ヒュンダイ・ソナタ
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ヒュンダイ・ソナタ(Hyundai Sonata)とは韓国の現代自動車が生産する中型セダンである。主な海外市場である北米での競合車種はトヨタ・カムリやホンダ・アコード(北米・アジア仕様。日本ではインスパイアとして販売されている)などである。
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[編集] 歴代モデル
[編集] 初代
「ソナタ」という名前のモデルが最初に現れたのは1985年末のことだった。プロジェクト名 「Y-Car」と呼ばれたこのモデルは、当時ヒュンダイの主力中型セダンであったステラ (STELLAR)の最高級バージョン(ステラは欧州フォードコルチナのプラットフォームに三菱製エンジン、自社製ボディを搭載する)として公開された。ステラの1.6Lより大きい2.0Lエンジンを積んだこのモデルは、しかし韓国内の販売では大失敗となってしまった。当時競争モデルであった大宇ロイヤルシリーズ(オペルレコルトをベースとした)の壁を越えられなかったし、スタイル的にも元々のステラとあまりも格差がなかったためキャラクター性が低かったのも原因のひとつだった。そのためか、韓国ではソナタを指称して「소나타(ソナタ)→소나 타는 차(ソナ タヌン チャ、韓国語で「牛などが乗る車」、同音異義語を使った言葉のいたずら)」という悪評までされたこともあった。
実質的な独立モデルとしてのソナタは1988年に生まれた「Y1」である。ステラと同じくイタルデザインがデザインしたボディに、当時のギャランのプラットフォームを元に作られたこのモデルは、当時までのヒュンダイ車では見られなかった曲線美で人気を得た。 エンジンは1.8L, 2.0L, 2.4L(アメリカ向け)。デビュー当時はいずれもSOHCだったが、後に2.0LはDOHCと変更された。1991年にはマイナーチェンジでヘッドライトがもっと丸くて長い形状となった。このときからアメリカ販売バージョンにはV6 3000仕様が追加された。そして1989年、ヒュンダイはカナダに創立以来最初の海外生産工場を完成したが(この工場は1993年に閉鎖された)、その工場の主力生産モデルがソナタだった。つまりソナタは韓国初の国外生産モデルとなったのである。
[編集] =2代目(Y2型、1993年-1996年)通称・ソナタII
- 1993年ドイツのフランクフルトモーターショーにてデビュー。
- 年代は不明だが、モスクワ国際モーターショーで最優秀賞を受賞した。
- 三菱ディアマンテをベースに開発され、ベース車譲りの豪華なハイテク装備でベストセラー車となった。
- 1995年3月にソナタIIの兄弟車として「ヒュンダイ・マルシア」が販売された。
ソナタIIよりも上級モデルとして位置付けられているらしく、ソナタIIには搭載されていないV62500ccエンジンなどの設定もあった。 しかし、韓国国内ではサイズが中途半端な上にニューグレンジャーに客が流れてしまい、わずか3年ほどで販売は終了した。
[編集] 3代目(Y3型、1996年-1998年)通称・ソナタIII
[編集] 4代目(EF型、1998年-2004年)通称・EFソナタ
(但し、後述されるが、このソナタと「冬のソナタ」とは関係が無い。よって、 日本のドラマに国産中型セダン・・・さしずめマークⅡあたり・・・が出てくるようなものと思われる。)
- 販売当時のキャッチコピーは「Dream Technology(ドリームテクノロジー)」
[編集] 通称・ニューEFソナタ(EF2型)
- 上記のEFソナタのマイナーチェンジモデル。2001年デビュー、派生車種にSUVのサンタフェがある。
- 一時期(2003年~2004年の上半期頃にかけて)日本に導入するという計画もあったようだが、残念ながら実現しなかった。
- フロントライトがメルセデス・ベンツのCクラスのものと似ていると批判された。
- このモデルから中国法人、北京現代汽車有限公司でも生産が開始された(漢字では「索納塔」と表記される)
[編集] 5代目(NF型、2004年-)通称・NFソナタ
