トレンチコート
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トレンチコート(Trench coat)は、冬季用の外套(オーバーコート)の一種。
トレンチコートの起源は第一次世界大戦のイギリス軍で、寒冷な欧州での戦いに対応する軍用コートが求められたことから開発されたものである。「トレンチ(塹壕)」の称は、このコートが泥濘地の塹壕戦で耐候性を発揮したことによる。
生地にはギャバジン(防水加工した綿生地)ないしウールを用いるのが普通であるが近年は合成繊維や皮革も用いられる。
肩にはボタン留めのショルダーストラップ(エポレットとも言う 肩章)が付き、水筒や双眼鏡、ランヤード(拳銃吊り紐)等を吊ったりベルトを掛けたりすることができる。(ちなみにショルダーストラップは、同様の理由から諸外国の軍人や現在の日本の自衛官等の制服や外套、戦闘服や作業服、更には警笛を繋いだモールやチェーンを吊る為に警察官や警備員の制服や外套にも付いている。)
襟元にはチン・ストラップと呼ばれる帯、また手首にもストラップを備え、寒風を防ぐ。
ウエスト位置のベルトはトレンチコート最大の特徴で、腹部を暖かく保つと共に、整ったシルエットを形作る。
右胸(肩)に縫い付けられた当て布は、本来そこに小銃のストックを当てるために、すり切れ防止用としてつけられていたが、現在は単なる飾りである。これが両胸についているものもあるが、これこそ飾り(単なるデザイン)である事をよく示しているといえる。(小銃を撃つときには左右どちらかの肩にしかあてないので、当て布は片方にしか付けない)
古典的なトレンチコートの場合、両腰のポケット部分は、内側に着込んだ上着のポケットに手を届かせるため、袋でなく単なるスリット(切れ目)になっていた。
イギリスのバーバリーとアクアスキュータムの2社の製品が元祖と言われ、現在でも有名である。
実用性が高く、かつ外観的にも機能美に優れることから、1930年代以降、特に男性の冬のファッションにおいて定番の一つとなった。ハンフリー・ボガートやアラン・ラッドなどの俳優がフィルム・ノワールの中で着用したことでより人気が高まり、トレンチコートに「ハードボイルド」のイメージを植え付けることになった。