ともいえる戦法であるが、敢えてヤマトを狙うボラー艦隊の正面に立ちはだかる。五月雨のようなボラー艦隊の火線に突撃する彼の表情は、その行動が意味するものを既に理解し、自己犠牲の覚悟を滲ませていた。劣勢を覆せぬまま、一隻、また一隻と艦艇を失い、敗北近しを悟ったグスタフは最終的に全艦体当たり突撃をかけ、敵艦隊を誘爆に巻き込みつつ、自らも旗艦でハーキンスの旗艦に体当たりし、惑星破壊プロトンミサイルの爆発に巻き込み、自軍を相打ちさせて遂にボラー前衛艦隊を全滅させた。体当たりの直前にヤマトに通信を送り「一度でいいからヤマトとは正面から戦ってみたかった」と言い残し戦死した。彼の望んだヤマトとの戦いは、武勇あるものと戦いたいという願望・・・いわば「私闘」と言えなくもないものであったが、決して悪意は感じられず、本来は忠義に厚い猛将といったところであり、最期はデスラー総統への忠誠と武人の誇りに殉じ、見事に敵と刺し違えたのだった。
「古代艦長・・・私の最期、見届けて欲しい!」
「ヤマト2」にも、デスラーの白色彗星帝国脱出時にガミラス艦の乗組員として似た人物が登場するが、同一人物だとしたら古参のガミラス星出身者ということになる。もしそうだったとすれば、ヤマトを相手にした際の彼の態度や言動にも、何処となく納得というか、合点のいくものはあるのだが・・・。