バズーカ
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バズーカ (Bazooka) は、第二次世界大戦で使用された正式名称「M1対戦車ロケット発射器」等、または朝鮮戦争で使用された「M20対戦車ロケット発射器」の米軍等での愛称。
その形状が、当時アメリカで有名であった音楽コメディアン「ボブ・バーンズ」の「バズーカ」と呼ばれる舞台で使用されていた自作のラッパに似ていた事からこの愛称で呼ばれるようになった。
初速の遅い砲弾でも高い装甲貫通力を発揮させる成型炸薬弾頭(HEAT)が実用化され、当時の戦車に対して非常に有効な歩兵用携行火器となった。戦後アメリカから西側諸国に多数が供与され、携帯対戦車ロケット兵器の代名詞的にもなった。以来同様の担ぎ型発射方式の対戦車ロケット発射器や無反動砲を、軍事専門家以外は一般名詞的に「バズーカ」と呼ぶようになる。日本では「バズーカ砲」などとも呼ばれるが、構造的にはロケットを直進させるための単なる鉄パイプに引き金と(推進薬の点火に必要な、コイルの中心に勢い良く棒磁石が突っ込まれるだけの)簡易発電装置またはバッテリーを付けたようなもので、「砲」(ガン)ではなく、薬室を持たない「噴進弾発射器」(ロケットランチャー)に分類される。極めてシンプルで安価なこの兵器は、'42年末の北アフリカ・チュニジアに投入され、折りたたみ式になったM9を含め第二次大戦中だけで本体約48万器、ロケット弾1560万発と大量生産された。
一方、ドイツ軍は捕獲したバズーカに影響され、43型対戦車ロケット発射器「プップヒェン」の8.8cmロケット弾を流用したバズーカ型ロケットランチャー・43型ロケット対戦車銃「パンツァーシュレック」(別名オーフェンロール)を採用した。(つまり、ロケット弾はオリジナルで本体形状は真似である。)これはHEAT弾の貫通力が口径に比例する法則の通り、口径60mmのM1バズーカより強力であり東部戦線ではT-34を撃破する威力をみせた。
第二次大戦中にはドイツ重戦車の側面を狙い戦果を挙げたはずのM1バズーカは、朝鮮戦争においてT-34-85に対し威力不足であったが、これは大戦後5年が経過した在庫のロケット弾の炸薬が劣化していたのが原因とする説がある。この事態に際し、'45年に既に採用済みの口径90mmのM20「スーパー・バズーカ」が急遽大量生産、空輸され威力を発揮した。(パンツァーシュレックの威力に対抗しT-34の装甲が強化されていたわけではない。この手のHEAT弾を用いる歩兵火器への対抗策として、金網やベッドのスプリングを戦車の周囲に装着した事例はあるが、朝鮮戦争のT-34では行われていない。逆に、バズーカを捕獲した中国義勇軍兵士による攻撃に対し、国連軍戦車の砲塔周りに金網を張った例がある。)
使用方法は射手が肩に担いで構え、装填手が後部からロケット弾を装填、ロケット弾から伸びたワイヤーをバズーカ本体の電極に接続。発射準備が完了したら、後方爆風を浴びない位置に移動し射手のヘルメットを叩いて合図、敵(主に装甲戦闘車両やトーチカ)を攻撃する。ロケットの燃えカスが射手の顔面に吹き付けるため、初期にはガスマスク着用で発射されたが、後にディフレクター(ラッパ状に広がったカバー、初期には金網製の笊型)が筒先に取り付けられた。パンツァーシュレックや、戦後フランスで独自に採用されたバズーカ型ロケットランチャーでは、盾状のカバー(防弾性は無い)が射手の顔前に付けられている。
バズーカ型ロケットランチャーの外見は無反動砲と非常に類似しているが、無反動砲と異なる点は砲身内部にライフリングが刻まれていない点と、ロケット弾が推進薬で加速するのに対し、無反動砲弾は高速で後方に噴出する燃焼ガスで反動を相殺する(作用・反作用の法則)、火薬発射型の「砲」であるという点である。また、後方爆風が発生するため発射器/砲の後方に物や壁があってはいけないことと、発射後の煙で位置を容易に特定されてしまう弱点は共通する。M20スーパーバズーカはより射程の長い無反動砲や対戦車ミサイルにその座を譲って、正式装備から外れていった。
なお、アニメ「機動戦士Zガンダム」等では「バズーカランチャー」なる珍語が登場したが、これでは弾ではなくバズーカ本体を発射する装置という意味になってしまう。
[編集] 関連項目
- パンツァーシュレック
- パンツァーファウスト
- 成形炸薬弾
- バズカン
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