ジョー・スタンカ
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ジョー・スタンカ(Joe Donald Stanka,1931年7月23日-)は1960年代に日本のプロ野球で活躍した投手。アメリカ合衆国オクラホマ州出身。
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[編集] 来歴・人物
アメリカでは実力的に3Aクラスの投手だったが、28歳だった1959年9月2日(現地時間)にホワイトソックスでメジャー初登板、その3日後の9月5日にも投げ、メジャーリーグ通算2試合で1勝を挙げた。同年のオフに南海ホークスに入団。この年の日本シリーズで読売ジャイアンツを4連勝で破り日本一に輝いた鶴岡一人監督が、連覇に向けエース杉浦忠に続く第2の投手の柱を熱望し、入団させたものであった。日本のプロ球団に3Aクラスの外国人投手が加入したのはスタンカが初めてで、当時の日本野球の技術レベルならば即20勝前後の働きが可能と判断しての獲得だった。
1年目から先発で活躍し、「赤鬼」の異名を取った。1964年には26勝を挙げシーズンMVP、阪神タイガースとの日本シリーズでは第1・6・7戦で先発し3完封をやってのけ南海は日本一を達成、スタンカはシリーズMVPを受賞した。翌1965年も先発投手として活躍したが、長男が自宅風呂場でガス事故死し不幸を断ち切りたいと帰国、南海を退団した。1966年は大洋ホエールズで1年間プレーした。
[編集] エピソード
- 来日して記者会見を開いたとき、記者達は一様にその巨体に「大きい」と感嘆の声を挙げた。それを聞いたスタンカは、オクラホマ人を指す「オーキー」というスラングと勘違いし、「日本でも自分がオクラホマ出身だということはそんなに有名なのか」と錯覚したという。
- 1961年の日本シリーズ第4戦で、1点リードの9回裏に杉浦忠をリリーフして登板。2死までこぎ着けたが、その後一塁の寺田陽介がフライを落球、三塁の小池兼司がゴロをファンブルするというエラーが重なり、満塁となる。ここで打席に入った宮本敏雄をカウント2-1と追いつめ、自信を持って投げ込んだ投球を円城寺満球審は「ボール」と判定。(受けていた野村克也によると、セリーグの審判である円城寺がスタンカの投球を見慣れていなかったことと、自分が「終わった」と思って少し早めに腰を浮かせたことがその原因ではないかという)
- スタンカは円城寺に詰め寄って抗議したが判定は変わらず、次の投球を宮本に痛打されてサヨナラ負けを喫する。このとき、スタンカはバックアップに入ると見せかけて円城寺に体当たりを食らわせた。この敗戦が影響して南海は日本シリーズに敗れる。やがてその試合を見ていた商社マンが「円城寺 あれがボールか 秋の空」という川柳を色紙に認め、実業家に転身していたスタンカに贈った。その色紙は後年になってもスタンカの事務所に飾られていたという。
- 1964年、南海ホークスが優勝した際、優勝後の祝勝会で喜びのあまりスタンカがビールを飛ばしたのが、現在でも恒例となっているビールかけの始まりという説がある。ただし、これに関してはそれに先立つ1959年の日本シリーズで南海が優勝した際にすでに行われていたとの説もある(詳細はビールかけの項目を参照)。
[編集] 年度別成績
- 表中の太字はリーグ最多数字
年度 | チーム | 登板 | 完投 | 完封 | 無四球 | 勝利 | 敗北 | 投球回 | 安打 | 本塁打 | 四死球 | 三振 | 自責点 | 防御率(順位) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1960年 | 南海 | 38 | 11 | 4 | 1 | 17 | 12 | 240 | 186 | 13 | 103 | 174 | 66 | 2.48(6) |
1961年 | 南海 | 41 | 9 | 2 | 0 | 15 | 11 | 231.1 | 208 | 11 | 81 | 176 | 85 | 3.30(9) |
1962年 | 南海 | 38 | 5 | 0 | 1 | 8 | 10 | 206.1 | 186 | 16 | 80 | 131 | 83 | 3.61(16) |
1963年 | 南海 | 34 | 7 | 4 | 1 | 14 | 7 | 186.1 | 154 | 13 | 67 | 89 | 53 | 2.55 |
1964年 | 南海 | 47 | 15 | 6 | 3 | 26 | 7 | 277.2 | 221 | 28 | 83 | 172 | 74 | 2.40(2) |
1965年 | 南海 | 34 | 4 | 2 | 0 | 14 | 12 | 172.2 | 172 | 19 | 61 | 76 | 63 | 3.28(19) |
1966年 | 大洋 | 32 | 4 | 0 | 0 | 6 | 13 | 144.2 | 153 | 14 | 50 | 69 | 67 | 4.16(27) |
通算成績 | --- | 264 | 55 | 18 | 6 | 100 | 72 | 1459 | 1280 | 114 | 525 | 887 | 491 | 3.03 |