スタースクリーム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スタースクリーム (Starscream) は、タカラ(現:タカラトミー)のロボット玩具シリーズ『トランスフォーマー』(以下TF)に登場する架空の人物。数々のシリーズでその名が使用され、デストロン(Decepticons)軍団の中核であり野心家としての位置付けで登場する事が多い。日本のファンからは「スタスク」の愛称で呼ばれる。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー
[編集] 性格・特徴
- デストロン軍団の航空参謀かつナンバー2を自称する野心家。マグダネル・ダグラス F-15 イーグルに変形する。リーダーであるメガトロンに対し、事あるごとに反発、反逆を繰り返し覇権掌握を目算する策略家。元は科学者であり、戦争開戦前は惑星探査に従事していたが、戦争のスリルを好み転身した。己の能力に過剰な自信を抱いており、現在の地位は不満だが、メガトロンの能力の高さの前に忸怩たる、憤懣やる方ない思いを抱いている。年齢は、先述したように戦前生まれであること、開戦が1000万年前であることから、1000万歳を超える計算となる。若造と形容できる言動とは裏腹に、実はメガトロン(980万歳)より高齢である(ただ、サイバトロンとデストロン「軍団」の本格的な開戦はメガトロンの誕生後)。
- 仲間からは一定の評価は得ているものの、「こうなったのも全部お前のせいだ!」「メガトロン様、私じゃありません、○○が悪いんです!」と、すぐ他に責任をなすりつける姑息な性格ゆえに軽んじられているのが常で、お世辞にも人望があるとは言いがたい。そのためか、ジェットロン部隊のリーダーであるにもかかわらず、部下たちからそう思われていない節が見られる。ただ、口の上手さは天才的で、脅迫、恫喝など様々な手管で、ようやく相手を丸め込み命令している。
- 両腕に装備しているレーザー銃から、機械を麻痺させるナルビームを射出する。胸から爆弾クラスターボムを射出出来る。劇中ではナルビームに関して誇示する発言も頻繁に口にする事から、なかなかの自信を持っているようである。
- 設定画の翼の上下反転した自軍紋章も政権転覆の野心の表れのようである(同型ジェットロンも同様であるが)。
- クリス・ラッタの演じる原語版では甲高い声の典型的な三枚目調で、原語版を見た日本のファンの中には「スネ夫の様」と形容する者もいる。吹替版では鈴置洋孝が担当し、ニヒルな側面が強調され、策謀を挫かれた時の落差も合わせて、同氏の代表的役どころの1つとなっている。
- 小悪党というイメージの強い彼であるが、後述する『ザ・ムービー』にて、メガトロン放逐後の次期リーダーを決めるバトルロイヤルでビルドロンやサウンドウェーブといった実力者に勝利し、新リーダーの座に収まっていたことから、戦闘力はデストロンでもトップクラスであると推測される(賦性の話術で調停したとも考えられるが)。初代『トランスフォーマー』第32話にて彼と遭遇したマイスターが「相手にとって不足はない」という発言をしており、戦闘員としての実力はサイバトロン側でも高く評価されているようである。しかし、その自信過剰ぶりもよく知られているようで、『スクランブルシティ発動編』ではコンボイに「相変わらず口だけは達者」と評されている。
- 自称「大空のエース」
[編集] 活躍
- 初代『トランスフォーマー』ではほぼ毎回登場し、メガトロンとの権力闘争を繰り広げる。元科学者ゆえか、自然のエネルギーバランスに関しては、至極真っ当な忠告をするのだが、大抵は無視される。また、アトランティスの挙動不審など、危険を見抜く力があり、有益な警告をすることもあるが、大抵無視される。(基本的にメガトロンに対するただの反発。)。第1話ではサイバトロンを復活させてしまった一撃を放ってもおり、宇宙船建造のための資材調達方法に対し、「自分で考えろ」とメガトロンに言われた直後にサウンドウェーブのアイデアを仰ごうとしたりと、やることなすことツッコみどころが多い。
- 海外における初期エピソード「スカイファイヤーの復活」にて温厚な科学者スカイファイヤーとの旧交、前身が語られた。
- メガトロンへの反発心は非常に強く、「ナイトバードの影」で蔑ろにされた腹いせにメガトロンの作戦を潰えさせる。
- 「地球消滅計画」でメガトロンもろとも地球を粉砕しようとする。
- など、放逐されないのが不思議なほどの行動を重ねているが、ごく稀にメガトロンに対して素直な一面も見せる。
