ジェニー・シリーズ
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ジェニー・シリーズとは、漫画家の河惣益巳が描く漫画のシリーズ名である。白泉社「花とゆめ」1985年5月増刊号に1作目を発表。以後、主として同社の雑誌「EPO」(休刊)および「別冊花とゆめ」に、不定期掲載されている。コミックスは花とゆめコミックスより既刊11巻(2006年10月現在)。
[編集] 概要
ユージェニー・ヴィクトリア・スミス、通称ジェニーと呼ばれる女戦士の生涯を描くシリーズで、同じ作者の『ツーリング・エクスプレス』シリーズとは物語世界や登場人物を共有する、双子シリーズである。作者によれば、1984年9月30日に都内の旅館で川原泉と2人でカンヅメにされていた時、川原が「外人部隊みたいなものを描かれる気は無いですか?」と提案したのが、本作品を描き始めたきっかけだという。なお、作中での時間の進み方は多少不自然で、ジェニーの出産時期から考えて既に20歳前後になっているはずの子供たちは、現在も小学生である。が、ドラえもんやサザエさんのように永遠に同じ年齢に留まるというわけではなく、それぞれのキャラは2年に1歳程度のペースで年を取っているようである。
[編集] 登場人物
- ユージェニー・ヴィクトリア・スミス
- アメリカの名門軍閥スミス家の3女。ジュリアード音楽院でピアノを学び、将来を嘱望されたクラシックのピアニストであったが、恋人ブライアン・ティラーとの別離のショックから米軍への入隊を志願する。士官学校卒業後※、陸軍特殊訓練校J・Fケネディ校を修了し、陸軍の小隊長としてベトナム戦争に従軍(後に小隊は特殊部隊グリーン・ベレーに格上げ、最終階級は少佐)する。
- 非常に優秀な戦闘指揮官でもあり、部隊を数々の死地から救ってきた。また戦いの流れを読む能力に優れ、撤退の潮時の判断は芸術的である。生命の危機になると体に青白い炎のようなオーラをまとうことから(誰にでも見えるという訳ではないが)「炎の月」の異名を持ち、これを見た兵士は彼女に心酔してどこまでも付いて行くという。
- アメリカに引き上げる途中で横須賀に立ち寄り、そこで再会したヴァイオリニストのブライアン・テイラーと結婚、除隊する。
- その後、出産予定日の少し前にブライアンはパリでの演奏旅行中に交通事故で死亡。その連絡のショックで産気づき、双生児を出産。生まれてきた息子たち(ホープとフューチャー)はベトナム戦争の後遺症かシャム双生児であった。
- 二人の分離手術や臓器移植のための莫大な治療費を稼ぐ為に傭兵稼業に手を染める。父の援助を受けたくなかったためであった。その後、分離手術や臓器移植手術で二人は、通常の(もしくはそれに限りなく近い)生活を送れるようになる。
- フリーランスの傭兵として各国の紛争地域で作戦に従事する。実は一匹狼で特定の仲間はいないのだが、傭兵稼業をこなすなかで、炎の月をみた傭兵たちが彼女のそばを離れようとせず、彼女の請け負った仕事をかぎつけて共に作戦に従事するのである。また彼女自身が大きな仕事を請け負った時に顔なじみの傭兵仲間に声をかけることもあった。
- しかし異父姉が嫁いでいたイングランドの貴族、アルドバラ公爵家がIRAのテロに遭ったことがきっかけで傭兵を引退。祖父の友人であったアルドバラ公爵の指名で後継者が居なくなったアルドバラ公爵家を継承し、アルドバラ領内で親子ともども静かにくらす(ことを望んでいる)。
- ※実際にはアメリカ陸軍士官学校が女性の入学を許可したのは、ベトナム戦争が終わった翌年の1976年である。
- アルフレッド・ロジャース
