ゼンガー (航空機)
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ゼンガーは、ナチスドイツが開発しようとした宇宙空間爆撃機。発案者はオーストリア人のロケット学者、オイゲン・ゼンガー。
[編集] 機体構想
ゼンガーは直線翼機である。離陸の際は全長3kmのモノレールの上を、ロケットカタパルトに乗せて行われる。カタパルト加速はなんとマッハ1.5である。ゼンガーは爆撃機であるため、当然有人機だから発射時のGが非常に大きいと思われるが、これに関する記録はない。射出された後、ゼンガーは水平に飛行する。地球は丸いから、水平飛行を続ければいつかは大気圏外に出る(予定推力は100tである)。そして高度160kmに達したところでロケットモーターを停止し、下降を始める。すると、大気層にぶち当たる。ゼンガーは大気層に降下することで、小石が水面をはねる水きり効果によって、大気の上をジャンプしながら、発射地点から見て地球の裏側にあたる地域にまで達する。摩擦熱がすごいはずだが、これの記録もない。しばらくしてアメリカに到達したゼンガーは、300kgの爆弾(神経ガス弾/原子爆弾という説もある)を目標に投下する。任務完了後は、日本が占領している南太平洋の島々のどれかに着陸する(日本がそこを占領していることが前提である)というプランだった。
[編集] 戦後
この「水切り飛行」は注目を集め、アメリカではこれに影響を受けたダイナソア計画が生まれた。しかし高価な割に実際の効果が疑問である事とNASAの領域である有人宇宙機開発に空軍が乗り出す事による摩擦の問題が解決できず、結局通常の宇宙船を利用するブルー・ジェミニ計画に取って代わられた。