- 「スタースクリーム軍団」にて、デストロン政治犯のパーソナルコンポーネント(頭脳部分)を流用し、私兵としてコンバットロン部隊を誕生させるが、その傲慢と身勝手さが災いして反逆される。彼の造反に主眼をおいた構成となっておりキーパーンであることが見て取れる。
- 『ザ・ムービー』にてメガトロンを放擲し(その際、インセクトロン・ジェットロンも放逐)、次期リーダーに収まり、セイバートロン星にて戴冠式を挙げている途中、ユニクロンに改造強化されたガルバトロンのSFガンの直撃を受け、消し炭にされ死亡する。彼の掴んだ「新破壊大帝スタースクリーム」の栄光は、一瞬のもので終わった。
- しかし、『2010』で幽霊となり再登場。他人に憑依することが可能で、オクトーン、スカージなどを巧みに操った。ユニクロンと取引しボディを作らせようやく復活するも、直後ガルバトロンに撃たれ宇宙に消えた。
- 日本展開では、『リターン・オブ・コンボイ』にて、ダークノヴァによって再生中のスーパーメガトロンと出会い、宇宙破滅の参謀役として転生、スタールシファーを名乗る。ダークノヴァの命でメガトロンの監視をするが、その実、主君でさえも抹殺を企む。しかしその策略は失敗に終わってボディは破壊されるが、不死の能力を得たスパークは次元を漂流。そして、『G-2』にて再び復活を果たす。海外展開では、『G-2』以前にアクションマスター化が確認されている。
- その後また死亡したらしく、『ビーストウォーズ』では霊体(本作以降スパークと呼称)の彼が時空を越えて惑星エネルゴアに辿り着く。ワスピーターに憑依し、またも策略を巡らすが、過去の所業はダイノボットなどが聞き知っていたため失敗し、再び宇宙に消えていった。この時の声は矢尾一樹。
- 全シリーズを通しても屈指の人気キャラであり、エネルゴアが旧作TF覚醒以前の太古の地球と判明する『メタルス』より前に、G1期との接点を務めたことは、海外での人気の証左と言えよう。
- 初代『トランスフォーマー』の続編であり、タイムパラドックスにより『ザ・ムービー』『2010』とは関連性のあるパラレルワールドと位置づけられている『バイナルテック』では存命しており、地球攻撃指揮官の任についている。また、『キスぷれ』では、Dr.アーカビルによってF-15Eに変形する新しいボディに生まれ変わっている。
[編集] 迷セリフ
ファンの間ではスタースクリームの印象的なセリフというと下記が主にあげられる。
- 今日からデストロンのニューリーダーはこの俺だ!
- お許し下さい、メガトロン様!
また、常套句はないが「マスタービルダー」「ブルーティカスの復活」では自身の普段の所業を棚に上げ自軍のメンバーを論っている。先にも述べたように、この落差がスタースクリームの魅力において重要な位置を占めている。
[編集] 玩具
『ダイアクロン』シリーズのジェット機ロボ 超高速戦闘タイプの仕様変更(同時に発売されていたアクロバットタイプもサンダークラッカー/Thundercrackerとして発売)。近年では初代で発売されたものが『トランスフォーマー 復刻版』『トランスフォーマー コレクション』で復刻。 『ロボットマスターズ』にて新規開発。手のパーツが本体格納に改善され、腕全体の出来も出色となっている。 『マスターピース』にて高価版が登場、F-15に対地攻撃能力を付加したバリエーションであるF-15Eに変形する。機種選定の理由は、変形機構上、戦闘機形態の下面にできる不自然な凸凹をコンフォーマルタンクで解消するためといわれている。また、現在のところ国内販売は未定であるが『Transformers Classics』でも完全新設計のリニューアル玩具がラインナップされている。
[編集] ビーストウォーズII
デストロン機甲部隊の航空参謀として登場したキャラクター。オネエ言葉で話し、智謀を働かすが忠臣であり、軋轢の相手は副将のメガストームである。ジェット機に変形し、合体可能なパートナーBBの尊敬を得ているという懐かしさと新味の同居するキャラクターとなっている。後にサイボーグサメに変形するヘルスクリームとしてパワーアップするが、顔の凶悪さと裏腹にオネエ口調は変わらなかった。
声は高橋広樹。玩具は『G-2』期の傑作玩具ドレッドウイングの流用で、当時「メガトロン&スタースクリーム」としての販売予定もあったもの。ヘルスクリームは『ビーストウォーズ』のサイバーシャークの改修品。
[編集] マイクロン伝説以降
「ユニクロン三部作」と呼ばれる、設定をリセットされた新シリーズにて登場したスタースクリームについて記述。
en:Starscream (Unicron Trilogy)
[編集] マイクロン伝説