- 元アメリカ軍兵士。アイルランド系6世。通称レッドあるいは「魔の赤(Evil Red)」。ジェニーの副官としてベトナム戦争を戦う。北ベトナム軍に捕らえられた後、軍事的才能をみとめられソビエト軍の傭兵としてアフガニスタン紛争に参加。戦闘の最中にジェニーの傭兵部隊と接触。ジェニーとの再会を果たすためにソビエト軍から脱走した。アメリカ軍除隊後はジェニーの傭兵部隊に参加する。陸軍の軍人として最高の素質を持っているとされる。ジェニーを愛しており、ジェニーとその息子たちを守ることが生涯の仕事と心に誓っている。ジェニーの傭兵団のリーダー格であったが、ジェニーが傭兵を引退した後はアルドバラ公爵家の警備隊長のような存在となっている。最終階級は少尉。
- ナシオナル・アラルコン・スミス
- ジェニーの父親。通称「キング・ナシオ」。もともとはスペインの没落貴族アラルコン家の末裔であったが、アメリカ陸軍に入って頭角を現し、スミス家の養子に迎えられて当主となる。元アメリカ陸軍元帥、恐らく統合参謀本部長やアメリカ軍司令長官を歴任していると思われる。現在は国防省の高官で、単独の命令で戦略ミサイルを発射できる地位にある。アメリカ軍内部においては密かに大統領より権力があるとされ、軍内部の信望も厚い。アルフレッド・ロジャースと同じく最強の兵士であったとされる。実の娘のジェニーを溺愛しており、スミス家の当主を譲るつもりであったが、ジェニーがアルドバラ公爵位を継承してしまった為、現在はジェニーの二人の息子のうち一人にスミス家を継承させようと考えている。
- もともとはスラム育ちで兵卒から元帥にまで出世した人物ということもあり、ジェニーの取り巻きの傭兵たちとは実は波長が合っているようである。
- ジョージ・アレク
- 黒人の巨漢。ベトナム戦争時代からジェニーに付き従っている傭兵。ジェニーが傭兵を引退した後はアルドバラ公爵家の食客のような形で、ジェニーと二人の子供たちを守っている。温厚な性格の持ち主である。通称ジョー。最終階級は軍曹。
- ロバート
- 元軍医で、ジェニーの傭兵団の古株。第1話から登場。冷静で理知的。エール大学を主席で卒業するほどの将来を嘱望された医師であったはずだが、なぜかジェニーの後を追い掛け回す。傭兵としての能力も水準以上である。ジェニーの傭兵引退後はアルドバラ公爵家の主治医として活動。
- ジュリアン
- ジェニーの傭兵団の古株。第1話から登場。直毛の長い金髪が目印の美丈夫、フランス系。みんなでジェニーを追いかけまわした。現在はアレクたちとは違い、アルドバラ公爵家にはちょくちょく足を運んでいるが、住んではいない。
- エルンスト
- ジェニーの傭兵団の古株。第1話から登場、ジェニーを追い掛けまわした。通称はエリー、ドイツ系であり、黒い長髪が目印。現在はアレクたちとは違い、アルドバラ公爵家にはちょくちょく足を運んでいるが、住んではいない。恐らく自身が堅気の容姿をしていないことを自覚しており、迷惑をかけないようにとの配慮から、もしくは気楽な傭兵稼業で腕を磨きつつ、ジェニーの依頼を待っている、と思われる。
- ペドロ
- ジェニーの傭兵団の古株。第1話から登場。くせ毛で胸毛が濃い大柄な戦士、スペイン系。みんなでジェニーを追いかけまわした。彼もアルドバラ公爵家にはちょくちょく足を運んでいるが、住んではいない。
- エンツォ
- ジェニーの傭兵団の古株。第1話から登場。童顔、左頬に十字傷がある、イタリア系。みんなでジェニーを追いかけまわした。彼もアルドバラ公爵家にはちょくちょく足を運んでいるが、住んではいない。
- チェン
- ジェニーの傭兵団の古株。第1話から登場。長い黒髪で顔に大きな三日月傷跡がある、中国系。彼もアルドバラ公爵家にはちょくちょく足を運んでいるが、住んではいない。ジェニーを共に追い掛け回した仲間には、他にニコライ(ロシア系)やルシュド(アラビア系)、ラオ(東南アジア系)などがいる。
- リチャード・ローレンス・スミス
- ナシオナル・アラルコン・スミスの長男であるが、ナシオナルとの血のつながりは無い。ジェニーの異父兄。ジェニーに兄としての感情以上のものを抱いており、影からジェニーを支え続けている。アメリカ陸軍の大佐、国防総省勤務。ジェニーがアルドバラ公爵家を継承したことでスミス家の次期当主が確定したようにも見えるが、自分の次はホープかフューチャーにスミス家を託そうと考えている。
