ジョージ・ルーカス
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ジョージ・ルーカス(George Walton Lucas Jr, 1944年5月14日 - )は、アメリカの映画監督・プロデューサーである。
『スター・ウォーズ』や『インディ・ジョーンズ』三部作などの世界的大ヒットシリーズの製作で非常によく知られている。商業的に成功した映画製作者の一人でもある。
[編集] 概要
ルーカスはカリフォルニア州モデスト(ちなみに、カリフォルニア州モデスト市は、日本・福岡県久留米市の姉妹都市である)に生まれた。1960年代の間、フィルムに関する専門学科を早くから設けたロサンゼルスの南カリフォルニア大学(USC)で映画の勉強をした。そこで彼はたくさんの短編を制作し、特にその中の一つ、『電子的迷宮 THX-1138 4EB』は数々の賞を受ける。
卒業後、ワーナーのスタジオでの研修中、『フィニアンの虹』を撮影中のフランシス・フォード・コッポラと出会って意気投合し、ハリウッドのシステムに強制されることのない映画制作者の為の環境を作ることをめざしてコッポラが設立したアメリカン・ゼオトロープ社に副社長として参加する。そして、アメリカンゼオトロープの第一作『THX 1138』(『電子的迷宮 THX-1138 4EB』の長編映画化作品)で初監督をつとめることになる。その後、ルーカスは自らの映画制作会社ルーカスフィルムを設立し、制作・監督した『アメリカン・グラフィティ』(『ゴッドファーザー』で一流監督の仲間入りをしていたコッポラをプロデューサーとして迎え入れる)が大ヒットし、ルーカスは一躍有名になる。そして、20世紀フォックスに企画を自ら持ち込んで『スター・ウォーズ』の制作を始めるが、コッポラが自分の企画に介入することを阻止するために、温めてきた『地獄の黙示録』をノンクレジットで渡してしまう。そのかわり『スター・ウォーズ』をコッポラの影響なしに制作することができた。
1975年に『スター・ウォーズ』製作のためにSFX会社インダストリアル・ライト&マジック(ILM)を設立。同シリーズの成功によりスカイウォーカー・サウンドやTHXなどの関連会社を設立、映像・音響技術面でデジタル化推進を軸に映画界に多大な功績を残している。また早くからキャラクタービジネスに取り組み、『スター・ウォーズ』シリーズ等の関連商品のロイヤリティで巨万の富を築いている。実際『スター・ウォーズ』新3部作の制作費は全て彼自身が出資しており、「世界で最も贅沢なインディーズ映画」と言われている。
映画賞にはそれほど縁のないルーカスではあるが、1991年には長年の功績を称えられ、アカデミー賞のアービング・G・タルバーグ賞 を受賞した。
初めは監督より編集者として活躍していただけに、早くからフィルムをカットしていく従来の方法ではなくビデオを利用した電子編集を導入したり、世界最初のノンリニア編集システム"editdroid"の開発をも支援した。
スター・ウォーズ新3部作ではまず扮装したスタッフに構想した場面を演じさせ、視覚効果と合成した時の仕上がりや各場面の尺、編集のタイミングを見通した上で俳優を起用した撮影に入る、という撮影前に編集するプロセスを採った。更にその時の映像を撮影前に俳優に見せる事により、後でCGをはめ込む為撮影中は周りの風景が見えないブルースクリーンの中でもより演技しやすい環境を作った。
デジタルシネマ構想など映画製作のデジタル化推進の急先鋒であるにもかかわらず、当の本人は至ってアナログ派で『スター・ウォーズ』新3部作の脚本もバインダー式ノートに鉛筆で書かれている。
ルーカス自身は、子供の頃からSFマニアであり、映画で得た利益のほとんどをルーカスフィルムに費やして、自身の生活は質素。マリンカウンティのハンバーガー店でハンバーガーを食べている姿をよく見かけられている。尚、ルーカスフィルムがあるスカイウォーカーランチでは、ブドウを栽培しており、このブドウは収穫されコッポラの経営するニバウム・コッポラ・ワイナリーでワインとして販売されマニアの間で高値で取引されている。
今でこそ彼はBMWに乗っているが、帝国の逆襲が成功したときでさえ、彼は古いカマロに乗っていた。当時、友人がルーカス宅を訪ねると、冷蔵庫は冷凍食品がびっしり詰まっていたという。友人が「楽にコックを雇えるだろ?」と言うと、「コック?それはいい考えだね!」と答えたという。また、若い世代の育成に熱心で、2006年9月、USCに1億7500万ドル(約205億円)の寄付をした。
昔の連続活劇のファンであり、インタビューにおいて『インディ・ジョーンズ』や『スター・ウォーズ』の演出には連続活劇の手法を用いていると語っている。
また、同業のスティーブン・スピルバーグとは長い付き合いの友人であり、『インディ・ジョーンズ』シリーズを一緒に製作しているほか、『スター・ウォーズ』シリーズではスピルバーグが部分的に手伝っていたりする。
製作総指揮を手掛けた作品も多いが、その殆どは作品的に評価が低く、「ハワード・ザ・ダック」はその最たる物である。
ルーカスは現在『インディ・ジョーンズ4』(2008年5月公開予定)を製作中で、第二次世界大戦時に空軍に参加した黒人パイロットの物語『Red Tails』という作品の企画も発表されている。しかし、映画製作はリスクとコストが高いことを理由に映画業界からの撤退も示唆しているので、『Red Tails』の公開は実現しない可能性もある。
[編集] 作品
- THX 1138 THX1138 (1970) (監督, 脚本)
- アメリカン・グラフィティ American Graffiti (1973) (監督, 脚本)
- スター・ウォーズ Star Wars Episode IV: A New Hope (1977) (監督, 脚本)
- スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲 Star Wars Episode V: The Empire Strikes Back (1980) (制作総指揮, 脚本)
- レイダース/失われたアーク《聖櫃》 Raiders of the Lost Ark (1981) (制作総指揮)
- スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還 Star Wars Episode VI: Return of the Jedi (1983) (制作総指揮, 脚本)
- インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説 Indiana Jones and the Temple of Doom (1984) (制作総指揮)
- Mishima: A Life In Four Chapters Mishima: A Life In Four Chapters (1985) (制作総指揮)
- ハワード・ザ・ダックHoward the Duck(1986)(製作総指揮)
- ラビリンス/魔王の迷宮Labyrinth(1986)(製作総指揮)
- ウィローWillow(1988)(製作総指揮)
- タッカーTucker: The Man and His Dream(1988)(製作総指揮)
- インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 Indiana Jones and the Last Crusade (1989) (制作総指揮)
- スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス Star Wars Episode I: The Phantom Menace (1999) (監督, 脚本, 製作総指揮)
- スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃 Star Wars Episode II: Attack of the Clones (2002) (監督, 脚本, 製作総指揮)
- スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐Star Wars Episode lII: Revenge of the sith (2005) (監督, 脚本, 製作総指揮)
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