破壊大帝メガトロンの右腕である、航空参謀。旧作同様に野心家であるが、更に若々しい武人としての側面が付与され、また、彼のウィングブレードやスターセイバーを使った活躍から、スタースクリーム=剣の達人というイメージを作り固定化させた。尚、スーパーリンクでも、クリムゾンブレード、ギャラクシーフォースでも、バーテックスブレードで、このイメージは受け継がれている。
様々な周囲の策謀に振り回され一旦デストロンを脱退し、サイバトロンに身を寄せ、地球人の少女アレクサ/Alexisらと親交を結ぶ。そして、マイクロンや子供など、弱いものに対する愛情と友情に目覚める。その後、不本意ながらもデストロンに復帰するも、ユニクロンの存在と脅威に気付き、ユニクロンを放置しておけば、アレクサを初めとする愛するものを失うことを知り、それを打開するためのサイバトロンとデストロンの同盟の必要性を痛感し、あくまで戦争を望むメガトロンと対立、一騎打ちの末敗れたが、ユニクロンに一撃を加え、その反撃に消え去ることでメガトロンの心を動かした。『正々堂々』とし、『平和を望んだ』という“スタースクリーム”としては極めて異質な人物である。 また、従来の「スタースクリーム」の役割を「スラスト」が担ったともいえる。 後半怒涛の盛り上がりを見せた本作の立役者である。声は山野井仁。
[編集] スーパーリンク
クインテッサ星人アルファQが、破壊されたユニクロン内部に浮かぶスパークから再生した戦士、ナイトスクリーム/StarScreamとして登場。名前の通り米国版『TRANSFORMERS ENERGON』では前作と同一人物だが、日本版では劇中明確に描写されなかった。匂わせる程度の描写に終わったのは、シリーズが長引くことで新規参入者が少なくなることを懸念した製作サイドの意向だとされる。
中途半端な再生により、逆に実体を消すことの出来る幽霊のような能力を持つ。ガルバトロン暗殺が使命だったが、捕縛される。その精神を解析したガルバトロンは旧知の人物であったことに驚き、忠実な部下として洗脳。その後は誰よりもガルバトロンに忠実な兵士として戦った。
太陽に接近した際に、他の再生・転生戦士と共に頭痛を訴え、その後は若干言動が荒っぽくなっている。最後までガルバトロンに付き従い、共にエネルゴンの太陽の中に消えていった。
マイクロンのスタースクリームが正々堂々とし慈愛の心を持つ点で”スタースクリーム”としては異質なら、彼は、リーダーに対し絶大な忠誠心を持つという点で異質な”スタースクリーム”といえる。
声は山野井仁氏が同作に出ていたにもかかわらず、(恐らく上記の理由で)飛田展男。
[編集] ギャラクシーフォース
マスターメガトロンの右腕である。海外では同一人物だが、日本版では設定が再びリセットされているため別人。
冷酷非道な野心家として造形され、純粋に覇権を狙っている。様々な惑星に勢力が分断されたのをいいことに、報告を捻じ曲げたり、重要なファクタープラネットフォースの宇宙地図を隠し持ったりと、更なる力を自ら得ることに執着した。
後半でプラネットフォースの力の一部を我がものにし、スーパースタースクリームにパワーアップ。ギガロニアにてマスターガルバトロンに敗北し、消滅したかと思われたが、別次元にて生きながらえていたことが判明した。メガトロン(ガルバトロン)と対等に戦えるほどの力を持っているという点で、”スタースクリーム”としては異質である。
声は黒田崇矢。
玩具は通常サイズ、巨大版の二種が存在。日本では通常版、海外では巨大版がデフォルトで販売された(限定扱いでもう一方も販売)。
設定上の関連はないが、玩具は米国で展開されたコミックシリーズ『War Within』で描かれたセイバートロン星時代の初代(G1)スタースクリームの意匠をモチーフに製作されている。
[編集] ファンからの評価
新シリーズ三部作のスタースクリームは、それまでのスタースクリーム像からかけ離れた、独特の魅力を持っている。そのため、「ユニクロン三部作のスタースクリームは“スタースクリームという名前”に対し反乱を行った」と考えるファンもいる。また、mixi等一部ブログ、コミュニティでは、初代スタースクリームとギャラクシーフォースのスタースクリームをかけ、誰かを裏切るという意味で『王冠をかぶる』というたとえを出している。(この意味では、ギャラフォ・スタースクリームは2度『王冠をかぶる』と言われている。これは、スタスク役の黒田崇矢氏が、「轟轟戦隊ボウケンジャー」の闇のヤイバ役で同様の行動を起こす役をしているため。)
[編集] 関連項目
- スリップノット - このバンドのメンバー、シドはソロ活動時に「DJスタースクリーム」を名乗る。