- ブライアン・ティラー
- ジェニーの夫。天才ヴァイオリニスト。ニューヨークのゲットー出身。孤児院で育ち、幼少の頃からバイオリンを学ぶ。ジュリアード音楽院でジェニーに知り合ったがジェニーから引き離すためにウィーンに留学させられる。プロのバイオリニストとして世界中を飛び回る。後に日本でジェニーと再会し、ウィーンで結婚するが、パリでの演奏会直前に交通事故で死亡する。モンマルトル墓地に眠る。
- ホープ・テイラー
- ジェニーの生んだ双子の一人。生まれた時はシャム双生児。両親から音楽的才能を受け継いでおり、特にヴァイオリニストの才能があるらしい。
- フューチャー・テイラー
- ジェニーの生んだ双子の一人。生まれた時はシャム双生児。分離手術後、心臓移植が必要な状態であったため通常より成長が遅い。ジェニーから軍事的才能を受け継いでいると思われる。チェスの名手。
- チェスター
- 1巻でジェニーの傭兵団に参加。しばらくは中核メンバーとして活動するが、ジェニーがアルドバラ公爵位を継承する前後から姿を見せなくなった。戦死したわけでもなさそうなので、何らかの事情により傭兵団を離れたと思われる。サングラスと長いもみあげが特徴。
- グレイス・コロンビア・スミス
- ナシオナルの妻。ジェニーの母親。またウォルター・シュワードとの間にリチャード・ローレンスら3人の子供をもうけた。若い頃から気位が高いお嬢様として育つ。ジェニーとは不仲であった。認知症となってスイスで療養している所をムスリムのテロリストに襲撃され、ウォルター・シュワードとともに命を落とした。
- ウォルター・シュワード
- グレイス・コロンビア・スミスのいとこで具象画家。グレイス・コロンビア・スミスとの間に3人の子供をもうける。
- アン・キャロライン・スミス
- ジェニーの異父姉でグレイス・コロンビア・スミスの次女。ジェニーより1歳年上で母親グレイスに最も似ており、母の影響で、ジェニーとは仲が悪かった。ジェニーがジュリアードに入学して以降、たまに里帰りした時しか顔をあわせない。結婚したが、後に離婚。血の繋がっていない父のナシオナルに想いを寄せており、ナシオナルの実の娘であるジェニーをうらやましく思っていた。母グレイスの死後、ナシオのそばで身の回りの世話をして過ごしている。
- メアリ・ジェーン・スミス
- ジェニーの異父姉でグレイス・コロンビア・スミスの長女。アルドバラ公爵家に嫁いだ。ジェニーに対しては母親のような優しさを示していた。英国の名門軍閥アルドバラ公爵の孫と結婚するが、舅である政治家のアルドバラ国会議員ともどもIRAのテロに遭い、死亡。ジェニーの傭兵引退の直接のきっかけとなった。
- コリンズ・サリヴァン
- ジュリアード音楽院のピアノ科の教授。ジェニーのピアニストとしての才能を見いだして英才教育を施した。
- エリーゼ・パトラーシュ
- ジュリアード音楽院時代からのジェニーの親友で声楽家。歳若く周囲に溶け込めなかったジェニーの最初の友人だった。ネオナチに殺害される。
- ロジナルド・デ・ビエナ
- スペイン、ラ・マンチャ地方の郷士アラルコン家の男。アラルコン家の所領をナシオナルに譲ろうとするも断られる。軍規を犯したかどで逃亡中。
- リトル・ヴィクトリア
- 本名はヴィクトリア・ブルーム。パレスチナ難民がイギリス軍兵士に強姦されて生んだ私生児だが、ふとしたきっかけでアルドバラ公爵家が養育を引き受けることになる。父親はエリザベス2世を守って殉職。
- イスラフィール
- 中東にある架空の国ブラーク王国の王太子。リトル・ヴィクトリアに思いを寄せている。
[編集] 単行本
- ジハード(聖戦)
- クロス・メモリー
- オール・レッド
- 月蝕
- ユングフラウ
- ヒート・イースト
- GIキング
- ルナティック
- ソル・イ・ソンブラ
- クルセイダー
- 炎の月(1)
- 炎の月(2)
- 炎の月(3)
- 炎の月(4)