正式名称は韓国でも単に「ソナタ」だが(北米等、他の輸出先の国や地域では先代やそれ以前のモデルも単に「ソナタ」と呼称されていた)、しばしば先代のEFソナタ等と区別するために開発コード名の「NF」を付けて「NFソナタ」と呼ばれる(韓国ではフルモデルチェンジやビッグマイナーチェンジ毎に名称が変わる事が多い)。なお、開発コード名の「NF」は「Neverending Fame&Faith」という言葉から来ていると言われている。
- 2004年9月本国デビュー。2005年3月より米国アラバマ州モンゴメリーのHMMA(ヒュンダイ・モーター・マニュファクチュアリング・アラバマ)で北米仕様車の現地生産が開始されている。しかし、北米の現地生産車は価格が高騰したこともあり、2007年3月現在10~12万台もの在庫を抱えるという事態となっている[1]。
- 車体長:4800mm×車体幅:1830mm×車体高:1475mm。この車体の大きさはXG並み。エンジンは3.3LのV6(ラムダ(λ)エンジン)と、2.4L・2Lの直4(シータ(θ)エンジン)と2.0LLPI(LPG車で高性能な燃料噴射)の四種類。なお、日本仕様車のエンジン設定は、2005年11月現在2.4Lのみ。
- 米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)により実施されているNCAP(新車アセスメントプログラム)で最高の5つ星の評価を得ている。[2]
- 2005年9月に日本でも発売された。日本国内で放映されたテレビCMにはペ・ヨンジュンが起用され、彼の代表作「冬のソナタ」のシーンを連想させるような映像やBGMとなっている。このため、日本人の中にはソナタが「冬のソナタ」にちなんで名付けられたと認識している人々が少なからず存在しているようだが、「冬のソナタ」が製作されたのは2002年であり、本項目を見れば分かるように、ソナタはその15年以上前から存在しているモデルであること、また「冬のソナタ」の韓国でのタイトルは「겨울연가」(キョウルヨンガ、日本語で「冬の恋歌」)であり、「ソナタ」という言葉は入っていないことなどから、その認識が誤解である事は明白である。
- 中国の合弁企業、北京現代汽車でも生産されており、リアのエンブレムは「HYUNDAI」ではなく漢字で「北京現代」と表記されている。但し、北京現代公式サイトによるとNFソナタの中国名は「NF御翔(NF YUXIANG)」であり、「ソナタ(索納塔)」と言うとニューEFソナタの事を指す事になるようなので、注意が必要だ。
- 本国では2006年8月にマイナーチェンジが行われ、フロントグリルのデザイン等が変更されている。
[編集] 類似性の問題
様々なメディアで競合車種のホンダ・アコード(日本名・インスパイア)との類似性が指摘されている。
- 朝鮮日報の記事で、リアデザインがアコードに酷似していると指摘。(朝鮮日報日本語版の記事(1))
- 「マンガ嫌韓流2」でもこの事が触れられていた。
- そのアコードは2005年末にマイナーチェンジを行いリアデザインを大幅に変更しているが、ホンダの韓国法人は「韓国市場だけを考慮したものではない」と説明している。(朝鮮日報日本語版の記事(2))
- 米ロサンゼルス・タイムス誌は「普通、模倣品と言えば犯罪以外の何でもないが、ヒュンダイ・ソナタは今市場に出回っている車の中でその犯罪を最も鮮やかに成し遂げている車だろう。ヒュンダイが“アメリカにおいて雇用創出に貢献する”と謳い完成させた、総工費数十億ドルのアラバマ工場から初めて生まれた車である。 ちょうど、ZosoがLed Zeppelinのトリビュートバンドであったように、ヒュンダイ・ソナタは、本物より安価で販売されるホンダ・アコードの模倣品だ」と評している(米LAタイムスの記事(2005年8月10日付。プレビューのみ無料で閲覧可))。
- 日本では2005年度グッドデザイン賞を受賞しているが、こういった理由による批判的な見方も少なくない。(グッドデザイン賞公式サイト)
- 以上の指摘はNFソナタに関するものだが、先代モデルのニューEFソナタに関してもヘッドライト、リアビューのデザインにジャガーXタイプとの類似性が指摘されている。