ピアノソナタ (リスト)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
![]() |
クラシック音楽 |
---|
作曲家 |
ア-カ-サ-タ-ナ |
ハ-マ-ヤ-ラ-ワ |
音楽史 |
古代 - 中世 |
ルネサンス - バロック |
古典派 - ロマン派 |
近代 - 現代 |
楽器 |
鍵盤楽器 - 弦楽器 |
木管楽器 - 金管楽器 |
打楽器 - 声楽 |
一覧 |
作曲家 - 曲名 |
指揮者 - 演奏家 |
オーケストラ - 室内楽団 |
音楽理論/用語 |
音楽理論 - 演奏記号 |
演奏形態 |
器楽 - 声楽 |
宗教音楽 |
メタ |
ポータル - プロジェクト |
カテゴリ |
ピアノソナタロ短調は、ハンガリーの作曲家、フランツ・リストが作曲した唯一のピアノソナタであり、彼の最高傑作のひとつである。また単にリストの代表作という以上に、ロマン派を代表する重要なピアノ曲のひとつでもある。
- 作曲:1853年
- 献呈:ロベルト・シューマン
この作品が発表された当時、この曲があまりにも独創的で、しかも革新的なものであったため意見は賛否に真っ二つに分かれ長い間激論の中にあった。歴史上この曲ほど論争を巻き起こした曲はないとさえ言われる。
現在ではロマン派史上、最も重要なピアノ曲とまで呼ばれるようになったため、ピアニストにとって必修科目といえるほど演奏者人口が増えた。リストの曲の中でもとりわけ録音数が多い。
このピアノソナタの特徴としては、あまり多くない数の動機によって曲全体が支配されていることが挙げられる。これらの動機は、作品のなかの音楽的な文脈に従って、少しずつ変形しながら曲を進めていく。たとえば、ある主題が粗暴であったかと思えば、次に出たときには美しい旋律になっているなどである。このような技法によって、楽曲全体が高い統一感を示している。もっとも、このような効果は、ピアニストに高度な演奏技術があって初めて達成される。
[編集] 構成
大雑把に言えば、このピアノソナタは四つの楽章から構成されるが、各楽章間には休止が無く、連続して演奏される。全体でひとつのソナタ形式をなしていると考えることもできる。ただ、どこを展開部や再現部とするかにはさまざまな意見がある。多くの分析家は、展開部は緩徐楽章あたりから始まり、再現部はスケルツォとフーガからと考えている。この構成から考えると、リストは明らかにシューベルトの傑作「さすらい人幻想曲Wanderer-Fantasie」に影響を受けている。シューベルトはこの作品において、限られた数の音楽的要素から広大な四楽章の楽曲を構成し、また第三楽章にはフーガを配置している。
形式が自由な曲が多いリストの作品群の中では、これほど構成に凝った作品はきわめて珍しい。しかしこのピアノソナタの形式はある日突然彼が思い描いたものではなく、完成に至るまではこの循環の手法はかなり自身の手で研究されていた。その足跡が2つのピアノ協奏曲や、ダンテを読んで、スケルツォとマーチ、大演奏会用独奏曲にみられる。後ろの2曲は現在になってようやく注目されるようになり、音源の普及が進んでいる。このソナタの成立を知る為の大変重要な資料になりうるからである。
[編集] 演奏
このソナタには多くの名演奏があり、ブレンデルからホロヴィッツに至るまで、20世紀の主要なピアニストのほぼ全員が演奏している稀有の曲と思われる。この曲を演奏する上での技術的な困難や解釈の難しさが、ピアニストにやりがいを与えるためであろう。
このソナタの静かな末尾は、後からの付け足しだった可能性がある。ニューヨーク市のピアポント・モルガン図書館に収められた手稿を見ると、華やかな末尾も構想されていたものの、リスト自身の手で抹消されていることがわかる。(アラン・ウォーカー『フランツ・リスト:ヴァイマル時代、1848年-1861年』1989年、ニューヨーク州イサカ、コーネル大学出版局、156ページ。本書の149-157ページでは、このソナタに関する詳細な分析がおこなわれているが、これはその中間の部分である。)
[編集] External links
Piano Society - Free recording of Liszt's Piano Sonata.